第六話 白蛇
相棒登場回です!
「で、でかい…!」
「これは、まずいね。まさかこんなところに神獣級の妖がいるなんて」
「小僧、なかなか懐かしい気配を漂わせおるな。あんな蛙なぞよりよほどうまそうな匂いもする。悪いが力を吸い取らせてもらうぞ。」
目の前の白蛇が大きな口をこちらに向けて近づいて来る。
「まずい!燈くん今すぐ逃げて!」
「もう遅いわ!」
蛇がものすごいスピードで体を巻き付けて来た。そして口を開けて大きく息を吸い込みはじめた。
「ち、力が抜けていく…」
「燈くん!くそっ!マコマ!アイツを引き剥がして!!」
慌てて唯がマコマを繰り出すが、白蛇の霧のせいかマコマが思うように力を出せない。
噛みつくが、白蛇はびくともしない。
「おぉ、!なんと濃厚な妖気か!これは美味!なんとも美味ぞ!」
白蛇は燈から妖力を吸ってどんどん肥大化していく。
「くっ…このままでは!」
唯が焦っている。だが、次の瞬間
大きくなりすぎた白蛇が弾け飛んだ。
「えっ…?」
巻きつかれていた燈が呆気に取られる。
「これは、、どうやらあの白蛇、燈の膨大な妖力に耐えられなかったらしい。…にしてもあの肥大の仕方から見て、燈の妖力は大妖怪クラスだね。」
「でも、さすがに少し体がダルいですよ。」
「とりあえず、燈の命に別状がなくてよかった。」
「ふん、まったく人騒がせなガキだ。」
唯が優しく燈に微笑みかける。マコマは呆れているようだ。
ふと燈が足元を見ると、小さくなった白蛇がこちらを見ていた。
「まさか、私の器に収まらないほどの妖気を持つ人間がまだこの世に存在していたとは。」
蛇は弱々しくも気高く話し始めた。
「君名前は?」
燈がしゃがんで話し始める。
「名か、、昔は呼ばれていた気がするが、今は名もない白蛇だ。しかし、なんとも美味い妖気だった。小僧お前のことが気に入ったぞ!守ってやるからこれからもその妖気を存分に食わせてくれ。そうだな。私のことは好きに名をつけて呼ぶがいいぞ。」
「やったね燈くん!こんな形で妖怪を使役する人を見るのは初めてだけど、とりあえず目的達成だね!」
「じゃあ、今ぱっと浮かんだ名前でいい?」
「なんでもよいが、つまらん名前をつけるなよ」
「じゃあふ、これからよろしくね。シライシ様」
「え、なに、その名前」
「なんだよその名前」
「なるほど、この石上神社の石をとったのだな。よかろう。気に入った!」
こうして無事に白蛇のシライシ様に力を貸してもらえることになり、正式に書店の従業員としてアルバイトをすることになった。
ここまでが一応プロローグです。次回からは、基本的に一話完結型で進めていきます。書きたい話のところは、何話か続けて書くこともあると思います!設定はあらかじめたくさんつけてるので、崩れないように頑張ろうと思います。今後ともよろしくお願い致します。