第五話 出現
「おや、早いね。いらっしゃい」
次の日の放課後、無理矢理引き留めてくる村井たちをなんとか振り払って、僕は急ぎ足で緒方書店へ向かった。
「今日は、祓い方教えてくれる約束ですよ。」
「そうだったね。ちょうどいま本が反応していたところなんだ。これは魔獣系の妖怪だね。君の初仕事にはちょうどいい。」
「ちょうどいい?ってどう言う意味ですか?」
「前にも言ったけど君は力がとても強いから、その力を入れて払う器が必要なんだ。纏うにしても、式にするにしてもね。魔獣系の妖怪は、その術師の性質によって姿形を変えるから、初の仕事にはうってつけなんだよ」
昨日見たマコマと呼ばれる狛犬を思い出す。そういえばあの恐ろしいセンシャクを一瞬で祓っていた。確かに仲間になるなら心強い。
「場所はどこですか?」
「この本から光が出てるでしょ?これがその場所まで導いてくれるんだ。心配する必要はないよ。この光は術師の私達以外には見えないから。」
「わ、わかりました。」
「ふふ。今回は私がついていくから安心して。」
そうして僕たちは書店をでて、光の指す方角へ進んで行った。光は石上神社の方へ進んでその鳥居の前で大きく光って消えた。
「消えたんですけど、唯さんこれは?」
「おかしい…」
「…そうですよね。ここ神社ですし。」
「普通、魔獣系の妖怪は神社を嫌う。にも関わらず本が神社を指した。これはもしかしたらこの本の魔獣大蝦蟇はすでに他の大妖怪の餌食になっているかもしれない。」
「そんなことがあるんですか?」
「稀にあるって聞いたことがある。でも、どちらにしてもあの書庫にも記されてないくらい強い大妖怪がいる可能性が高い。」
シャルルル…
辺り一面に紫色の霧が立ち込め、中から大きな白い蛇が2人の前に現れた。
相棒キャラはどんな動物にするか、悩んだ末に近くの子が好きだった動物を思い出したのでそれにしようと思います。笑