第5節 第十五話 ときめき大作戦
そうこうしているうちに3日が経った。合間に小さな妖事件を解決しつつ、作戦を続行した。そして、3回目のとき彼女の方から喫茶店に誘われた。ついにチャンスが現れたのだ。
「あの‥もしかして、ストーカーさんとかですか?」
「やっぱりそうなりますよね‥」
普通はこうなる。やはり唯の感性はどこか常識とズレているところがあるらしい。
「実は、‥‥‥」
「なるほど、、私に雨女が憑依しているということですね。にわかには信じられない話ですけど、たしかにそれなら私のこの体質も説明ができますね。」
納得したという表情で彼女が頷いた。
「でも、どうにかしたかったのはほんとなんです。このままずっと自分の周りだけ雨なんて、僕には耐えられない。」
そう言ったとき、少し彼女の頬が赤くなったような気がした。
「今日はありがとうございました。心配してくれる人がいるってだけでなんだか心が軽くなりました。よければまたお話しに付き合ってくださいませんか?」
「僕でよければいつでも。」
「ありがとうございます。」
そう言って彼女は少し微笑みながら帰って行った。
「失敗した‥?」
唯が申し訳なさそうに顔を覗き込んでくる。
「どうでしょう。ただ、彼女以前より少しだけいい顔で笑ってましたよ。」
数日後、雨女の本に妖怪が自分から収まっていることに気がついた。
「一体何が正解だったの‥」
不思議そうに考え込む唯の姿がとても面白かった。