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第3節 第十一話 先祖返り

「どうしたのだ!?燈!!」

暴走した燈の妖力で、シライシ様が吹き飛ばされる。その妖力は本気のシライシ様の妖力を遥かに凌ぐ量だった。


「あ、頭が!!頭が割れる!!!」

今まで経験したことがないはずの記憶が燈の中に流し込まれる。多くの妖怪を薙ぎ払う記憶。身に覚えがないはずなのに、生々しく新鮮に巻物から燈の頭に流し込まれる。


「こ、これは一体。人の身でありながらこの妖力…燈、お主まるで''あやつ''のようではないか。」


シライシ様が今までにないほど、険しい顔をした。


「ちっ…仕方ない。」

シライシ様が本来の大白蛇の姿に戻る。口を大きく開けて、燈の妖力を吸い込んでいく。


「少し思い出したぞ。懐かしい。その昔も''あやつ''の妖力をこうして食らったものだ!」


みるみる燈の妖力が吸われていくが、燈の暴走が収まる気配がない。


「この妖力量…''あやつ''以上ではないか。私だけでは吸い上げきれぬ」


シライシ様の身体がみるみる大きくなるが、燈の妖力はまだ吸い取りきれない。このままでは燈の妖力で、美術館ごとこの辺りが吹き飛びかねない。


「すごち強い妖力を感じてきてみたら、、燈くんだったの?!」


「!?唯か!」


マコマに乗って唯が現れた。その手には全てが木製で作られた扇子が握られている。


「まさか、いや、考えてる暇は無いわね!」


燈の妖力がかまいたちのようになり、周りの木々や建物に傷をつけている。

唯はマコマから降りるとすぐに扇子を広げて禊の言葉を読み上げる。


「鎮めたまえ、鎮めたまえ、御嶽の本尊よ、我が同胞の荒ぶる力をこの扇を依代にて禊清めたまえ!」


すると燈の妖力が扇子の中に一気に吸い込まれて、扇が燃え盛り、灰となって消える。


「ふぅ、、今回はほんとに危なかったわ。」


唯が安堵の溜息を吐く。


「唯さん…すみません。これは一体?」

フラフラしながら燈が正気を取り戻して唯に尋ねる。


「この巻物の妖怪は、ケイフモドシと言ってね。手にした者の最も力のある先祖の記憶を呼び起こすっていう妖怪なんだ。でも、大抵普通の人は記憶が送り込まれるだけで終わるんだけど。燈くんはその記憶の持ち主の力も受け継いだ先祖返りだったみたいね。」


そう言うと唯はケイフモドシを本に押し当て封印した。

唯の話によると、今の燈の力は祖先の力を思い出して使ったものだったらしい。


「今回は私も一つしか持ってない龍の紋を使った1番強い依代を使ったんだけど、燃え尽きちゃった。もし次本来の能力が暴走したら私じゃ止められないから、次からはくれぐれも妖怪を素手で触るのは気をつけてよね…今回のような妖怪の時は特にね。」


珍しく唯に真面目な顔で叱られた。今回は本当に危なかったのだろう。


「分かりました。また今回も助けられてしまいました…シライシ様もありがとう。」


妖力を吸ってシライシ様は元気そうだ。とても上機嫌で首に巻きついてきた。


「あと、定期的にシライシ様に妖力を吸ってもらってね。私たちみたいに力の強い人の妖力は溜まりすぎると暴走するから、私もマコマに定期的に吸ってもらってるから。じゃあ、先に帰ってるね。本は私が持って行くわ!お疲れ様。」


「何事も油断は禁物だね。」


「まったくだ。」


燈は送り込まれた記憶をぼんやりと思い出しながら、シライシ様と反省会をしつつ緒方書店へと歩いて帰った。


次は唯のお話です。お楽しみに♪

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