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第一話 センシャク

古今東西のさまざまな妖の名が刻まれた古本を扱う店、妖本屋緒方書店。そこに記録された名の妖が町に現れるとその本が光り、書店の店員たちは妖事件の解決へと向かう。これは豊後の町にある古本屋を題材にした不思議な物語。

「最近学校休む人が多いよね‥私もなんだか頭が痛くて、燈は大丈夫?」

「そうだね、みんな体調崩してるみたい。心配だね。」


僕はいつも、何を聞かれても当たり障りのない返事を返す。みんなには''あれら''が見えていないのだから。

昔みた本に似た姿の化け物を見たことがある。

たしか名前はセンシャクだったか。

見えてはいるが、僕に何かできるわけじゃない。

あれらに認知されると狙われて前に痛い目を見た。そのとき関わらないのが1番だと身をもって学んだ。

だけど、

「もしかしたら‥みんなが休んでいる原因は、、まさかね。」

ギロッ‥

「!?今目が合った?!‥いや、まさかね。」

「帰りに田中の家に寄っていく?」

「そうだね。何か買ってから行こうか。」


学校からの帰り道、ひっそりと佇む古本屋がある。不気味なのにどこか懐かしい雰囲気の古本屋だ。いつも寄ってみたいと思っているのだが、なかなか一歩が踏み出せない。


「村井ちょっとついでに寄ってみたいところがあるんだけど、いいかな?」


「ごめんなんか、気分がす、ぐれ、、」

隣を歩いていた村井がよろめきながら倒れた。

「え、ど、どうした?村井大丈夫か?」


「おぬし、我を見ていたな」


!!?


「何やら懐かしい気配‥芳醇でうまそうな匂いだ」


振り向くと先程のセンシャクに似た化け物が大きな口を開けてこちらに瘴気を振り撒いていた。

「くそっ!」

このままでは瘴気に当てられて弱ったところを2人まとめて喰われてしまう。慌てて村井を背負って走り出した。


「どこか、近くに空気の澄んだ場所は‥」

そう考えていると、あの古本屋が思い浮かんだ。居心地がよさそうで、空気の澄んでそうなあの場所なら、こいつも寄り付けないかもしれない。


「あーもう!、村井、もう少し痩せてくれ‥」


村井を背負ってなんとか古本屋に駆け込む。

意外というか、センシャクは古本屋の中には入れないようで悔しそうに外で叫び声を上げている。


「いらっしゃい。緒方書店へようこそ」


古い本が山のように詰め込まれた書店の奥を見ると、薄紫の着物を着た若い女性の店員が不適な笑みをこちらに向けていた。

7話からは、一話完結型の連載を予定してます。仕事の合間に投稿し続けますので、各話ごとにお楽しみください。

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