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《一章 歴史の転換点》

三章と二章の間の話です


 既に知っている人もいるかも知れないけれど、改めて自己紹介させてもらうわ。私の名前はルナ・カルディア。小さい頃に両親から捨てられて、カルディアっていう地域で領主を務めている家族に拾われて生きてきた。


 そんなこんなで成人まで過ごし、田舎暮らしに飽きてきた私は王都で新しい暮らしを始めてみようとした。そして、船で王都に向かっていた最中、悪魔と呼ばれる化け物たちに襲われたが、ルーグナーという男に救われて無事にたどり着くことができた。


 その後、無事に王都に馴染み始めた私は、悪魔と関わることはないと思っていた矢先、また(ルーグナー)と出会い、済し崩し(なしくずし)的に生活をともにすることになった。


 あと、この後インペルっていう男が出てくるけど、彼は優秀な……そう、執事みたいな人。実はルーグナーについて知らないことばかりの私なんだけど、私よりも早くルーグナーの仕事を手伝っていたインペルは少し何かを知っているみたい。


 詳しく聞く気もないけど、ルーグナーが言いたがらないし、聞くのはやめてるの。


 それと、アデルってやつなんだけど、実は私のことを誘拐したこともある人よ。まぁ、それも勘違いに近かったから気にしてないんだけど、そのことで後ろ髪を引かれているのか、彼は私のボディガードについてくれているのよね。


 いきなり名前が出てきたから覚えられないかもだけど、そんな感じの人がいたな〜ってくらいはイメージできると嬉しいわ。


 話を戻すけど、ルーグナーとの生活を続けていく内に私の中で彼に対する何かが芽生え始めている気がしていたの。それが恋なのかとも考えはしたが、いまいちその感情が分からないため、日々悩み中。


 さて、こんなところで自己紹介は終わりかしらね。


 そして、これからは私の体験談をさせてもらうわ。


 私がどうして国中で信仰される女神の寵愛を受けた存在、聖女だと気づいたキッカケについて。


 それと、私がルーグナーへの恋を自覚したキッカケについての話だ。


 ***


 長い歴史を持つ龍王国ルガートにおいて、大きな動乱が計画された数は少なくない。ただ、そのどれもが未遂に終わっている。その理由として挙げられるのが、強力な力を持つ騎士団と教会の存在。騎士団はいくつもの師団を持っており、その戦力は世界有数であった。


 ────そしてその王都で建国祭が行われていた日、歴史に残る大事件が起こる。


「ルーグナー!!!この気配はもしかして……」


「あぁ、悪魔だ。それも街中からしてきやがる。これはまずいぞ、騎士団の連中は何をしている?」


 燃え盛る王都でルナとルーグナーは事態を飲み込めずにいた。


 ***


 王都で動乱が起こる一ヶ月前、ルナ、インペル、ルーグナーの三人は新しい依頼について話していた。


「国からの依頼?」


 最近は大きな仕事がなかったため、久々の仕事だと思ったら国からのものだ。私はルーグナーに今回の依頼について聞いてみる。


「あぁ。()()()()()の連中は建国祭の準備で忙しいから、最近巷で噂になっている俺達に依頼をしてきたみたいだな」


「でも、私達って()()()()()()って無いわよね?」


「……まぁ、な」


 私の言葉にルーグナーは言葉を詰まらせた。たまにルーグナーはこうなることがある。理由を聞いたところではぐらかされるから、最近は聞かなくなった。でも、そうゆうのって気になるのよね。いい加減教えなさいよ、こいつ。


「ねぇ、国の依頼を見知らぬ人に頼むものかしら?」


「……俺に聞かれてもな」


 いつもよりもう少しだけ踏み込んで見ようとした私だが、とある人が話に入ってきた。


「まぁまぁ、理由なんていいじゃないですか、ルナ。重要なのは依頼内容ではありませんか?」


 インペルは私とルーグナーの間に割り込むようにして体を入れて、物理的にも阻まれる。ここまでされたらこれ以上その話は続けるのはあれね。


「……そうね、この話はやめにするわ。さっさと本題に移りましょう」


「じゃあ説明するが、今回の依頼はとある地方における不審な現象の解決だ。もうじき行われる建国祭の花火で使う魔鉱石の原料はその地域でしか採れないんだが、街に霧が発生して外部との連絡が一気に絶たれたらしい。教会の方も対処に当たったみたいだが、未だに中から帰ってこないと聞いている」


 建国祭、私はまだこっちに来てから一年も経ってないから初めてだ。それに、花火も打ち上げるらしい。今まで実物を見たことがなかったため、今回見られるならぜひ見てみたい。


 ────でも、花火で使う魔鉱石が採れる地域、ねぇ?


「……もしかして何だけど、その地域ってカルディア?」


 カルディア、そこは私の故郷とも言える場所。捨て子だった私を拾って、ここまで育ててくれた両親が住んでいる地域だ。


「そうだが、なんで……あぁ、確かお前の故郷だったか」


 前に一度私がルーグナーに話をしたことがあったが、どうやらそれを思い出したらしい。


王都(こっち)に来てから一度も帰ってないのよね」


 王都で生活していたが、どこかで一度落ち着いた時に帰りたいと考えてはいたのだ。でも、依頼とかで忙しくて……決して、決して、王都が楽しくて忘れていた訳じゃないわよ……本当に。


「国からは一刻も早く解決してほしいとの要望だ。というわけなので、()()()向かうぞ」


 ほら出た、ルーグナーお得意の無駄な行動力。思い立ったらすぐ行動ってのは私と似てるんだけど、もう少し他者の気持ちも考えてほしいものだわ。


 特に、私の!!


 よく振り回されるから、疲れるのよ!!


「今からって、私まだ準備してないわよ。ほら、インペルだって────」


「いえ、私はいつでも平気です。常に最小限のものしか持ち歩きませんから」


「……そうだったわね」


 このバカ執事めッ!こいつはルーグナーのことをよく理解していて、既に準備を終わらせていた。ルーグナーに対して、気が利くというよりも、気が効きすぎている。


 というか、何があったら昔、ルーグナーに殴りかかろうとしていたインペルがここまで変わるのよ。


「荷物を考えている余裕はない。さっさと行くぞ」


「はぁ、分かったわよ」


 仕方なく最低限の荷物だけを急いでトランクケースに詰め込んだ後、私達は家を出てカルディアへ向かったのだった。

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