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第二王子からの求婚はお断り致します

「レベッカ・マルス公爵令嬢、私と……」

「お待ち下さい第二王子殿下。そのお言葉は、あなたの婚約者であるリリア様の為にこそ相応しいものです」

「しかし、このままでは!」

「分かっております。今日はその事を話す為に参りました。決してまだ幼いながらも聡明な第二王子殿下の求婚を受ける為ではございません」

 座っても宜しいでしょうか? と公爵令嬢レベッカが第二王子エリオットに問い掛けると、エリオットは慌ててどうぞとレベッカに椅子をすすめた。

 第二王子の部屋に呼ばれた公爵令嬢のレベッカは部屋に入るなり行われようとした求婚を止めると、ホッと息を付いて椅子に座った。

 侍女達が手早く二人にお茶を入れ、一息付くと二人は侍女とお付きの者を広い部屋の隅まで下げた。これで部屋に二人っきりではないが、会話は聞き取り辛くなる。二人だけで会話出来る状態にすると、レベッカは改めてエリオットに問うた。

「……リリア様は何と?」

「彼女は、側妃でも受け入れると言っていました」

「リリア様もエリオット様と同じぐらいまだ小さいのに我慢強く優しい方ですね。けれど私は彼女を泣かせるような事をしたくないのです」

「僕もですが、このままでは全て叔父上の思うがままです。既に半数近くの貴族が叔父上を支持しております。もし、父上に何かあれば……」

「第一王子エリック様が即位されても、彼は叔父であるシリウス様の傀儡となるでしょうね。最悪は、エリック様を何らかの罪で蹴落とし、ご自分が即位される事もありうるでしょう」

「それが分かっていながら、何故婚約破棄を受け入れたのですか!」

「申し訳ありません、ちょっともう我慢の限界で。そもそも第一王子殿下は初対面の時から私が気に入らなかったようで、私の言う事より叔父であるシリウス様のお言葉しか耳に入らないようでした。挙句の果てにはあの遊女……いえ、アイリーン様です」

「彼女がどうされました?」

「第一王子殿下が遊女にご執心であるとの情報は我が家でも掴んでおりましたが、直接目にするのは初めてでした。アイリーン様を始めて見た瞬間、私はあの方がシリウス殿下のように思えました。

アイリーン様はシリウス殿下の血を引いてらっしゃるのではないかと思うと寒気がしました」

「まさか! アイリーンという娘は確かカルス男爵が遊女と懇意になり、遊館で生まれた庶子のはずでは?」

「ええ、カルス男爵に引き取られた際の調査報告ではそうなっているはずですが、我が家で更に調べたところ、カルス男爵が遊館にアイリーン様を引き取りに行く前にシリウス殿下がカルス男爵家に資金を提供したようです。それに、アイリーン様は確か生まれた時から絶世の美女に育つだろうと期待されて遊館で早くから教育を受けたから、貴族顔負けの礼儀作法や知識が豊富になったのだと伺っていましたが、それほど出来の良い美少女であったなら、もっと早くに噂を聞き付けた他の貴族に引き取られていても不思議ではありません。第一王子殿下と婚約出来る年頃になるまで全く噂を聞かなかったのであれば、シリウス殿下が秘密裏に匿い、教育を施していた可能性もあります」

「あの娘が、叔父上から直々に教育を? まさか」

「確固たる証拠はありません。ですが、アイリーン様の目元はシリウス殿下にそっくりです」

「つまりあなたは、あの娘が叔父上の実子だと、そうお考えなのですか?」

 温くなってしまったお茶を口に含んでから、レベッカは肯定するように頷くと、第二王子を静かに見詰めた。


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