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第七話 ようこそ、レグルスへ

一分遅れで門の前に着いた。すると陽太からのお叱りが。

待つこと3分。


「―――――わかったか!遅刻することで回りに迷惑がかかる!特に団体行動の時は気を付ける!」

「はい!」


ようやく終わったか。

遅刻ダメ、絶対。それがよく理解できた3分間だったとだけ言っておこう。

いやでも遅れたくて遅れたわけではではないんだけど…

また怒られそうだし言うのをやめた。

陽太は昔遅刻して遠足に行けなかったからそれから人一倍時間に厳しい。


「じゃあ門をくぐろうか。驚くぜ、この先の景色に。」

「ああ、楽しみだ。」


陽太が門番にあいさつした後、俺も見習って挨拶をして入る。


「うわあ……」


そこにあった景色に俺が最初に抱いた感情は、悔しさだった。

なぜ俺は今までこのゲームをやってこなかったのかということと、開発者の思惑にまんまと乗ってしまっている自分自身にだ。

街の建物、風景、天気、どこをとっても画になる。

NPCやプレイヤーが織りなす喧騒、目の前の大きな噴水の音それも心地いい。

焼き鳥のような市場の肉のいい匂い。

五感で体感できる。すごすぎて言葉が出ない。

そうして呆けている俺に、陽太が芝居がかった口調で徐にいう。


「そういえば初めてここに入った初心者には言わなきゃいけねぇ言葉があるんだ。」

「ようこそ、始まりの街レグルスへ。」ってな。



■■■



そしてある程度落ち着いた陽太は、俺の恰好をじーっと見ていった。


「すげえ格好とアバターしてるけど、大丈夫か?」

「そんなにひどいかな?」

「ああ、体中真っ赤だし、白い長髪の中性顔だからそれがよく映えるっていうか…

でもそれお前の趣味じゃないだろ。どうした?」


白い長髪の中性顔?なにをいっているんだ?

と考えたら、一瞬で原因に思い当たった。


「ああ、そういえばアバターランダム設定にしたな。」

「ええ?嘘だろお前、あれ一発勝負だし、変更不可能だろ?

報酬でレア装備が一つついてくるって言ってもあれやるやつはギャンブラーだぜ。」


変更不可能?あとから変更できないのか?W〇iとかD〇Dモバイルみたいなアバター変更できないのか?

じゃあ俺はじっくりまだ見てすらいないこのアバターでこれからこのゲームをしていかないといけないってことか。

え、嫌だ。早々に辞めたくなってきたぞ。でも約束だしなぁ。


「まさか…知らなかったのか?」

「うん、急いでたから…」


ずーんと暗い雰囲気が立ち込める。

なぜ確認しないで押してしまったんだろう。これから契約書とかはしっかり読むように心がけよう。そう、これは教訓なんだと自分に言い聞かせる。

そんな雰囲気に耐え切れなくなった陽太が話題を変えるように言う。


「でもレア装備はもらえたんだろ?ちょっと見せてくれよ。」

「どうやって見るんだ?」

「それは、開示オープンっていえば出てくるぜ。ほかの情報も見れる。」


便利だな。音声入力なんてスピーカーにしか使ったことがない。

まあ、物は試しだと唱えてみる。


開示オープン


いろいろな情報が載っている。

その中から装備の項目をタップして、閲覧する。

それらしいのは…あった!

「恐慌の面」:敵対した知的生命体に対して、恐怖に起因する混乱を与える。精神攻撃耐性が一定以上だった場合、レジストされる。ちなみにこの装備は透明化可能。


ああ、透明化させていたから見えなかったのか。それにしても盗賊の動きが鈍かったのはそのせいか。


「結構すごい装備だな。ちょっと実体化させてみてくれよ。」

「わかった。」


装備欄の横にある「実体化」ボタンを押す。

すると何もなかった額の上から、どこかの民族が使うようなおどろおどろしい面が出てきた。

斜めにつけていたのか。つけ方おしゃれだな。感想を聞いてみよう。


「どうだ?」

「ああー、まあ、似合ってるぞ。なんかお前専用の装備って感じだ。」


と苦笑しながら言われた。いい意味でも悪い意味でも言われている気がする。まあいいか。

それにしても不思議な面だな。かっこいいしずっと実体化させたままでおこう。


「じゃあ、とりあえずクエスト受けに行くか?」

「賛成。でも簡単な奴で頼むよ?」


こちとら初心者だ。いくらVRだから動かしやすいと言っても装備も整っていないし、いきなり強敵と戦うのはいくらなんでも無理だ。


「大丈夫。定番のゴブリン退治を持ってきた。」

「ああ、ゴブリンなら大丈夫だろう。定番だな。」

「いきなり変なもの行っても何も得がないからな。基礎をやりやすいものがいい。」


陽太は先生みたいにしっかりしている。ほんとに超人だよな。俺と違って。


「依頼書を持って向かうと方向が表示されるんだ。されないのもあるけどな。

今回は門の向こう、お前が通ってきた森の向こう側に集落があるらしい。」


何そのコンパスみたいな依頼書。すごいな。

ある程度の情報も載っているらしい。規模は20~30匹。まあいけないことはないだろう。


「「出発!」」

こうして俺たちは最初のクエストへと向かった。


どうも!ゆるとうかです。

最近寒くなってまいりましたね。うちの近くでは朝起きると外気氷点下です。おまけに電気代も高いので私は家ではずっと布団にくるまっています。

主人公を白髪にしたのは私の趣味ですね。白には色がよく映える。

ランダム設定ならば主人公の性癖を歪めずに済むというのは素晴らしい。

評価やブックマーク、感想、誤字脱字のご指摘などがあると大変励みになります。それではまた次の話または別の話でお会いできることを願っております。

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