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★おまけ★ 2.昼の猫は眠い (2)

 バーチャンのおうちを飛び出して、モモカさんのおうちにご厄介になってたあの日。


 憧れだったお外での木登りをしてたアタシは、ミーコやコーセー、スイと出会って、あの子たちのおうちに連れていかれたの。

 あの子たちって、猫でいったらまだ大人になりかけの子猫だけど。いい子なのよね、みんな。


 そこでひと休みしたあとで、アタシは昔からお世話になってるフクモト先生のとこに連れていかれた。

 先生はいつも通りイケメンで、


「脱水気味だけど、元気だね、フーちゃん」


 って、なでなでしてくれたの。お注射も歯みがきもなくて、やれやれだったわ。


 その日からアタシは、コーセーたちのおうちで寝泊まりすることになったの。


 ……さすがに、アタシにもわかったわ。

 バーチャンはもう、行っちゃったんだなって。

 シセツ、って言ったかしら? アタシのついていけない、新しいおうちへ。


 もうアタシ、帰れないのね。あの懐かしい、バーチャンのおうちには。


 そう思うとしんみりしちゃったけど、それはそれとして、今度のおうちにもアタシは興味深々で。


 そうなの。猫って、好奇心旺盛な生き物なのよ。


 あの懐かしいバーチャンちは、おっきくて、スズメやハトや近所の猫が遊びにくるお庭もあって、古い木の匂いがしたわ。そのあとちょっとだけご厄介になった「アパート」のモモカさんちは、お庭もおうちもちっちゃくて。


 そして、その次に行ったコーセーたちのおうちは……すっごくおっきかったのよ。お庭も、おうちも。


 そうねえ。アタシが今住んでるこの、パパさんとママさんのおうちより、ずーっと大きかったわ。あのおうちにはちょびっとしかいなかったから、残念ながらおうちとお庭の全部は探検してないんだけどね。


 あ、今のこのおうちには、お庭はないのよね。けど、窓から下の道がよーく見えて、狩りしてるみたいで面白いのよ。


 それはそれとして、あのでっかいコーセーたちのおうちの話ね。


 まず、天井がね。高かったわ。


 残念ながら、キャットタワーはなかったんだけど。カーテンとか、開いたままになってるドアとか、いろんなとこにアタシは登ってみた。うふふ、もちろん、子猫みたく降りられなくなったりはしなかったわよ。


 猫って、高いとこをこよなく愛する生き物なのよねー。


 テレビだって、ここんちとは違って、すっごくおっきいのが窓みたく壁にくっついてたわ。イワロクさんの猫のテレビは観なかったけど。


 そのテレビの前に、おっきくてふかふかの、ベッドみたいなお椅子とちっちゃいテーブルがあったの。


 お椅子のそばに行くと、なんだか無性にツメをとぎたいなーって気分になったんだけど、そこへ、


「フーちゃん、頼む! そこはやめて!」


 って、コーセーがすっ飛んできて。


 必死な顔で、「こっちこっち!」って、バーチャンちで使ってたツメとぎを振り回したのよね。


 仕方なく、アタシはそっちでツメとぎしてやったわ。

 アタシもいい大人だから、わかっちゃうのよねー。そういう、「それだけは勘弁」みたいな感じ。


 そのお部屋にはおっきな窓があって、ガラスの向こうでいっぱいの木の枝がゆらゆらするのも面白かったの。ちょっと離れたとこにある大きいテーブルで、みんながごはん食べながらわーわー騒いでるのもなかなか面白かったわ。


 あ、わーわーするのは、ミーコとコーセーだけね。スイはいつも、静かだった。あのころはお手手にケガしてて、白くてすーすーする匂いのやつくっつけてて。



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