志津音そこにいるんだろう?
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今日は、久しぶりに志津音と2人きりの食事会を楽しんでいる。
今日だけは、志津音と2人で食事がしたかった。
最近は1週間と開けずに会う様になったからこそ久しぶりと思ってしまうだけで、許されるのであれば、毎日一緒にいたい。
志津音は、龍徳と出会ってから以前のような異様なスタイルではなく健康的なスタイルに戻っている。
何故、今日なのかというと今日が志津音の20歳の誕生日だからだ。
「志津音。20歳の誕生日おめでとう。」
「わぁ~綺麗なお花~神山社長有難うございます♪」
「嬉しいよ。今日という日を私と過ごしてくれて本当に嬉しい。」
「神山社長って本当に私の事が好きなんですか?」
「ああ。好きだ。」
「フフ♪有難うございます♪」
以前と比べて志津音の微笑みが変わってきた気がする。
「そうだ!それと私の家族まで見付けて下さって本当に有難うございました。」
「気にするな♪ 惚れた女性が喜んでくれたならこれ程嬉しい事はないよ♪」
「フフ♪ なんだろう・・・神山社長を見ていると不思議と心がポカポカしてきます♪」
「そうか♪ 俺もだよ。 それと俺の事は下の名前で呼んで欲しいって言っただろう?」
「でも・・・失礼だって松本さんが・・・」
「アイツに俺を邪魔する権利などない!俺がその方が幸せを感じるんだ。」
「はい♪分かりました龍徳さん♪」
「ああ~・・・幸せだ・・・」
「フフ大袈裟なんだから~・・・えっ?」
笑顔で会話をしているのに志津音の目から涙が零れた。
「志津音・・・お前・・・涙が・・・」
「うそ・・・なんで?・・・エヘヘお恥ずかしい・・・今拭きますから・・・あれどうして?・・・ヤダッ・・・何で? 涙が止まらない・・・。」
志津音は普通の表情なのだが、涙だけが止まらない。
『聞いているんだろう?・・・お母さんの言っていた事が今なら分かる・・・』
「志津音・・・ゴメン・・・嫌だろうけど・・・抱きしめても良いだろうか・・・」
「エヘヘ♪ 前にも言いましたけど私、神山社長ならいつでも・・・」
『志津音・・・そこにいるんだろう?』
「神山社長じゃなくって名前で呼んで欲しいんだけど・・・」
「あっそうだった。えっとじゃあもう一回♪ 前にも言いましたけど龍徳さんとならいつでも・・・抱か・・・あれ?・・・抱いて・・・な・何だろう・・・おかしいな・・・」
すると志津音の顔が赤く染まっていた。
『志津音・・・逢いたいよ・・・』
「志津音!!」
その姿に思わず身体が反応して志津音を強く抱きしめた。
「あっ・・・」
顔色を変えない志津音がビクッっと反応して顔を背けてしまう。
「ごめん・・・どうしても抱きしめたくなって・・・」
「いえ・・・その・・・大丈夫です・・・」
龍徳から顔を背けている顔は耳まで真っ赤だ。
『何で?恥ずかしい・・・』
「ごめん・・・嫌だったか?」
「いえ・・・全然・・・寧ろ・・・」
『寧ろ?・・・何言おうとしたの私・・・』
「寧ろ?なんだい?」
「その・・・お恥ずかしいんですが・・・その・・・もう少し強く抱きしめて頂きませんか?」
『へっ?何言ってるの私・・・意味分かんない・・・』
「こうか?」
ギュっと背中に回した手に力を込める。
「あぅ・・・」
『なんでだろう・・・心が・・・満たされるのが分かる・・・』
『分かる・・・君を・・・志津音を近くに感じる・・・』
「ゴメン?痛かったか?」
「いえ・・・まただ・・えへへ・・・」
そして、また涙を流し始めた。
「やだぁ~・・・さっきから・・・なんでだろう・・・シッカリしなさい志津音。」
『志津音・・・悲しませてばかりで・・・ゴメンな・・・』
「志津音・・・今だけで良いから・・・」
「はい!覚悟は出来ていますからいつでも・・・痛っ!」
変な事を言いそうだったので、志津音の額をペシッと叩く。
「バカ・・・早とちりするな・・・」
「痛いです~」
「俺が大好きだった人に伝え切れていない思いを君に聞いて貰いたいんだ」
「私にですか?もちろん構いませんよ♪寧ろ光栄です♪」
すると志津音を抱きしめる手に力を込めて自分の胸に志津音の顔を埋めた。
「愛してる・・・君を・・・この世界の誰よりも・・・志津音・・・君を愛してる。」
トクン・・・
『私に言ってくれている様に聞こえる・・・』
「この身が砕けようと・・・どんな不幸に見舞われようと・・・君だけは必ず幸せにする。 運命が何だ! 俺は君を諦めない・・・諦められる訳がない!」
トクン・・・
『な・なんだろう・・・私じゃないのは分かってる、分かってるのに・・・涙が溢れちゃうよ・・・』
「俺の命は君に捧げている・・・他の誰に何を言われようが構わない。俺は君だけが好きだ。」
・・・トクン・・・。
『・・・胸が痛い・・・』
「いつか話したよね・・・小さい頃から君は俺の憧れだった・・・地べたを這う俺が月に恋してしまった・・・飛んでも飛んでも届かない・・・だから頑張ったんだよ・・・」
『誰の事なの・・・私に言っている様にしか聞こえないよ・・・』
「でも、どんなに努力しても君は輝いていて君の傍にいても俺の手ではどうしても届かない・・・だから、また頑張ったよ・・・君に認めて欲しくて・・・君の笑顔が見たくて・・・」
『その人・・・誰なんですか・・・私の笑顔じゃダメなの?』
「志津音の誕生日にプールに行ったよね。平静を装っていたけど実はずっとドキドキしっぱなしだったんだ。その後、公園で初めて君を近くに感じた。」
『ああ・・・胸が痛い・・・私じゃないのに・・・何で胸が苦しいの・・・』
「その後、君が消えてしまい俺は気が狂いそうだった・・・でもね。俺はスキー場で君に会えるって分かってたんだ・・・不思議だよね・・・でも絶対に合える自信があった・・・。」
『それって・・・妙高高原じゃ・・・何で私の記憶の中に龍徳さんがいるの?(・・・・)』
「探しても、探しても君はいない・・・スキー板は流されるし・・・実は少し挫けそうだったんだよ・・・そうしたら記憶を失った君が俺を見つけてくれたんだ。あの時どれだけ俺が嬉しかったか分かるかい?」
『何で私の記憶に・・・龍徳さんが・・・(出して!)』
「俺が志津音を探していたのに、君が俺を見つけてくれた事がどれだけ嬉しかったか・・・1年経った君は美しかった・・・もう周りが見えなくなった。でも君は、俺を覚えていなかった」
『あ・・・何で・・・覚えてる・・・(お願い)』
「でも俺って諦めが悪くって・・・想いの限り愛を叫んだよ・・・そうしたら記憶がない君が俺の為だけに泣いてくれたんだ。俺がどれだけ嬉しかったか君は分からいだろうな・・・」
『ヤダ・・・また涙が・・・胸が痛い・・・(私と変わって!)』
肩を震わし泣いている事が分かる。
「記憶を失っても君の命は俺を覚えていてくれた・・・俺は嬉しくて、嬉しくて涙が止まらなかった・・・」
『(私も・・・嬉しかった・・・)』
「俺は自分の命より君が大事だ・・・だから君が崖に落ちそうになった瞬間に動けたんだよ・・・崖に俺が落ちる瞬間、君に「ゴメン」って俺がい言った事は覚えてないよね・・・」
『(覚えてる・・・ヒック・・・覚えてるよ)』
「あれね・・・君を投げ飛ばして「ゴメン」って言ったんだ♪考えてみてよ♪ 俺の命より大事な宝物を投げ飛ばすんだよ? 他に言う言葉あるだろうって後で思っちゃった・・・でも、アレが俺の本音だ。」
『(もう助からないって意味だと思ってた・・・それなのに・・・フフ♪龍徳君らしい・・・)』
「その後、ずっと君に会いたかった・・・けど・・・俺のせいでこれ以上傷付く君を見る事が怖くなった。だから・・・身体を完全に治してから迎えに行くはずだったんだ・・・」
『うぅ・・・そうだ・・・私が怪我を負わせたんだ・・・こんな優しい人を傷付けた自分が許せない・・・(出てこないで!)』
「色々あって結局、完全に回復するのに1年以上かかった。リハビリ中まともに動けない俺を何人かの女の子が助けてくれたんだ。皆、俺に惚れている子ばかりだ。」
『うぅ・・・勘違いするな志津音・・・お前の自惚れが招いた事でしょう・・・愚かな女・・・自分が憎い・・・(やめて)』
「だけど、それは俺が惚れているって事じゃない。どんなに彼女達が俺に惚れようとも・・・俺は志津音しか愛せない。」
『憎い自分が憎・・・えっ・・・(・・・いまなんて言ったの?)』
「俺って実はモテるんだ♪」
『(しってるわよ・・・)』
「だって・・・志津音を振り向かせるには全ての男より凄くならないとって思って頑張って来たんだから・・・そうしたら当然モテちゃうよね♪ 俺には志津音しかいないって皆知っているのに・・・」
『(えっ?・・・)』
「確かに仲良くなった子が何人かいるけどその子達には彼氏がいるんだ。」
『(うそ・・・)』
「あのね・・・志津音が俺に会いに来た事があるって健一に聞いたよ」
『うぅ・・・また勘違いするの志津音・・・彼の優しさに甘えるな!・・・自分がした事を忘れたとは言わせない・・・私は醜い・・・(いや・・・嫌よ!・・・消えてよ)』
「リハビリが終わって動けなくなった俺を毎日、助けてくれた子がいるんだ。ある時、一度だけ誰かが俺を呼ぶ声が聞こえたよ・・・あの時は気のせいだと思ったけど・・・あれ・・・志津音だったんだね・・・気が付かなくってゴメン。」
『うぅ・・・薄っぺら私の声など彼には届かな・・・えっ・・・聞こえてた・・・の?(あなたにも分かるでしょう! 彼の想いを無駄にしないで!)』
「あとね・・・この前お母さんと話した時に今の志津音も昔の志津音もどっちも志津音なのよって・・・教えてもらったんだ。最初は分からなかったけど今なら分かる。お母さんが言っていた通りだ。」
『・・・やめて・・・私は貴方が思うような女じゃないの・・・(これ以上彼を苦しめないでよ! お願い・・・私を出して!!)』
「志津音・・・俺やっとわかったよ・・・」
そう言って胸から志津音を離し、微笑みを浮かべながら両肩を掴む。
トクン・・・
『この微笑みが好き・・・だけど・・・私じゃ彼を不幸にするのよ!(やめて! 私はもう諦めたくないの!・・・お願いだから・・・彼に逢わせてよ・・・お願い・・・)』
「志津音そこにいるんだろう? 分かるんだ・・・命が君と繋がっているから・・・だから聞いて、自分を責めないで・・・傷つく君を見ているのが辛い」
龍徳の目からは涙が溢れ出す。
「うぅ・・・ダメ・・・(出して!これ以上、龍徳君の悲しい顔なんて見たくないの!!)」
「君を傷付けた自分を許せないよ・・・こんなにも愛した君を・・・我慢しようと思ったんだ・・・でも・・・無理だ。 俺は志津音しか愛せない・・・。」




