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そこにいる君に逢いたくて。  作者: 神乃手龍
79/85

SIDE:志津音数年前の出来事・・

こちらも良ければ読んでくださいね♪

■「そこにいる君に逢いたくて。」を新しくアップ致しましたので、宜しければご一読ください。

毎週水曜日と土曜日の朝7時に更新いたします

https://ncode.syosetu.com/n0341hc/


■「勇者撲滅! 2度目の人生はハッピーエンドで!」もアップしていますので宜しければご一読ください

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火曜日と金曜日の朝7時に更新します。11月分まで予約してあります。


■「小さな小さな 大冒険!!」続編を開始しましたので、宜しければご一読下さい。

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文字数は少ないですが、出来る限り毎日アップしていこうと思いますので宜しくお願い致します。


SIDE:志津音数年前の出来事・・・



「いやぁ~!!!・・・」

自分の声で目が覚めた・・・


「はぁはぁはぁ・・・またこの夢・・・」

今でも思い出すスキー場の出来事・・・

あの夥しい血痕・・・


「おはよう~」

「姉ちゃんおはよう・・・大丈夫?さっき・・・また魘されてたけど・・・」

「心配してくれて有難う♪ 大丈夫だよお姉ちゃん強んだから♪」


もうすぐ春休みだ・・・

あの事故の後、何度病院に行っても面会謝絶だった・・・

怖い・・・あの人がいなくなるって考えただけで・・・


普段通りの生活。

でも、私の心は不安に満たされている。


ある日突然、龍徳君が東京の病院に転院すると聞かされた。

毎日会えない彼をお見舞いに通い続けた・・・。


ある日、神木商事の木村さんと言う方が、私に転院先を教えてくれた。

早く会いに行きたい・・・。

心配で・・・不安で・・・心が押し潰されそうになる・・・。


木村さんから龍徳君の現状について手紙が届いていた

ある程度の事は聞いていたけど予想を超える重体だった事が分かり目の前が真っ暗になったけど、3回目の手術も無事に成功したと書かれていて少しだけホッとした。


GWにはお見舞いに来られる様にと親切に旅費を同封してくれていた。

未だに面会謝絶だと記されていたから春休みに行っても旅費が無駄になってしまう。


逢いたい・・・だけど・・・これ以上私のせいで迷惑を掛けたくない・・・。

でも・・・一目見るくらいなら許してくれるかな・・・


切なくなる程、愛している私の命より大事な人。

『逢いたい・・・逢いたくて胸が張り裂けそう・・・』


4月になって私は2年生に進級した。

逢いたい・・・

「龍徳君に逢いたい・・・あの笑顔で私に笑いかけて欲しい・・・。」

そして、抱きしめて欲しい。


木村さんから届いた手紙には、意識を取り戻して現在リハビリ中との事。

彼が目を覚ました事が嬉しい。

その事が嬉し過ぎて何日も泣いてしまった。


凄まじい回復力だから4月から学校に通っているかもしれないと記されていた。

逢いたい・・・

一目だけで良いから貴方に逢いたい・・・


GWまで我慢出来なかった・・・

彼に・・・龍徳君に逢いたい。


気が付いたら学校を休んで東京行きの電車の中だった。

『龍徳君・・・龍徳君・・・』

会えたらなんて言えば良いんだろう・・・


会えなかった2年分の想いを伝えよう・・・。

好きです。涙が出る程愛しています・・・。

もう2度と離れたくないの・・・身が切り裂かれそうな思いを彼に伝えたい。


『鈴木志津音は神山龍徳が好きです。 私は貴方しか愛せない。』


「うわ~・・・分かってたけど・・・やっぱり新潟とじゃ比べ物にならないなぁ~」

高層ビルに圧倒されてしまう。


「えっと龍徳君の病院は・・・」

メモを取り出し地図を見る。


最寄りの駅について病院に向かって歩いていると中の良さそうな男女3人が歩いてきた。

と言うより真ん中の男性を助ける為に2人の女性が助けているって感じ・・・

「あっ!」


すると会話が聞こえて来た。


「痛くない龍徳君?」

「ああ・・・平気だ・・・。」

「そんな顔して・・・平気じゃないよね?」



『龍徳君・・・凄く辛そう・・・それにあの娘達は・・・』

私の知らない女性が幸せそうな顔で龍徳君の傍にいる。

「誰だろう・・・」



「でも、最初の頃より良くなってきたよね♪」

「うん♪私もそう思う。」


『友達だよね・・・だったら私が行っても大丈夫かな・・・』

「龍徳・・・くん・・・」

『うそ・・・』


名前を呼んだ瞬間に分かってしまった。

驚きに思わず建物の影に身体を隠してしまった。

「今の会話・・・」


確かに聞こえた・・・

「今日も泊まって看病してあげるからね♪」

「良いよ来なくても・・・」

「ダ~メ♪ 私達、龍徳君の女なんだから♪」


心臓が煩い・・・

目の前が真っ暗に染まって行く。

「うそだよね・・・龍徳君・・・もう・・・そこには私はいないの?」


「・・・・・・! ん?今・・・」

「どうしたんですか?」

「いや・・・誰かが俺の名前を・・・」


「龍徳君・・・私はここよ・・・ここにいるわ・・・」

勝手に涙が溢れ出して止まらない。


「そう?聞こえませんでしたよ? 静音は聞こえた?」

「ううん。私も聞こえなかった・・・空耳じゃないの?」

「そうだな・・・」



「いや・・・行かないで・・・帰って来てよ・・・お願い・・・私を一人にしないで・・・」

自分の女々しさが嫌になる・・・


アレだけ凄い人に彼女がいない訳がない。

私のせいだ・・・私が連絡を取れなくなったせいだ・・・


それでも彼は私を探しに来てくれたのに・・・

覚えている・・・記憶を失った私に龍徳君は愛を教えてくれた・・・


記憶を失っている私の命に投げかける大きな愛。

心が震えた・・・命の全てを捧げるかのような告白だった・・・。


それなのに、私を庇ったせいで大怪我をさせてしまった・・・。

大怪我・・・どころじゃない・・・普通の人なら死んでいるほどの重傷。

私のせいだ・・・彼の身体を傷付けたのは・・・


彼はあの時

「記憶喪失が何だ・・・そんなもの・・・俺が・・・俺が治してやる・・・必ず・・・絶対だ!!」

そう言ってくれた・・・


あの瞬間、全て思い出したんだよ?

全てが手遅れになったあの瞬間に・・・


私のせいだ・・・私が記憶喪失になんてならなかったら・・・


私のせいだ・・・私がもっと早く記憶を取り戻していたら・・・


大好きな彼を苦しめて傷付けたのは私だ・・・

自分が嫌いになる

彼の愛情に報えない自分が大嫌い。


龍徳君が情熱を傾けたボクシング。

あれ程の怪我だ・・・それさえも私が奪ってしまった。

愚かな私が龍徳君に愛される訳がないじゃない。


その後、どうやって家に帰ったか覚えていない。

鏡を見たら酷い顔・・・

こんなんじゃ彼に嫌われて当然だ。


さっき見た二人・・・とっても綺麗だった・・・龍徳君を見る目が幸せそうだった。

少し前まで、私がいたポジションに他の女性がいて幸せそうに笑っていた。


あそこは、私だけの席なのに・・・

龍徳君をあの場所から見るのが好きだった・・・。

今では、失ってしまったその場所には違う美しい女性がいる。


それに比べて・・・自分が惨めだ・・・。

こんな醜い心が嫌いだ。醜い・・・何て私は醜いんだろう。


嫌われて当然だ・・・

本当だったら助からなかったほどの重傷を負わせたのは私だ・・・。

何て酷い女なんだろう・・・


何度彼を傷付けたんだろう・・・

心も・・・身体も・・・私の為に命を懸けてくれた龍徳君に私は何をしたの・・・

私は私が憎い・・・彼を傷付けた自分が憎い・・・


あんな男性は2度と現れない。

いつか迎えに来てくれる・・・そんな妄想を持っていた自分が愚かだ。


ここに引っ越してくるときに電話位掛ければ良かったのに・・・

そんなチャンスいくらでもあったはずなのに・・・

馬鹿で愚かで醜くて、彼を傷付ける残酷な女・・・それが私の正体だ・・・。


自分が嫌い・・・自分が許せない・・・


生きる気力がなくなってしまった・・・

龍徳君の存在は私の全てだったと今さら気が付く私が嫌いだ。


この頃、家族とまともに話していない。

心配してくれる弟の声が煩わしい・・・。


今日もお父さんとお母さんが喧嘩している。

また、私の事で喧嘩している。

私のせいで、家庭が崩れて行く・・・


もう・・・何も考えたくない・・・

そして、私は自分の心を閉ざした・・・。


私は誰?

私は何者?

分かっている・・・私は愚か者だ。


今となっては龍徳君の姿を思い出すのも失礼だ。

こんな女に思われるなんて・・・これ以上彼を侮辱する自分なんてもういらない・・・。






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