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そこにいる君に逢いたくて。  作者: 神乃手龍
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初恋の女性に認められたくて

毎週水曜日と土曜日にアップします。

作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。

文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。

気が付けば自分の睡眠時間を削ってまで走る様になっていた。

そんな中、音楽隊の練習に行く為に電車を待っていると純一に声をかけられた。


「おい!いつになったら来るんだよ!」

『あ・・・これ・・・デジャヴだ・・・』

その間も純一が何かを話しているが龍徳の耳には届かない。


『思い出した・・・そうだ・・・この後・・・俺・・・ボクシングに嵌るんだった・・・。』


龍徳の初恋の女の子は容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群で男勝りではあるが、面倒見の良い優しい性格で誰からも好かれるマドンナだった。


当時の龍徳とは正に月と鼈だった。

学校では、同じ班だったから仲良く話す事があっただけで、班が違えば話す事はなかっただろう。


その初恋の女の子に告白する勇気を持ちたくてボクシングを始めたのも切っ掛けの一つ。

頭脳は無理でも運動神経位は追いついてからでないと告白する事も出来ないと思ったからこそ大人の想像を超えるトレーニングをし続けた。


自分の未来にボクシングをやっている姿をデジャヴで思い出した龍徳は、純一と一緒に勝俣ボクシングジムに向かい入会を決意したのだった。


それからの龍徳は人が変わった様にボクシングに打ち込んで行った。

野蛮なスポーツを嫌がる母に言いう訳にはいかず、元から走り込んでいた時間帯に偶然、新聞屋の配達員と知り合う事が出来、変わりに配達する事でバイト代を貰える事になった。


団地12棟の全力の昇り降り

これが、最初はかなりきつかった。だがそれも僅かな時間で余裕になっていく。

最初こそなれない作業で4時間も掛かっていたのだが、3ヶ月後には1時間で配達を終えていた。


これには新聞屋も大いに喜んでくれた。

当時の新聞配達のバイトは相当儲けられたそうだ。

これによって龍徳は小学6年生にして毎月3万円もの大金を手にする事になる。


強くなる度に褒めてくれる会長にトレーナー。

父、昌男以外でここまで人に認められ褒められた事は記憶にない。

だから異常なスケジュールで龍徳は自分を追い込んだ。


夜の10時には就寝、夜中の1時に目を覚ますと布団に偽装工作をしてから家を抜け出し深夜2時半まで新聞配達。

それが終わると海までロードワーク。最初は走らなかった砂浜を今では当たり前の様に走り込む。


さらにアスレチックが完備されている公園で筋トレを行った。

ロードワーク10㎞と合わせて2時間程で戻ると朝方4時30分となっている。


流石に風呂に入らないと汗と潮風でベタベタなので、母親に見つかっても“寝汗をかいたから”や“昨日風呂に入りそびれたから”と言い訳し毎日シャワーを浴びる事にも成功。

そして、1時間半ほど仮眠をとると起床の時間。


学校から帰ると今まで通り習い事に行くまでの2時間は身体を動かして遊ぶ。

そして、気が付けば音楽隊をサボるっと言うより、勝手に脱退していた。


初恋の女性を後ろの席から眺めては幸せを感じ、吹奏楽で彼女の演奏を聞けば幸せを感じているのは変わらない。


『いつ見ても可愛いなぁ~♪ この子と付き合えたら絶対幸せだろうなぁ~』


そんな生活を続けているとあっと言う間に中学生となっていた。

英語の塾が無くなり部活と称し日曜日と土曜日は学校が終わると急いでボクシングに通った。


部活は、テニス部に入ったもののたかが3㎞走るだけで息を切らす先輩方に萎えてしまう。

部活は部活で塾があるからと週に2回しか参加しない。

それでも教わったことの反復練習は、ロードワークの帰りに通るテニスコートに無断で忍び込み毎日練習したのだ。


龍徳的には、筋トレと素振りや球拾いしか、させて貰えない部活より余程有意義な時間。

休むことなくみっちり1時間練習してから家に帰る様になった。

その結果、新入生同志でトーナメントを行い勝ち残った3名が新人戦に選ばれる事になり当然の様に優勝したのだった。


だが、これさえも周りの部員の反感があった。

理由は週に2回しか部活に参加していないからだ。


先輩たちはスマッシュの練習と称してフェンス越しに一年生を立たせるとそれを目掛けてボールを打ち込む。何の意味もない事を正当化していた。


当然、龍徳もやらされるが、目の前のパンチを避けるボクシングに比べて遅すぎる。

当たり前の様に躱し、叩き落す。

痛がる新入生の中、龍徳だけは喰らった事がない。


そう言ったところも気に食わなかったのか一年生だけでなく2年生も龍徳の事を認めなかった。

結果、2年生とも試合をする事になりテニスを初めて数ヵ月の龍徳が当時のテニス部部長を倒せるとは誰も思わなかったのだろう。


負けたら退部と訳の分からない事を言いだした。しかも相手は部長だ。

だが、結果は圧勝6-0のストレートで龍徳の勝ちであった。


龍徳からすれば当たり前の結果。

今では2時間フルに走り続けるだけの持久力と一瞬で間合いを詰めるフットワーク。

さらに中学1年生にして75㎏のベンチプレスを上げる筋肉。

目の前に迫るパンチを見切る動体視力と反射神経。

そうした身体能力を持っている少年が、誰よりも濃密な練習を毎日していたのだ。


ハッキリ言ってしまえば拍子抜け。

サーブは遅く。リターンもあまい。

持久力がなくコースを付いたリターンに追いつく事が出来ない。

これで県大会常連とは正直冗談かと思ったほどだ。


だが、この事が原因でさらにやっかみが酷くなった事と呆れた事で、龍徳は退部したのだった。結果としてみれば、親にも内緒だから好きなボクシングにさらに時間を費やす事が出来た事が幸せに感じた。


中学2年に進級し偶然、初恋の女の子と同じクラスになれた。

知らなかったが、バスケ部らしい。


小学生の頃にミニバスをやっていたのだから当然と言えば当然だったのかも知れないが、龍徳はそんな事を考えられるほど頭が良くない。


偶に見かけはしたものの同じクラスになって改めて思う。

『やっぱり可愛いなぁ~』

ある意味ボクシングより惹かれた。

たったそれだけの為に、2年の途中で男子バスケ部に入部を決めたのだった。


バスケ部の練習はキツイ。

そう言われていたが、最初から簡単に熟してしまう。

だが、テニス同様に週2日・・・否、彼女を見たいが為に週3日の参加だった。


流石にドリブルやシュートなどやった事がないからメチャクチャ下手糞だった。

他の部員たちが誰一人外さないので、恥ずかしくなってしまう。


チラッと初恋の女性に目を向けると笑われている気がした。

その為、以前はテニスに費やしていた時間をバスケに費やす。

元からジャンプ力が無かった訳ではないが、徹底的にジャンプ力を鍛えるようになった。


小学生の頃から付け始めたパワーリストとパワーアンクルだが、今では、片手片足共に重さ2.0㎏を付けて走っていた砂浜をジャンプしながら往復する様になり深夜の新聞配達も階段をジャンプしながら登って行った。


今では距離が伸びたロードワークを少し減らし海岸沿いの道をドリブルしながらロードワークするようになっていった。

そして、公園に行くと様々なシュートの練習。


基本のレイアップが入るようになってからは100本連続で入らなかったらやり直しをする程徹底していく。

これに慣れるとフリースローの練習とスリーポイントの練習。


これまた、コツを掴むと30本連続で入らないと最初からと自分を追い込んで行った。

当たり前の様にシュートが入るようになると今度は動きながらシュートを入れる練習。

ドリブルも漫画を参考に様々なドリブルを練習していった。


日々、身体能力が上がって行く龍徳だったが、この練習の結果、垂直飛びが85㎝と脅威の数字を叩き出し助走を付ければ1m30㎝を超える様になっていた。

未だ小学生と思われる程、身長が低い龍徳だが、高さ305㎝のバスケットリングに触れるほどのジャンプ力となっていた。


その結果、努力は実を結ぶ。

入部、僅か3ヶ月でレギュラーに抜擢。

愛しのマドンナにも声をかけられるようになっていた。


「凄いじゃん今のシュート♪ 神山君だけ重力がなくなったみたいだったよ♪」

「マジで?」

『今日も可愛いなぁ~♪』

肩に着く位の髪の長さで前髪を可愛らしい髪留めで止めている。


「うん♪ 凄いよ神山君♪」

「それ程でもないよ・・・」

『この髪留めってあの時のかな・・・ってそんな分けないか・・・』


志津音が感じたイメージは間違いではない。

これはジャンプ力の違いと最高到達地点の差が生む錯覚なのだが、先にとんだ龍徳より後にとんだ部員の方が先に落ちていくのだ。


エアーウォーク。

そう言われる滞空時間の長いジャンプ力を身に付けていた。

だからこそ切り込んでのレイアップさえ武器になった。


何故ならフリースローラインから飛んでもバスケットリングに触れそうなほどの跳躍と全力疾走でもドリブルが可能になった事。

その結果、ドリブルの速さと切り返しの速さにより誰も付いてこられなくなっていた。


初恋の女性に

「凄い!凄いよぉ~♪ 神山君才能あるよ♪めちゃくちゃ努力したんだね♪」

っと喜ばれるたびに身体に力が漲ってきた。


その彼女の微笑みが見たいが為に規格外の練習をし続けた。

気が付けば、動きながらのスリーポイントの成功率も40%とシローとにしては素晴らしい確率で、気が付けば女子ともかなり仲良く喋れるようになっていた。


だが、またしてもやっかみを受ける様になってしまう。

理由は以前と同じ。


龍徳が此処まで努力したのは、今の自分では告白するのも烏滸がましいと思っている惚れた女の前でカッコ付けたかっただけなのだ。

日に日に上達し、気が付けば声を良くかけてくれる程、仲良くなれた。


この数ヶ月間の努力が実り本当に幸せだった龍徳だが、幼少期からの人の悪意には敏感に反応してしまう。

テニス部もくだらない嫌がらせをされたが、バスケ部の場合暴力を振るわれた。


正確には避けたので問題はなかったのだが、

「お前この頃、調子に乗ってるよな?」

「偶々運が良かっただけで勘違いしてんじゃねぇ~よ!」

「お前が入るとリズムが崩れるんだよ!」


いつもの龍徳なら反抗などしなかったのだろうが、ここには惚れた初恋の女性、鈴木志津音がいた・・・だから情けないところを見られたくなかった。


「はぁ?リズムが崩れるってお前等の動きが遅いからだろう?」

これが良くなかった。

『ヤベッ・・・これ・・・記憶にある・・・。』


部員全員が馬鹿にされたと激怒した。

この頃、女子部員から良く声をかけられる様になった事も癇に障ったらしく

「この頃、女にちやほやされて調子こいてんじゃねぇよ!」

様々な馬頭が飛び交う中、流石にイラっとしてしまう。


極めつけが暴力。

余りにもくだらな過ぎて龍徳が鼻で笑った事が癇に障ったのか突然殴りかかってきた。

龍徳はそれをヒョイっと躱しただけなのだが、勢い余って鉄の加護に突っ込み額を切ってしまった。


相手が勝手に突っかかって来て勝手に怪我をした。

それだけの事なのだが、全て龍徳が悪いと次々に手を出す部員に堪忍袋の緒が切れてしまった。


今では、8回戦のプロボクサーと対等にスパークリングをする事が出来る龍徳は

「ボクシングを喧嘩に使うなよ!」とさんざん言われていたのだが・・・


「ハハ・・・大人しくしていれば・・・どこまで人を見下せば気が済むんだ?・・・雑魚が・・・年が上だからって調子に乗ってんじゃねぇよ!」

そして、3年の部長にボディーアッパーを叩き込む。当然手加減はした。

続けざまに左右の先輩にもボディーを食らわせた。


ほんの一瞬の出来事。

偉そうにしていた他の先輩方がそれを見て激怒。

すかさず迎撃。


投げ付けられたボールをカウンターで迎撃し相手にぶつける。

気が付けば全員が苦しそうに地べたに這いずっていた。

『ああ・・・そう言えばこれも見た事があったっけ・・・』


その後、全員が口裏を合わせて龍徳が悪いと退部に追い込まれた。

龍徳は自分の運命に嫌気がさしていた。

頑張れば頑張る程、認められない。


別に褒めて貰えなくても努力の結果は認めて欲しい。

ただ、それだけの事なのに・・・

暴力沙汰として取り上げない代わりに退部を要求され納得のいかないまま、バスケ部を後にした。



こちらも良ければ読んでくださいね♪

■「新世界!俺のハチャメチャ放浪記! 記憶喪失の転生者」もアップしましたので宜しければご一読ください

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■「勇者撲滅! 2度目の人生はハッピーエンドで!」もアップしましたので宜しければご一読ください

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