バカだなお前
龍徳君がカラオケを出てから既に30分が経過していた。
マンションに行っても逢えない可能性が高い。
そこで神木商事に向かう事にした。
理由は、さっき龍徳君が忙しいって言っていたからだ。
そうなら会社に向かう可能性が高いはず!
急いで、神木商事に向かったらちょうど龍徳君がオフィスビルに入って行く姿が見えた。
「良かった!・・・でも・・・終わるの何時頃になるんだろう・・・。」
そう思って公衆電話で母に電話を掛けた。
「お母さん・・・今日遅くなるかも・・・」
「さっきカラオケに行くって言ってたけどもっと遅くなるの?」
「うん・・・これから・・・龍徳君の家に行こうと思う。」
「そう・・・良いわ・・・お父さんの心配はないし、学校の事もお母さんが何とかするから頑張ってね♪」
娘の不良行為を応援する母に胸が温まる。
「うん・・・ありがとうお母さん」
そして、龍徳君のマンションの下で待つ事2時間。
暗闇からコツコツと足音が聞こえて来た。
「お帰りなさい龍徳君。」
「何やってんだよ望。」
『いつもと雰囲気が違う気がする・・・でも、ちょっと疲れているのかな?』
予想通り私の事を追い返そうとするけど最初から分かっていた事。
危険時間帯に私を放り出せる人ではない事は分かっている。
「そうですよね。龍徳君の顔も見られたから私、帰りますね♪」
「チッ・・・この時間に女の子が一人でいたら危険だろうが!電話を貸してやるから上がっていけ。迎えに来てくれるまでいさせてやる。」
ね♪やっぱり優しい。
初めて龍徳君の部屋に入ったら予想以上に綺麗なお部屋でした。
広い玄関を抜けるとセンスの良い絵が廊下に飾ってあってリビングに入ると角部屋だからか180度夜景が広がっていた。
こうなると当初の目的もありますが、他にも見たくなります。
「あまりウロチョロするな!あっオイ!」
こんなチャンス2度とないかも知れませんから龍徳君には申し訳ないですが、全部見せて下さいね♪
トイレも綺麗。お風呂に至ってはホテル並み。寝室も客間もリビングの間違いかと思いました。
親に電話して迎えに来て貰えって言われましたけど・・・
ごめんなさい・・・
時間稼ぎして終電に間に合わない様にしないと・・・
そうすればきっと・・・
「で、誰も来ないから帰ると・・・12時だけど電車はあるのか?」
「えっと・・・」
「あっ!後5分しかありません。やっぱり私帰りますね!」
「バカか!間に合う訳がないだろうが!ちょっと待っていろ!」
龍徳君が慌ててあちこちに電話していますが・・・何処にもつながりませんように。
「マジか・・・」
私の祈りがちですね♪
「あの~ごめんなさい・・・ブッ・・・痛ぁ~い何するんですか~?」
何投げたのぉ~・・・これって・・・
「寝間着に使え!コッチも連絡が取れなかった。」
「え・・・それって・・・泊って行って宜しいんですか?」
「絶対に他言するなよ!隣の客間が開いているからそっちを使え!」
「エヘへ♪ やっぱり優しい♪」
「チッ・・・望・・・確信犯じゃないよな?」
「何の事ですか?」
「いや・・・何でもない」
確信犯でごめんなさい・・・
その後、お風呂を進められたけど・・・
ゴクリ・・・チャンスかも・・・ガードの硬い龍徳君に迫るには・・・恥ずかしいとか考えている場合じゃありません。
何としてでも龍徳君に先に入って貰わないと・・・
そして、龍徳君のシャワーを浴びる音が聞こえて来た。
「私の心臓煩い!・・・こんなチャンス2度とないかも知れないんだから・・・覚悟を決めるのよ望!!」
そう言って自分の服を脱ぎバスタオルで身を包む。
シャワーの音が変わった。
どうやら頭を洗い始めたようです。
こ・ここで行かないと・・・
そ~っと扉をあけて
「失礼しますね。」
「なっ!何やってんだ!? お前まさか裸じゃないだろうな!」
はい。裸です。
龍徳君はシャンプーが目に入るから目を開けられない
予想通り!
嫌がられるのは分かっている。
だから・・
「よ・余計なお世話だ!兎に角外に出ていろ!」
「は~い♪」
外に出たふり。
絶対にバレない。
「なっ!お・お前・・・外に出たんじゃ・・・」
「出ていませんよ?」
「それに・・・裸じゃないか!」
「違いますよぉ~タオル巻いているじゃありませんか♪」
ドキドキが収まらない・・・絶対に出て行かない!
こうなったら・・・タオルを・・・
「なっ!」
「あぁ~タオル取れちゃいました」
慌てる龍徳君・・・本当に私の事を心配している事が分かる。
ごめんなさい・・・でも、私の覚悟はこんなもんじゃありませんから!
「ななななな・・・何やっていやがる!」
「何って恥ずかしいので、身体を隠そうかと・・・」
「お前やっぱり確信犯だな!」
「はて? 何の事です? それより折角だからお背中お流ししますね♪」
「兎に角胸をどけろ!」
「えぇ~そんな事を私にさせるんですか?恥ずかしいですけど・・・分かりました。」
「何言ってんだ?」
は・恥ずかしい・・・でも・・・身体で・・・
「アン♪・・・これで宜しいですか?」
「ば・バカか!な・や・やめろ!」
身体を擦り合わせると何だか変な気持ちになってしまいます。
でも・・・口で私の・・・ち・乳首を・・・
なんだろう・・・身体がムズムズします。
そして、今度は龍徳君の腕で胸を触られ・・・
「アン・・・今度は手で・・・はぁはぁ・・・龍徳君がその気なら・・・」
き・気持ちが良い・・・好きな人に触れられるって・・・こんな感じなんですか?
龍徳君も気持ち良くなって欲しい・・・
あ・・・龍徳君も私に・・・興奮してくれている
凄い・・・硬い・・・これが・・・私に・・・
「手を放せ・・・擦るんじゃない」
も・もう・・・何も考えられない・・・
あ・・・あそこに座ったら・・・どうなるんだろう・・
ああ・・・当たってる・・・凄い・・・私ったら・・・信じられない事をしてる・・・。
龍徳君・・・そ・そんな・・・胸まで・・・何なのこんなの知らない・・・身体が勝手に・・・
「ば・・むぅ・・・ヤバい・・・むむぅ・・・」
「そ・そんな・・お口でそんなに刺激されたら・・・ンン・・・」
「や・やめ・・・こ・・・腰を振るな・・・」
「アン・・・当たって・・・ああ・・・入っちゃう・・・」
「止めろっつってんだよ!」
完全に嫌われた・・・でも・・・ごめんなさい・・・
後少し・・・後少しで私の願いが・・・お願い・・・お願いだから・・・
「いやだ・・・いやぁ~・・・ッツ!・・・は・入った・・・ンン」
これで私の目標は達せられた・・・このまま2度と口を聞いて貰えないかも・・・
私のせいで龍徳君を傷付けてしまったかも・・・
そう思って諦めかけていたのに・・・
「入ってねえよ!馬鹿が・・・良いんだな!俺はお前を抱いても何の感情も湧かないからな!それでも良いなら抱いてやるよ!」
「そ・それでも・・・それでも良いの・・・お願い・・・」
馬鹿な事をやっている自覚はある。
それでも・・・それでも私の灰色の人生を彩ってくれるのは貴方だけなの・・・
貴方しかいない・・・誰に何と言われても構わない・・・。
「悲しくないのか? 虚しくないのか? 愛情がないんだぞ?」
「それでも良いんです! 初めての人は龍徳君じゃなきゃ嫌なの!!・・・都合の良い女で良いから・・・だから・・・お願い・・・」
「お前も相当に病んでるな・・・」
龍徳君の声が・・・変わった?
そう・・・私は病んでいる・・・龍徳君に相応しくないのも分かってる・・・だけど!
「龍徳君が惚れている女性がいるのは知っています・・・だから・・・その人が目の前に現れるまで・・・それまでの一人で良いから・・・」
「バカだなお前・・・」
さっきまでと違う優しい声・・・なんで?
でも・・・私が馬鹿だって初めて知りました・・・。
ずっと良い子を演じてきたから・・・だから・・・
「バカ扱いするのは龍徳君位です。」
なんだろう・・・龍徳君が優しい。
心と心が繋がった感じ・・・
気が付いたら涙が・・・これは・・・嬉し涙なの?
「続きはベッドでだ・・・」
そう言って龍徳君が私の事を優しく抱きしめてくれた
それからは凄く優しくしてくれた。
シャワーを浴びて体を軽く吹いたらお姫様抱っこで寝室に・・・
涙が止まらない・・・
絶対に嫌われると思ったのに・・・何でここまで優しくしてくれるの?
ベッドに横たわり優しく唇を重ねると身体に電気が走った気がした。
『ハァハァハァ・・・今の何・・・』
それからは、自分が自分で無くなって行く感じがした。
快感が身体全体に迸った。
龍徳君が触れた場所の全てが敏感に反応してしまう。
自分の身体が歓喜している事が分かる。
龍徳君の声が近くで聞こえる・・・夢?
夢じゃない・・・幸せ過ぎて怖くなる。
時が止まれば良いのに・・・
何回したか分からない・・・
痛みなんて全くなかった・・・
初めてなのに・・・
龍徳君も私に興奮してくれている
嬉しい・・・夢みたい・・・
最後の方は獣の様に声を出している自分がいた。
私には龍徳君との思い出がある・・・。
これで私は生きていける。
歳を取っても幸せな思い出がある限り・・・
私の見る景色は色あせる事はない・・・。