夢じゃなかったりして
元から着替えられる様に置かれていた新しいパジャマに着替えると今度は足を拭き始めた。
布団の中で下を脱いで下着が見えない様にバスタオルで隠し終えると太ももから足元に向けて拭かれ始めて行く。
「あん・・・くすぐったいよぉ~」
『これやばいかも・・・ゾクゾクする・・・』
「我慢出来なくなるから変な声を出すなよ・・・」
「変な声なんて出してないもん! 龍徳君のエッチ~・・・アン♪」
『ヤダ・・・声出ちゃった・・・恥ずかしいよぉ~・・・』
龍徳は龍徳で
『志津音は病人!志津音は病人! これは看病!これは看病!』
っと念仏の様に唱えながら拭いているのだが
志津音の声が聞こええると
『志津音は病人! (アン♪) 志津音はエロイ! これは愛撫!違~う!!!』
「マジで変な声止めて! 勘違いするから!」
「だって!龍徳君が変なところ触るんだもん!」
「仕方がないだろう!根元や太ももは!こうやって拭くしかないだろう?」
「アン♪ だからそれがダメなの~ ヤン♪・・・それがゾクゾクしちゃうんだもん・・・」
「ブホッ! ヤバい・・・俺の理性が・・・しゅ・終了で・・・」
「う・うん・・・」
『はぁ~興奮した・・・ドキドキが収まらないや・・・ウフ♪ やっぱり私は大事にされているんだね♪ キャァァァ~♪ 今夜眠れないかもぉ~♪』
その頃、片付けている龍徳は
『エロイ!エロ過ぎる! ヤバい・・・俺犯罪者になるかも・・・』
同年代の上に愛し合っているのだから問題ないのだが、どうしても精神年齢が邪魔してしまう。
そもそも年配者だとしても結婚を前提としてさえいれば何の問題もないのだが、どうしても純粋な少女をたぶらかしている様なイメージが拭えなかった。
片付け終わると既に着替え終わった志津音が自分の布団のシーツを交換しようとしていたので、龍徳が変わってシーツを取り換えた。
「何か恥ずかしいよぉ~」
さっきまでもっと恥ずかしい事をしていたのだが、寝汗で湿っているシーツを触られる方が余程恥ずかしいと思ってしまうようだ。
それを見て龍徳が悪戯な表情を浮かべた。
「ほうほう♪ 志津音はこれが恥ずかしいと♪ だったらこうだ!」
そう言って丸めたシーツの匂いを嗅ぎ始めた。
「キャァァァ~!変態~!!」
「あぁ~良い匂い♪ 好きだなぁ~この匂い♪」
「いや~ それ以上は匂いを嗅いじゃやだぁ~」
「このシーツ俺に頂戴よ♪」
「いや!」
「だって・・・これがあれば志津恵に包まれている感じがするんだよ・・・」
そう言われて一瞬考える。
「うっ・・・気持ちはわかる・・・けど・・・やっぱり恥ずかしいからダメェ~!!」
「ハハハ♪ やっぱりダメ? じゃ~仕方がない諦めるか♪」
「もぅ~いつも揶揄うんだから~!! 嫌い!」
プンっと拗ねてそっぽを向くが
「俺はどんなに嫌われても好きだよ♪ 志津音の全部が好きだ♪ だから怒った君もとっても魅力的に感じるよ♪」
「ハワワワワ・・・わ・私だって好きだもん! 嫌いじゃないもん!」
「クスクス♪ ありがとう♪」
「もぅ~ズルいよ~ 私が好きなの知っているのに~」
「そう言うところも好きだよ志津音♪」
「バカ・・・」
『もぅ~ヤッパリ会えば逢うほど好きになっちゃうよぉ~。絶対他の異性に興味持つ事ないや・・・自分でも訳わかんない位好き過ぎるもん・・・』
「それにしても・・・どうやら熱が下がったみたいだな?」
「えっ?・・・・・はっ!」
熱が38.5分ある設定でいたのをすっかり忘れていた。
「あぁ~そう・・・かな? うん♪ 熱下がったかも♪ アハハハハ・・・」
『マズい・・・幸せ過ぎてスッカリ忘れてた・・・』
龍徳のリアクションが心配でチラチラと見てしまう。
「クスクス♪何でいきなりションボリしてんだ? 解熱剤が聞いたからと言っても体力が低下しているんだから横になってないとダメだぞ?」
「うん・・・龍徳君・・・何時までいてくれるかなぁ~って思って・・・」
「何時まで? 志津音のお母さんが帰ってくるまでいるに決まっているだろう?」
「本当~♪」
「クスクス♪何でそんなに目を輝かせているのやら♪ そんなに嬉しいのか?」
「うん♪ エヘヘ♪ やった~♪」
『そう言えば龍徳君が私を放って帰る分けなかった♪ 馬鹿みたい私♪ 龍徳君にとっては当たり前なんだもんなぁ~ エヘヘ♪ 凄く嬉しい♪』
「可愛いなぁ~♪ その笑顔に俺はメロメロだよ♪」
「フフ♪ 龍徳君と一緒だと勝手に笑顔になっちゃうだけだよ♪」
「クスクス♪ 俺と一緒だな♪ さぁ~ベッドに入って!」
「は~い♪」
途中、心配したお母さんが電話をくれたようで、龍徳が心配して来てくれた事と熱が下がった事を報告して電話を切ると
「お母さんが龍徳君にありがとうって言っておいてだって♪」
「気にしなくて良いのに」
その後、夕食を作って2人で食べ終わり、かたし終えてから志津音の部屋に向かうと
志津音が隣に来て欲しいと言い出したのでベッドに枕やクッションで背もたれを用意すると志津音の横にもたれ掛かった。
「ウフ♪ 幸せ♪」
無邪気な顔で龍徳の胸に寄りかかる。
「今日の志津音は甘えん坊だな♪」
「うん♪ お家デートみたいで凄く幸せ♪」
「何をやっても可愛いなぁ~♪」
我が子をあやしていた時の癖で志津音の背中に回した手で腰辺りをポン、ポンっと叩いてしまう。
「フフ♪ お子ちゃま扱いされても良いもんねぇ~♪」
「そうか♪」
するとクンクンっと志津音が龍徳の匂いを嗅ぎ始めた。
「エヘヘ♪ この匂い好きだなぁ~♪」
「汗臭いか?」
「ううん。龍徳君の匂い♪」
「ほら♪俺と一緒じゃん!」
「ん?」
「匂いって言ってるし!」
「あっ! か・香りの間違い!」
「ふ~ん。じゃ~もう一度匂いを嗅いでから言ってみな♪」
「そんなの簡単じゃん♪」
そう言ってもう一度龍徳の匂いを嗅ぐと
「はぁ~この匂・・・香り・・・ん~? この香り・・・んん?」
何か分からないが不思議な顔をするともう一度龍徳の匂いを嗅ぎ始めた。
そして、満面の笑みを浮かべて
「はぁ~この匂い好きだなぁ~♪ エヘヘ♪」
「開き直りやがった・・・ったく・・・これで俺の気持ちも分かったな!」
「うん♪ 何か分かんないけど香りじゃないよね♪ 龍徳君だ~い好き♪」
「あっ・・・それ以上身体を押し付けたらヤバいから!」
「えぇ~なんでよぉ~!」
「いや・・・俺としてはとっても有難いんだけど・・・」
「有り難いけどなによぉ~」
『これは・・・ノーブラだって完全に忘れているな・・・』
先程から押し付けられるたびに先端の感触があった。
「えっと・・・ブラジャーしてないの分かっているか?」
「そう言われて自分の胸を見る。
「そ・そうだった・・・もしかして・・・」
「おう♪ メチャクチャ興奮したぞ♪ 何度押し倒そうと思ったか分からん♪」
「ヒッ・・・ヒャァ~・・・ごごごご・ごめんなさい・・・」
「いやいや・・・結構なものをお持ちで♪」
「ヒィ~それ以上喋っちゃダメ!! 恥ずかしいよぉ・・・」
慌てて龍徳の口に自分の左手を当てる。
「ウーム・・・その体制・・・色っぽ過ぎるんだが」
身体を捻って龍徳の口を塞いだことで、胸元がクッキリ見えてしまう。
「も・もぅ~龍徳君のエッチ~!!」
「ハッハッハ♪ 何と言われようが今の俺は理性の限界で余裕がありません。」
そうなのだ。実は少し前から龍徳の頭の中では天使と悪魔がガチで争っていた。
志津音としてはワザとではないのだが、龍徳にくっ付きたい気持ちが強過ぎて上半身だけではなく下半身さえも龍徳の足に絡みついていた。
薄地の布越しに身体全部で抱きしめられた事で、どんなに無心になろうが悪魔の囁きが優勢であった。
「えっと・・・離れた方が良いよね?」
「それは寂しいから却下で!」
「えぇ~それは難しいよぉ~」
「今以上動かなかったら大丈夫・・・が・我慢できるか?」
「プッ♪ 何で疑問形? 全然我慢出来そうにないんだけど♪」
「だ・大丈夫だとおもう・・・よな?」
「やだもぉ~♪」
ケタケタと笑う度に志津音の胸が当たる。
『あん・・・やだ・・・声でなかったよね・・・』
そぉ~っと龍徳の顔を見ると白目をむいて燃え尽きていた。
「プッ♪もぅ~そんなに私の事が大事なの?・・・」
『今日は幸せだったなぁ~・・・時が止まれば良いのに・・・』
気を失った龍徳の胸に頭を埋めると龍徳の匂いと心臓の鼓動が子守唄。
『寝ているだけなのに・・・凄く幸せ・・・』
そして、見る夢は龍徳と暮らす幸せな日々。
大好きな人と夢で逢えたらどんなに素敵な事かを2人は知っている。
気が付くと2人とも笑みを浮かべて眠りについたのだった。
「う~ん龍徳君・・・むにゃむにゃ・・・エヘヘ♪」
夢の中で龍徳とどんな夢を見ているのか・・・っとここで志津音の眠りが浅くなった。
「ここどこだっけ・・・龍徳君がいる・・・ん~・・・あぁ~これも夢かぁ~♪」
トロ~ンっと寝ぼけ眼で龍徳の顔を見つめると
「エヘヘ♪ 夢だから我慢しないもん・・・大好き~龍徳~♪」
そう言って龍徳にキスしてしまった。
「ん~妙に生々しい夢だなぁ~ でも・・これでキスが5回目だ~♪」
どうやら夢の中では既に4回も龍徳とキスをしていたらしい。
そもそも毎日、龍徳の写真にキスしているのだから夢だと思えば理性などない。
っと、ここで余りにも生々しい感触に我に返った。
『あれ・・・もしかして・・・夢じゃなかったりして・・・』
龍徳の口からそぉ~っと離れて行き自分の頬を抓る。
「痛い・・・マズい・・・やっちゃったかも・・・」
普通のヒロインならここで慌てるのかも知れないのだが・・・
「うん! 龍徳君が寝ているからこれはノーカンで♪」
龍徳の前だけ女性になるだけで基本的には男勝りの志津音の性格はくよくよする事など殆どないのだ。
自分を子ども扱いできるほどの器の大きさに心が惹かれ。
素直に甘える事が出来るだけなのだ。
「フフ♪ 良く寝てるなぁ~♪」
『良く考えたら・・・龍徳君の眠った顔・・・初めて見るかも・・・』
そう思ってマジマジと龍徳の顔を覗き込む
『まつ毛長いなぁ~・・・うわっ・・・寝ててもカッコいい♪ フフ♪幸せ~♪』
すると龍徳が寝言を言い出した。
「むにゃむにゃ・・・志津音・・・むにゃ・・・結婚するぞ・・・ン~・・・」
「クスクス♪ 私と一緒だ♪ 寝ていても私の夢を見ているんだね♪」
そして龍徳の胸にまたしても顔を埋めるとあっと言う間に夢の世界へと旅立った。
志津音の凄いところはウッカリキスをノーカンと思いこんだ事で、記憶から本当に消去されている事だ。
「ただいまぁ~・・・靴があるって事は龍徳君がまだいるって事よね・・・」
そして返事がない志津音の部屋をそっと開ける。
「あらあら♪ 2人共幸せそうな顔して・・・写真撮っちゃおう~っと♪ フフ♪ 良い写真ね♪」
翌日この写真で母親に揶揄われる志津音の姿があった。
「もぅ~お母さんったら~!!・・・でも・・・その写真後で頂戴ね・・・」




