龍徳と比べると・・・
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
「ってな事があったけど、全部片付いたよ♪」「
「ふ~ん・・・良かったね!オモテになって!」
先日の告白事件の報告を志津音にすると当然の如く嫉妬された。
「志津音・・・」
「なによぉ~!」
「ごめん・・・」
「ふんだ!別に怒ってないし!」
「違うよ・・・ゴメンって言ったのは、今の話をしたら志津音が嫌な気持ちになるのが分かってたけど・・・志津音だけには嘘を吐きたくないんだ。 俺の命より大事な君を傷付け手本当にゴメン・・・。」
電話越しでも伝わる誠実さ。
「もぅ~!ズルいよ龍徳君!」
「そうだな・・・俺はズルい男だ・・・ゴメン・・・君を傷付けた自分を許せそうにない・・・」
『当然だよな・・・逆の立場だったら・・・考えただけでも怒りが湧くよ・・・』
「そう言う事じゃないもん! 龍徳君は悪くないもん!」
「えっ・・・」
「私ばっかり妬いてばかりだもん! 私ばっかり龍徳君に惚れるんだもん・・・ズルいよ・・・私だって龍徳君と同じ学校が良いのに・・・羨ましいって嫉妬してばかりだもん!!」
「志津音・・・」
「なによぉ~! もぅ~龍徳君のバカぁ~! もっと来てくれないと・・・我慢出来ないよ・・・グス・・・ダメだって分かっているけど龍徳君に逢いたいの!! 来て欲しいの!! 離れたくないの~!!」
「ああ・・・俺も逢いたくて気が狂いそうだよ・・・」
「私も我慢の限界だもん! だから・・・私を喜ばせる事を言ってくれなきゃヤダ!」
「クスクス♪」
「何で笑うのよぉ~」
「隣にいないのに志津音がいる気がするよ・・・それが嬉しくって・・・」
「もぅ~!私だってそうだもん! でもそんなんじゃやだ!」
「クス♪ そうだな・・・じゃ~こんなのはどうだ?」
「どういうの?」
「クリスマスイブには志津音に会いに行くよ・・・」
「うそ・・・本当に?」
「本当に♪ だから、その日は、俺の為に開けておいてくれますか?」
ドキッ・・・
「はい・・・」
『いきなりそんなカッコいい声で・・・もぅ~ズルいよ・・・』
「絶対だよ!」
「ああ♪ 約束だ♪」
「やった~♪・・・あっ・・・コホン、し・仕方がないわね・・・開けておいてあげる。」
電話越しに喜びを我慢している事が伝わってくる。
「有難うございます♪お姫様♪ 当日は、わたくし神山龍徳が志津音様を全力でエスコート致します♪」
『電話だけでもカッコいいんだからぁ~・・・顔が熱いよ~・・・ダメだ・・・嬉しくてにやけちゃう♪』
「うぅ・・・じゃ~許してあげる♪」
「クスクス♪ クリスマスイブはどこに行きたい?」
「ウォルトランドに行きたい♪」
「混んでるぞ?」
「それでも良いの♪」
「了解♪ じゃ~とびっきりゴージャスに楽しむか♪」
「イエ~イ♪ 龍徳君とデートだ♪」
「クスクス♪ 喜んで頂けたようで何よりだ♪」
「ねえねえ!何時に待ち合わせする?」
「朝一から遊びたいか?」
「うん♪ 龍徳君に早く会いたいし♪」
「だったら開園に合わせて8時に改札口でどうだ?」
「は~い♪ あっ! 今度こそユックリ来ないとダメだからね!」
「・・・・・努力する。」
「そこは、わかったでしょう?」
「いや~無理じゃないかなぁ~」
「もぅ~!だったら龍徳君は9時に集合!」
「何で?」
「そうしないと私よりも早くいるもん! 私が龍徳君を待っていたいの!!」
「ったく・・・本当に電話でさえ惚れ直させるとは・・・分かった!俺の負け! 当日の集合時間は8時のままで、俺は15分以上早く行かない!・・・それで良いか?」
「うん♪ やった~♪ ウフフ♪ 楽しみだなぁ~♪」
「ああ♪そうだな♪」
そして、龍徳の学校より1週間遅れで志津音の学校でも球技大会が開催された。
ここで言いたい事は、やはり志津音もとんでもない運動神経の持ち主だったと言う事。
志津音はバレーとバスケでエントリーしていた。
バレーボールでは、バレーボール部員のアタックを拾いまくり試合中にバレー部員が監督に激怒される珍事件があった。
理由は、素人に本気でアタックを撃って8回連続返されたからだった。
流石にバレーボールとなるとボールを繋ぐ性質上、志津音一人の力で勝てるものではない。
それでも準優勝になったのは、志津音の運動神経の賜物である事は間違いない。
そして、バスケに至っては、決勝戦を75対38で優勝していた。
特筆すべきは、志津音一人で38得点の大活躍だった事だろう。
新しい学校でも入学そうそうマドンナ的存在となっていた志津音の活躍は大いに会場を賑わした。
毎月1回は、告白されるのだが、志津音は龍徳に報告していない。
何故なら、志津音本人が龍徳以外の男性を今までと変わらず頼りない存在としか認識していなかったからであった。
その為、告白されても・・・
「アハハハハ♪ ナイス冗談♪」
可哀そうであった。
もっと酷いと・・・
「お付き合いして下さい!」
「今のが、告白なんですか!? あぁ~・・・そ・そうなんですか・・・ごめん・・・異性として見られないかな?」
再起不能になったそうだ。
志津音の基準は、龍徳なのだ。
初めて自分が女であると認識したのは、龍徳の器によるもの。
あれだけ愛を謡っているにも拘わらず、それでも未だ「俺の告白はこんなもんじゃねえ!」と言われているのだ。
その為、勇気を出した相手の告白を
「う~ん・・・これじゃ・・・普段の龍徳君の言葉より軽いなぁ~・・・」
っと相手が恥ずかしそうに顔を赤らめる中、志津音はスンっとシラケてしまう。
だから、龍徳以外の男を見ても
「う~ん・・・どれか一つでも龍徳君以上って男子って本当にいないよなぁ~♪」
っと運動でも勉強でも、努力でも性格でも、何でも良いから龍徳よりも優れている部分が一つでもあれば、惚れないまでも異性として見ること位は出来たかも知れない。
だから告白を受けても内心では・・・
「志津音!君が好きだ!俺と付き合えるのはお前だけだ!!」
などと校内で一番人気の男児からの告白を聞いても
「ウフフやっぱり龍徳君の愛情って深いよなぁ~♪」
っと告白のセリフのレベルだけでも龍徳の愛情の深さが分かってしまい嬉しくなってしまう。
その為、普通であればドキッッとする様なシチュエーションがあったとしても・・・実際にあった例を挙げるのであれば、志津音が教室に次の授業で使う荷物を教室に運んでいる時の事・・・
「これを教室に運んでおいて貰えるかな?」
「ハイ。」
『それにしても大きい荷物だなぁ~』
っと最初こそ両手で持っていた。
それを見た校内のモテ男君が
「コレってチャンスじゃね?」
っと前が見えにくく歩き難そうにしていた志津音の荷物を代りに運ぼうとした時だった。
「やっぱりこんな持ち方じゃダメだ! よっと♪」
そう言って肩に乗せてスタスタ歩き始めた。
それとほぼ同時に声を掛けてしまう。
「危なっかしいな!そう言うのは男に任せろよ♪」
「・・・・・何が? もしかして・・・この程度の事が危ないと思ったの?」
「あれ・・・」
「ハハ♪ ナイス冗談♪」
「アハ。アハハハハ・・・・」
っと一瞬で相手の心情を砕いていた。
以前、引っ越す前に同じ様な事を龍徳がした事がある。
最初からであれば龍徳が運ぶが、途中で見かけると・・・
「軽そうだな♪」
「うん全然平気♪」
「ふ~ん・・・だったら・・・これも宜しく♪」
と言って自分が持っている荷物を志津音の荷物の上に乗せてしまう。
「わわわ・・・流石にこれは持てないよぉ~」
「クスクス♪ しょうがないな♪ じゃ~俺が運ぶか♪」
そう言うと有無を言わさず志津音から荷物を奪う。
「えっ? 違うよぉ~龍徳君が悪戯するからだもん! もぅ~本当に強引なんだから~♪」
「クス♪ 強引な男は嫌いか?」
「・・・し・知らない!」
『直ぐそうやって揶揄うんだからぁ・・・ドキドキするじゃん・・・』
って感じになっていた。
基本、龍徳は志津音が頑張っている時に余計な手出しをしない。
困っていると分かれば、強引に助けはするが、志津音の努力を邪魔する事はない。
もし、手助けをする場合は、相手に気が付かれない様に話を組み立てるのだ。
他にも、廊下の角で男女がぶつかる様なベタな展開だと・・・
「わっ!」
っと驚くと同時に相手の男性の肩に手を当てて相手をクルっと回転させ衝突を回避してしまう反射神経で、ベタな展開など一切怒らないのだが、相手が龍徳の場合は
「わっ!」
っと志津音が驚くが、龍徳は、持ち前の運動神経で志津音の手の動きより先に身体を回転させ一瞬で志津音の背後に回り後ろから転ばない様に志津音の身体を支えるのだ。
「本当にお転婆だな。」
っと何が起こったか分からない志津音の後ろから耳元に呟く。
「えっ? た・龍徳君?」
「俺以外の人にぶつかったら妬いちゃいそうだよ♪」
っと支えている手を放すと最高の笑顔で志津音を見つめる。
「はぅ・・・ご・ごめんなさい・・・」
「クスクス♪ 気を付けるんだよ♪」
「う・うん・・・」
ってな事があった。
些細な日常でも龍徳といると常にドキドキさせられてしまう。
当初、恋愛に疎かった志津音は、そのドキドキを龍徳が揶揄うからだと思い込んでいた。
しかし、今となっては、それが何だったのかを分かっている。
龍徳によって初めて自分が女だと実感した事で、今までと違う目線で同級生の男子を見る事が出来るのかを冷静に考える様になっただけなのだ。
そもそも龍徳を全てにおいて上回る男などいるとは鼻から思っていない。
そうなると、元から男勝りだった志津音の頭の中は、
『やっぱり男子ってたいした事がないよな~』であった・
夏休みの前までは、頻繁に告白されていたのに全てを断っていた事が不思議だった志津音の新たな友達が・・・
「志津音ちゃんって綺麗なのに本当に男の子みたいな性格だよねぇ~」
「男子に興味がないの?」
「へっ?もちろんあるけど?」
「えぇ~だったら何で、市川先輩を振ったの?」
「フッた? アハハ♪ なに言ってるの? フルも何も恋愛対象にならないもん♪」
「他にも何人も告白されてたのに?」
「う~ん?・・・だって私には龍徳君がいるし♪」
「龍徳君? なになに~その人、志津音ちゃんのなんなのぉ~?」
「えっと・・・私が大好きな人・・・です・・・」
ボッと一瞬で赤くなる。
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