龍徳の良いところ
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
「どうしたの久美?ポーッとして?」
「ヤバッ・・・私マジで惚れたかも・・・」
「はいはい♪ 前にモデルと付き合ってた時も同じ事を言ったけどね。」
「佳代!今回は自信があるの!」
「あれ?自信って言葉は初耳だわ・・・」
「あのね・・・今胸がトクンってしたの!わかる?」
「私には分かんないけど・・・まぁ~頑張んなよ♪」
「うん!早速行って来る!」
ところが、優勝した賑わいと周囲を取り囲む女子たちに阻まれ近づく事が出来なかった。
「帰りが勝負よ!」
「おかしいなぁ~下駄箱で張ってたら来ると思ったのに・・・まだ教室かなぁ~」
そして階段を上がって行くと女性の声が聞こえたので音を立てずに上がって行くと龍徳の姿が見えた。
「ヤバッ!」
一瞬で身を隠す。
『あの子、2-2の中川翔子だ・・・強敵だわ・・・今日は日が悪そうだわ・・・明日の朝にしようかなぁ・・・』
「龍徳先輩来てくれてありがとうございます♪ 私、2年2組の中川翔子って言います。今日のサッカーもバスケも本当にカッコ良かったです・・・それで・・・一目惚れです!・・・私とお付き合いして下さい!」
顔を染めながらも一生懸命に龍徳に告白する。
この子は2年生の女子で人気がある4人のうちの一人。
中学2年生とは思えない程、整った顔とスレンダーボディ。
「本当に残念だ・・・」
「えっ・・・」
「惚れた女がいなかったら絶対に断らなかったと思うよ♪ それ程君は綺麗だよ♪ だから、その言葉は、君が本当に好きになれた人に伝えて上げて欲しい・・・。」
「私!本気です!」
『そうだよな~中学生なんてこんなもんだった・・・ゴメン志津音・・・お前の言う通りだったよ・・・傷付けない様にしないと・・・』
「そっか♪ それは失礼な事を言ったね♪」
そう言って爽やかな笑顔を向ける。
『やっぱりカッコいい~・・・』
「いえ・・・そんな事・・・」
「じゃ~今から言う事を良く考えてもう一度話そうか♪」
「私とのお付き合いを考えてくれるって事ですか♪」
その言葉に龍徳は首を振る。
「勘違いさせて悪かった。そうじゃない・・・俺は君の事を何も知らないし、君も俺の事を何も知らない・・・例えば、今日俺が、活躍しないで情けない姿を見せたとしたら君は俺に告白したと思うかい?」
「それは・・・」
「素直な事は良い事だと思うよ♪ 俺もウッカリ本気で遊んじゃったからいけなかったね。あれだけ目だったら誰だって勘違いするよ♪・・・だから!良く考えて♪ 君が好きになるのは俺じゃ~勿体ないよ♪」
『これはマズい・・・私も龍徳先輩の事何にも知らない・・・良かったぁ~最初に告んないで・・・』
「でも!こんな気持ちになったの初めてなんです!」
「うん♪ ありがとう♪ 君の目を見れば本気だって分かるよ♪ でも・・・少なからず同じ様な気持ちで祥子ちゃんの事が好きな男子がいるって事も忘れないで上げて♪」
「自意識過剰かも知れませんが、私がモテるのは知ってます・・・でも、この気持ちは嘘じゃありません・・・」
「君の気持ちが嘘だとは思ってないよ♪ ただ・・・」
「ただ・・・何ですか?」
「ただ、一時の感情に流されるんじゃなくってシッカリ考えて欲しいんだよ♪ 君が見て知っている俺の全てを一つずつ消していって、20個良いところが無くなった俺を・・・それでも惚れているのか・・・それを改めて聞かせてくれないかな?」
「20個・・・分かりました・・・今日考えてみます・・・」
「うん♪ 返事は明日のこの時間でも良いかな?」
「ハイ! でも・・・この会話だけでも龍徳先輩の良いところが見つかりました♪」
「クスクス♪ ありがとう。嬉しいよ♪」
『この先輩本当にカッコいい・・・』
「はい♪ 明日お願い致します♪」
『ヤバッ逃げないと・・・でも・・・良い事聞いたわ!』
そして、森田久美が家に帰ると龍徳の良いところを紙に書きだしていく。
「えっと~♪」先ずはっと
カッコいい、優しい、声がステキ、頭が良い、運動神経が良い、
「あれ?・・・そうだ!アレだけの能力があるんだから絶対努力よ!」
そう言って書き続けた。
努力家、根性がある・・・
そして、ペンが止まる。
「ヤバい・・・もう少し龍徳先輩の事を調べ直した方が良さそうね・・・」
その頃、龍徳は志津音と電話をしていた。
「ってな事があった・・・」
「ほらぁ~!だから言ったのにぃ~!バカァ~~」
「ゴメンって、そんなに怒るなよ♪」
『はぁ~妬いてくれてる♪ 幸せ~♪』
「龍徳君はモテるの! ただでさえ良いところが一杯あるのに!スポーツする姿なんて見せたら女子はイチコロだもん!」
「ほうほう♪ だったら俺の良いところを教えていただけますか♪」
『昔も今も・・・殆どの女の子が俺の顔や運動神経、金に強さ・・・表面しか見てくれなかったっけ・・・俺って良いところがないんだろうなぁ・・・』
「良いわよ! い~ぱいあるんだからぁ~!」
『いっぱい?』
そう言って言い始めた。
困った人がいたら手を差し伸べるところ♪
困った動物でも手を差し伸べるところ♪
誰に対しても平等なところ♪
拾ったものを必ず届けるところ♪
頑張っている人の事を馬鹿にしないところ♪
努力している人を応援するところ♪
家族を大事にするところ♪
未だにお手伝いしているところ♪
他人の家族も大事にするところ♪
料理を残さないところ♪
好き嫌いがないところ♪
何でも美味しいって食べてくれるところ♪
『なんで・・・そんなにスラスラ・・・誰にも言われた事がない事を・・・こんなにも俺を見てくれていたのか・・・ったく・・・何て女だ・・・』
前回の人生と合わせて60年もの間にこれ程自分を認めてくれた人など居なかった。
それを志津音は考える事無くスラスラと言ってのけるのだ。
膨れ上がる歓喜に心が震え喜び涙となって龍徳の目に浮かび始めた。。
相手の目線に立って話せるところ♪
自分が苦手なものでも努力するところ♪
それをムキになってやるところも可愛いし♪
負けず嫌いなところも好き♪
いっぱい褒めてくれのも好きだし~♪
行動力がある所も尊敬するし~♪
段取りも上手~♪
何でも楽しもうとするし♪
いつも一緒にいるだけで楽しいし♪
「ちょ・ちょっと待って!」
『マズい・・・感極まって・・・ダメだ・・・』
「なによぉ~!まだまだ、い~~~~っぱいあるんだからね!」
「ハッハハハ・・・もう勘弁してくれよ・・・グス・・・」
龍徳そのものを見てくれていた志津音に感動してしまう。
「あれ?龍徳君・・・泣いてるの?」
「な・泣いてない・・・グス・・・」
『なんなんだよ俺は・・・相手は15歳だぞ?・・・いくら初恋だからって・・・』
「私何か変な事言っちゃったかなぁ~・・・ゴメンね?」
「ち・違うよ・・・う・嬉しくって・・・グス・・・」
『なんなんだよこの女・・・俺を泣かすって・・・どれだけ惚れさせれば気が済むんだよ・・・チクショウ・・・涙が・・・』
「フフ♪ 何が嬉しいのか分かんないけど喜んでくれたんだったら良かったぁ~♪ じゃ~もっと言ってあげるね♪」
「わぁ~ちょっとこれ以上は勘弁して!マジで涙が止まらなくなるから!」
「ウフ♪ やっぱり泣いてたんだぁ~♪ そう言う素直なところも大好きだよ♪」
日常生活の龍徳の行動の全てを志津音は褒めたのだ。
以前の人生でもそうだったが、今回の人生でも虐げ続けられ除け者にされ続けた龍徳は、ルックスと強さと頭の良さで周りを引き付けた。
それ以外の事で龍徳を認めてくれた唯一の女。
志津音の言葉は龍徳の全てを認めてくれているのだ。
顔など褒めもしない・・・頭の良さも運動神経でさえも・・・
「な・泣いてない・・・グス・・・」
「じゃ~続けても良いでしょう♪」
面倒見が良いし♪
他の人に流されない強さがあるし♪
どんなに辛くても逃げないし♪
相手の凄いところを素直に認めるし♪
でも悔しいからそれも身に付けようとするところも可愛い♪
「わ~った!!マジで・・・これ以上俺を喜ばせないでくれよ・・・グス・・・お前何なんだよ・・・グス・・・また惚れ直したのが俺だけかよ・・・ちくしょう・・・泣いてるよ!! 嬉しくて・・・嬉しくて・・・俺は志津音に惚れっぱなしだよ・・・グス・・・こんなんじゃいつまで経っても追い付けねえよ・・・」
「だって好きなんだもん・・・でも・・・今の龍徳君の想いが伝わったからかな・・・グス・・・私も涙が出ちゃった♪」
「バ~カ! 男を嬉しさだけで泣かすんじゃねぇよ・・・本当にとんでもない女だよ・・・俺の惚れた女は・・・マジで、宇宙で一番好きだ・・・ってこれでも足んねえもん・・・」
「うん・・・私も同じ位大好きだよ♪」
「それって志津音からの告白に聞こえる・・・」
「ブッブー! 私も龍徳君と同じだからこれは告白じゃありませんよぉ~♪」
「クスクス♪ 俺はいつでも志津音にメロメロだよ・・・コン!コン!コン!コン! 」
「フフ♪ 私の方がメロメロかもよぉ~♪コン!コン!コン!コン!」
「「もぅ~逢い・・・プップハハハハ♪ 我慢♪我慢♪」」
同じタイミングで我慢しなければいけない想いが口に出そうになる。
「「ん?」」
「「プハハハハ♪」」
同じタイミングで同じ言葉・・・それが嬉し過ぎて笑ってしまう。
「お腹痛いから止めてくれ~ヒィ~腹いてぇ~♪」
「キャ~ハハハハ♪お腹が痛いよぉ~♪」
「はぁはぁはぁ・・・よし・・・もう変な事言うなよ・・・」
「フゥフゥフゥ・・・ふぅ~やっと落ち着い・・・クッ・・・プッ・・・」
「止めろ・・・プッ・・・が・我慢・・・プフッ・・・志津音・・・プッ・・・」
「クッ・・・ププッ・・・た・龍徳・・・ヒィ・・・わ・笑わないで・・・ブホッ・・・」
「「ア~ハッハッハッハッハ~♪ヒィ~助けてぇ~・・・お腹が痛い~」」
そんなのを繰り返しやっと落ち着いた。
「お腹が痛いよぉ~明日筋肉痛だよぉ~」
「志津音が笑わせるからだ!」
「龍徳君だって笑わせたもん!」
「「フフ♪」」
「時間が経つのって早いよな・・・コン!コン!コン!コン!コン!」
「うん・・・あっという間に時間になっちゃったコン!コン!コン!コン!コン!」
「また明日、電話するよ・・・コン!コン!コン!コン!」
「うん♪電話機の前で待ってるね♪コン!コン!コン!コン!」
「お休み志津音♪コン!コン!コン!コン!コン!コン!」
「お休みなさい龍徳君♪コン!コン!コン!コン!コン!コン!」
そして名残惜しそうに電話を切った。
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