パーフェクトヒロイン
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
普通のラブコメやラブストーリーならあるあるの出来事も龍徳と志津音には無縁の話。
そもそもの前提が違うのだから当然だ。
百戦錬磨の遊び人だった龍徳が純情な少年の様な嫉妬や疑念、優柔不断な行動や羞恥心から来るすれ違い等のあるあるイベントが発生する訳がない。
普通の純粋な少年であれば初恋の女性と手を繋ぐ事さえ戸惑うのかも知れない。
もっと言うのであれば、初恋の女性をデートに誘う事でさえ悩むのだろうが、既に精神年齢が60歳を超える龍徳にそんな純粋な心などある訳がない。
常に心掛けているのは、以前も言った通り自分のルールである大人の矜持なのだ。
女性に手を出せるのは高校生になってから。
来れにはいくつかの理由がある。
その最たるものが、女性は16歳以上で結婚できるというものだ。
なので、イコール高校生になってからであれば、我慢しないと言うものだ。
自分の最初の人生で高校生になればお泊りも許されやすいと勝手に思い込んでいる。
逆に言えば中学生で手を出すのは犯罪位にハードルを上げてしまっている。
ここが、普通の中学生と違う考えなのだが、無理もない。
そもそも、遊び人だった龍徳の恋愛経験として手を出すのが、早ければ早いほど、恋愛は冷めやすいと思っているのだ。
その経験が龍徳を慎重にさせてしまう。
本来この位の歳ならば、男女に関係なく異性に興味がある。
誰だって好きな人であればキス位はしたいと思うのが普通なのだが、先に述べた理由で自分の理性を抑え込んでいるに過ぎない。
なので、それ以外は許されると思っているのだから普通のラブコメの様な展開に無縁なのだ。
例えば、初恋の女性と手を繋ぎたくても勇気が出せず中々手を繋げない等のイベントは発生しないし、抱きしめる事にドキドキして中々手を出せないと言ったような事はない。
龍徳にとっては我慢しているだけで、好きな女の手は握るものだし、抱きしめるものなのだ。
また、普通の少年の恋愛であれば、惚れた女性に他の男の影があれば、猜疑心が沸き上がるものだが、当然そんな感情はとっくの昔に置いてきた。
純情な少女が異性に気を使って別れを予感させるような言葉でさえも決して揺らぐ事がない。
これが、普通のラブストーリーであれば、ドラマティックな展開も起こるのだろうが、そんな展開など望むはずもない。
そして、たかが15歳の少女である志津音もやはりただものではない。
普通のラブコメの様なヒロインであれば起きてしまうような展開も当たり前の様に乗り越えてしまう。
そもそもが、能力が高すぎるあまりに男勝りの性格。
元が、女性らしいから言葉遣いが柔らかいだけで、その辺の男よりも余程強いのだ。
だから、龍徳と出会うまでにドキドキする様な事がなかった。
龍徳以外の普通の少年であれが、そんな志津音江を前に堂々と接する事が出来な訳がない。
その為、同年代どころか年上の男性から告白を受けようと何の感情も湧かなない。
龍徳と知り合ってから既に5回も告白をうけているのだが、志津音は・・・
『はぁ~・・・男の人って何ですぐ告白してくるんだろう? 何で私の事を知らないのにそんなに簡単に告白できるのか理解に苦しむ・・・』
であった。
これは、元からの性格によるものだが、龍徳の影響も強く受けている。
『私の事を私以上に知っている龍徳君でさえ・・・エヘヘ♪』
どうやら龍徳が言った「俺の想いはこんなもんじゃねぇ~!」とのセリフを思い出したようだ。
あれだけ志津音に想いを伝えているのに龍徳のルールと言葉に表せない想いが強過ぎて告白ではないと言われているが、普通の中学生があそこ迄、告白する事は普通有り得ない。
そのせいで、志津音の恋愛のスタートラインが跳ね上がってしまったのだからラブコメの様な展開など起こりようもないのだ。
そして、ある日の日常の中で起こった一つの出来事を書いておきたいと思う。
お盆前の土曜日に横浜への事業展開の準備で龍徳が木村や他のメンツを連れて駅前の市場調査に来ていた時の事。
「このままいけば志津音に逢えそうだな♪」
「龍徳君は本当にその子の事が好きだよなぁ~♪」
「当然♪ そもそも、この会社を作ったのも彼女と幸せになりたいからだし♪」
「ハハハ・・・そうだった。本当にスケールが14歳とは思えないよ・・・」
何度も聞かされてはいるが、付き合いの長い木村であっても笑いが乾いてしまう。
「今日も会う事になっているのかい?」
「いや・・・流石に何時に終わるか分からないから彼女には言ってないよ。」
「そりゃ~そうだね。」
そして、別動隊も合流し一旦集めた情報を簡単に話し合う為に駅前のカフェで、少し遅めの昼食を取りながら話し合っている時だった。
志津音が2人の友達と買い物に来たのか目の前のファッションショップに入って行く姿が目に入った。
『おぉ~何て言う偶然♪ でも友達と一緒かぁ~・・・流石にあっちにも予定があるだろうし・・・いきなり言ったら嫌がられるかなぁ~?』
打ち合わせの最中であっても志津音の事が気になって仕方がない。
暫くして志津音の友達が店から出て来た時だった。
「先出ていてくれる? お会計が終わったら直ぐ出るから♪」
「「OK~♪」」
そう言って志津音を残し2人の友達が外に出た時だった。
20歳位の3人の男性が志津音の友達に近寄って声を掛けた。
「君達可愛いね♪ 高校生?」
「いえ・・・」
「はい♪ そうです♪」
っとここでもう一人の友達である野口尚子が口を挟んだ。
「ちょっと何言ってるのよ!」
「何が?」
「私達は中学生でしょう? それにナンパだよ?」
「どうしたの? どうせ話すなら俺達とお喋りしないかい?」
「ちょっと待っててね♪ 瑠璃ちょっと!」
そう言ってもう一人の友達 根岸瑠璃を引っ張って数歩下がって小声で喋る。
「バカねぇ~!あの人達どう見ても大学生よ!」
「だから何よ?」
「大人の男性と知り合いになれるチャンスだって言ってんの!」
「尚子あんたナンパされるつもりじゃないよね?」
「尚子!良く見なさいよ! 3人共結構イケメンよ!? こんなチャンスそうそうないわよ?」
「確かにイケメンだけど・・・」
「でしょう? あんた年上の方が良いって言ってだじゃないのよ!」
「そうだけど・・・でもナンパって・・・」
「バカなの尚子? ナンパ以外で年上の男の人と出会いがある訳ないじゃない!」
「確かに・・・」
「志津音ちゃんには悪いけどこっちも3人だしあっちも3人よ! これはチャンスと見るべきだわ♪」
「3対3か~それだったら・・・」
「そう来なくっちゃ♪」
そして、男の方へと振り返ると猫なで声で声を掛けた。
「お兄さん達が私達と遊んでくれるんですか~♪」
「勿論♪ 君達みたいな可愛い子と遊べるならラッキーだよ♪」
「可愛いだなんてぇ~お上手なんだからぁ~♪」
そして、簡単に自己紹介を終えると
「さっきから君達3人が良いな~って話してたんだよ♪ そう言えばもう一人の子は?」
「今お会計中だからもう少しで出て来ると思います。」
「瑠璃ちゃんは堅いんだねぇ~♪ そう言うところも素敵だよ♪」
「はぅ・・・あ・ありがとう・・・」
「可愛いなぁ~♪」
プシュ~っと顔を染めてしまう。
男性慣れしていない女の子などこんなものだ。
そして、志津音が買い物袋を背負って外に出てきた。
「お待たせ~♪・・・って、何この人達?」
「君が志津音ちゃんか~♪ さっきも可愛いなぁ~って思ったけど近くで見たらメチャクチャ綺麗じゃん♪」
そう言って茶髪のイケメンが声を掛けた。
「志津音~遅かったね♪ 今からこの人達と遊びに行く事になったんだ~♪」
「へぇ~・・・じゃ~私は帰るね。 さようなら・・・」
シラケた目で一瞥すると 無感情のまま振り返り歩きだした。
「ちょ・ちょっと待ってよ~ 志津音ちゃん♪ 予定がないなら3対3で遊びに行こうぜ♪ 何もしないからさぁ~♪」
「興味がないので、失礼します。」
「尚子ちゃんと瑠璃ちゃんからも何とか言ってよ~」
「そうだよ~志津音も一緒に行こうよぉ~♪」
「志津音ちゃん一緒に行かないの?」
友達2人から言われても
「はぁ~だから興味がないんだって~」
「もしかしたら彼氏君がいるのかな?」
「そうですけど?」
「大丈夫だよ♪ 別に俺達は君達に何かしようとしている訳じゃないんだから♪ ただお互い暇なら遊ばない?って意味なんだから深く考えないでよ♪ それとも俺達に不満でもあるのかい?」
「はい。寧ろ不満しかないんですけど?」
「ハッキリ言う子だね~♪ 何が不満なかな?」
蟀谷が引くつくも大人の余裕をみせる努力をしている。
「ハッキリ言えば男としての魅力が全くありません。 私の大好きな人と比べる・・・」
チラッと3人の男を見て・・・
「はぁ~・・・比べるのも失礼かも・・・」
「ちょっと!志津音~この人達結構イケメンじゃん! ちょっとだけ付き合ってよ~」
っと尚子が小声で話しかける。
「イケメン? 何処が? 悪いけど本当に興味がないから」
「クスクス♪ 志津音ちゃんは大人の男と遊ぶのが怖いだけなんでしょう?」
「はい? あぁ~貴方達年上だったんですか? それは失礼しました。 余りにも幼稚だったので、年下かと思ってました♪ では、さようなら♪」
言葉と態度で相手の事を完全に否定する。
今まで大人の余裕を見せていた3人の男もつい声を荒げてしまう。
「ちょっと待てよ!」
「勝手に触れないで貰えます? 痛い目に合っても知りませんよ?」
左手首を掴まれイラっとしてしまう。
「ハッ!本当は、興味があるんだろう?」
そう言って志津音を引き寄せ抱きしめようとした。
その瞬間、志津音は引き寄せられる力を利用して身体を半回転しながら一瞬で相手の男の懐に入ると相手の胸倉を右手で掴み同時に投げ飛ばしてしまった。
「グエッ・・・」
「「なっ!!」」
こんなものパーフェクトヒロインの志津音にとっては朝飯前。
「忠告はしましたからね?」
その光景にもう一人の男が襲い掛かる。
「オイオイ♪穏やかじゃないね~ イキナリ投げ飛ばすって? 信じらんねぇ~女だな?これはちょっと教えてやんねぇ~とダメだよなぁ~!」
「何をですか? 貴方も痛い目に逢いたくなければ私に近寄らないでね。」
「へぇ~ ちょっと優しくしているから勘違いさせちゃったんだったら謝るぜ!!」
そう言っていきなり志津音の左頬に平手を放とうとしたが・・・
『ウフ♪ 龍徳君が言っていた通りだね♪ 見え見え♪』
近寄って来る男との間合いだけを見て間合いに入った瞬間に少しだけ上体を後ろに傾け平手が通過した瞬間に掌底を相手の顎先に叩き込んだ。
「ゴベッ・・・」
カウンターで叩き込まれ脳震盪を起こしたのか、その場に倒れてしまった。
「このアマ!優しくしてりゃ~調子に乗りやがって!」
「このアマ!良くも投げ飛ばしてくれたな!」
もう一人の男と最初に投げ飛ばした男が同時に志津音に襲い掛かる。
「女の子相手に2人って卑怯よ!」
「「知らねえェ~なっ!!」」
『ちょっとやり過ぎたかなぁ~ 顔に傷作ったら・・・龍徳君に嫌われちゃうかも・・・』
流石に男2人に同時に襲い掛かられたら防ぎようが無い。
覚悟を決め、目を閉じた瞬間。
「いだだだだ・・・」
「い~てぇ~放せ! いだだだだ」
「プッ♪ 相変わらずおっかねぇ~女だな♪ 俺の出番がないかと思ったよ♪」
その声に目を開けた。
「龍徳君?・・・えっ? 龍徳君♪ 何でここにいるのぉ~? それにその格好・・・」
志津音の目に映るはスーツ姿の龍徳。
「志津音に逢いたくてね♪ 言っただろう? 志津音は俺が守るって♪」
キザったらしい事を当たり前の様に言われてしまい志津音の顔が赤く染まってしまう。
『もぅ・・・何でこの人・・・こんなにカッコいいんだろう・・・』
「クッ・・・離せよ!」
「いだだだだ・・・」
「ん? おぉ~ごめんごめん♪」
パッと手を放し志津音の前に立つ。
「で? 俺の女にちょっかい出すだけじゃなく手を上げるってどう言う事かな? いい加減にしないと・・・」
メチャクチャ怒っているがスーツを着ている限り神木商事の代表としての責任感が感情を抑え込む。はずだったが・・・
「骨の1本や2本は折るから♪」
無理だった。
口調こそ優しくしているが、恐ろしい程に冷酷な目になっていた。
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