水族館でデート2
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
最初は、一緒に見てから別行動。
そして、5分後に合流してから、また一緒に見始めた。
『あっ・・・この髪留め・・・凄く可愛い♪』
「志津音、髪留め好きだろう?」
そう言ってイルカがデザインされた綺麗な髪留めを手に取った。
『覚えてたんだ・・・もぅ~・・・ズルいよ・・・私ばっかり惚れ直すの・・・』
その気持ちをグッとこらえて会話を続ける。
「うん♪ それ可愛い~♪ 買って帰ろう~っと♪」
「良かった♪ じゃ~はい♪ プレゼント♪」
そう言って小さい紙袋を志津音に渡す。
「えっ? うそ・・・」
志津音の手には今話していた髪留めがあった。
それを手に取って志津音の前髪を止める。
「うん♪ とっても似合ってる♪」
『もぅ~・・・私の胸うるさい・・・ドキドキしっぱなしだよぉ~・・・』
「ありがとう・・・大事にするね♪」
『ハワワワワ・・・キュンキュンする・・・今日だけで何度惚れ直させれば気が済むんだよ・・・俺・・・大人だぞ? ガキじゃねえんだぞ?・・・本当にどうなってんだよ・・・』
お土産を買い終わってもお互いに意識し過ぎて・・・
『緊張して喉が渇いちゃたよ・・・』
『あぁ~喉がカラカラだ・・・』
「わ・私・・・何か飲み物勝ってくるから!龍徳君座ってて♪」
「あっ!・・・」
「俺が行こうと思ってたのに・・・」
志津音に言われた通り椅子に座って待つ事10分
「遅い・・・混んでるのかな・・・」
その時・・・『龍徳君・・・助けて・・・』
「志津音!!」
ただの空耳だ・・・
それでも胸騒ぎが収まらない。
フードコートを見渡すが志津音の姿がない。
「どこだ・・・あそこしかない!」
ぐるっと見渡して志津音の姿がない龍徳が来た方向には志津音はいない。
そうなると非常口階段しかないと一瞬で判断した。
人込みを掻き分け非常口に向かうと階段の途中に飲み物が入っていたコップが2個落ちている。
「チッ! やっぱり目を離すんじゃなかった!」
数段降りるとしきりに左腕を付いて一気に下段に飛び降りる。
それと同時に微かな音も逃がさない。
「微かに階段を早足で降りる音が聞こえた・・・下だ!」
凄まじい運動神経。往復40段はあろうかと言う階段を2歩で降りて行く
傍から見たら階段と会談の間をピョンピョンと飛び降りている様にしか見えない。
そして、4階程降りた時だった。
一人の男が伸びている。
『ハハ・・・志津音がやったらしい・・・』
それと同時に半階下から志津音の声が聞こえた。
「嫌だって言ってるのよ!」
『見つけた!死ね!』
2人組の男のうち一人に階段を降りると同時に左手を付いたまま飛び蹴りを叩き込んだ
「ガハッ!」
ドン!っと壁に叩き付けられ崩れ落ちる。
「何だお前!」
「・・・・・」
「龍徳君・・・」
「おいおい・・・そう睨むなよ・・・」
『龍徳君が怒ってる・・・何て冷たい目なの・・・』
「おっと・・・なにもすんじゃねえぞ・・・クソガキ・・・」
そう言って志津音の腕をつかんだ瞬間。
『怒り過ぎてスローモーションの世界になっちまった・・・志津音は・・・怪我は・・・クッ・・・膝に怪我してるじゃねえか・・・』
一瞬で右側の壁を掛けると男の首と志津音を掴んでいた手首を握りしめ強引に握力で握りしめた。するとボキンっと骨の砕ける音が手の感触で分かった。
「ギャァ~!!」
とっくに戦意を喪失している相手をそのまま階下へと投げ捨てた。
「カハッ!」
高さ1メートルほどから投げ落とされ背中から落ちたせいで呼吸が出来なくなったようだ。
そして、初めてここで龍徳が口を開いた。
「死ね!クズが・・・」
これは、前回の人生で龍徳が切れた時に必ず言うセリフだ。
但し、龍徳は本気で殺しかねない。
昔は仲間が止めに入ったから良かったものの一人であったらシャレにならない事など何度あったか分からない。
運良く警察が来たりしたから良かったものの、そうでなければ本当に殺していた可能性すらあった。
それ程、当時の龍徳は荒んでいたのだ。
「ダメ!」
カツン!カツン!っと階段をユックリ降りる龍徳に異常を感じた志津音が後ろから龍徳を抱きしめた。
「もう大丈夫だから・・・ね?」
「・・・は~い♪ そうだ!志津音足見せて見ろ!」
『あれ?・・・いつもの龍徳君だ・・・ホッ・・・良かったぁ~♪』
どんなに我を忘れても志津音の声には反応してしまう。
階段に志津音を座らせて両足を見ると右膝だけ擦りむいた後があった。
「念のために足首を確認するぞ?」
「だ・大丈夫だよ・・・」
『そんな真剣な目で・・・ごめん心配させちゃったのに・・・凄く嬉しい・・・』
「ここは、痛くないか?」
「うん大丈夫。」
「ここは? ここは?」
「そこも平気・・・ンン♪・・・」
「どうした?やっぱり痛むのか?」
「だ・大丈夫・・・」
『ヤダ・・・膝なんか触るから変な声が出ちゃったよ・・・恥ずかしいぃ~・・・』
赤く染まった頬を両手で押さえて誤魔化す。
「絆創膏貼るけど良いかな?」
「そんなの持っているの?」
「ああ♪ これで良し♪ どうだ?立てるか?」
これも昔からの癖だ。
場合によってはサバイバルナイフで刺そうとしたり切ろうとする馬鹿がいた時代での喧嘩となると場合によっては本気でハスって来るイカれた奴がいた。
シャレにならない事があったので、それ以来縫合用の糸さえも持ち歩く癖がついていた。
名刺ケースほどの大きさの入れ物の中に絆創膏と痛み止め、針と糸、小さいカッターと刺抜き、さらに包帯が入っている。
『龍徳君って女子力も高いの?』
大きな勘違い。だが、この事で志津音は、龍徳の真似をする様になったのだった。
「うん大丈夫・・・ありがとう龍徳君・・・」
「ったく・・・次は手首を見せて見ろ。」
言われるが儘に摑まれた左手首を見せる。
微かに握られた後が残っている。
「やっぱり殺す!」
そして、振り返って降りようとした。
「もぅ~本当に大丈夫だから・・・助けてくれた龍徳君・・・カッコ良かったし・・・」
「か・カッコ良かった・・・そ・そうか~♪ 惚れ直した?」
「告白がまだだから分かりませ~ん♪」
『とっくに惚れ直してるもん・・・今日だけでも3回は・・・もぅ~・・・大好き・・・』
「クッ・・・そうだった・・・もう一度手首見せて見ろ・・・。」
「う・うん・・・」
そぉ~っと龍徳に左手を向けると
「殺菌だ・・・」
そう言って志津音の手をもって手首に唇を当てた。
「アン・・・くすぐったいよ・・・」
『ヒャ~・・・な・なに・・・手首にキスしてる・・・心臓うるさい! もぅ~何度ドキドキさせるのよぉ~・・・本当に・・・カッコいいんだから・・・』
「あと手もだな・・・」
そう言って手の甲にも口付けをする。
『呼吸が止まりそう・・・もぅ~・・・ズルいよ・・・大好き・・・好きすぎて涙が出ちゃうよ・・・』
そして、志津音の目には涙が浮かぶ。
「なっ!だ・だだだだ大丈夫か!? 何処か痛いのか?」
「ううん・・・嬉し過ぎて涙が出て来るの・・・」
そう言って僅かに上気した頬と潤んだ目を龍徳に向ける。
「クッ・・・そんな目で見るなよ・・・クソ・・・我慢出来なくなるだろうが・・・ズルいぞ!志津音ばっかり!今日だけで何十回俺の事を惚れ直させれば気が済むんだよ! これじゃいつまで立っても告白できないじゃんか!!」
「えっ・・・」
『龍徳君が・・・フフ♪・・・そっか・・・ダメだ・・・嬉し過ぎて涙腺壊れちゃったよ・・・』
人は極限まで喜びの感情が高まると心が満たされる。
それでも喜びが続くと器から涙となって零れ落ちる。
その現象を歓喜と言う。
龍徳の言葉、行動。さらに想いの全てが志津音を包み込む。
『胸が痛い・・・嬉し過ぎてもこうなるなんて・・・ヤダ・・・嬉し過ぎて涙が止まんないよ・・・龍徳君・・・私ね・・・大好きじゃなくって・・・貴方の事を愛してます♪』
その後、狼狽えた龍徳が只管、志津音をなだめていた。
「はぁ~やっと収まったよ♪ フフ♪」
「俺はパニックだったけどな・・・」
「龍徳君♪ 『愛してるよ♪』 」
名前を呼ぶと同時に龍徳の腕を取って頬にキスをした。
「な・なななな、なんばしよっとですか・・・」
「プッ・・・何処の方言よそれ~♪」
「ず・ズルいぞ!・・・俺ばっかりドキドキさせやがって・・・来い!」
そう言って志津音を強引に引っ張って抱きしめた。
「どうすんだよ・・・こんなにドキドキさせやがって・・・」
「う・うん・・・」
『龍徳君もドキドキしてたの?・・・こんなに・・・やだ・・・また泣きそう・・・もぅ~ダメだ・・・私・・・女なんだ・・・抱きしめられるだけで幸せだもん・・・』
「また涙を・・・もう勘弁してくれ・・・クッ・・・これ位は我慢しろよな!」
そう言って涙が溢れた瞼に口付けをした。
「やだ・・・恥ずかしいよ・・・」
「無理!これでも我慢しているんだから志津音も我慢しろ!」
「フフ♪ 本当に強引なんだからぁ~♪」
「これから志津音が流す涙は嬉し涙も!悔し涙も!悲しみも!全部俺のものだ!」
「うん♪ じゃ~私の涙は一生龍徳君で予約しておくね♪」
『クソ! 何でまだ俺はまだ14歳なんだよ!・・・』
「もぅ~本当にお前の何もかもが好きだ! チクショウ・・・言葉が見つからねえよ! 良いか!これは告白じゃないからな! こんなもんじゃねえんだよ! 俺の志津音を想う気持ちは・・・」
「うん♪・・・分かってる・・・私も・・・私も言葉が見つからないから・・・」
『龍徳君が近くに感じる・・・命が喜んでいるのが分かるよ・・・ダメだ・・・やっぱり涙が零れちゃうや・・・狂おしいほど好き・・・分け分かんない位好き・・・クス・・・やっぱり言葉じゃ表せないや・・・愛してる・・・心から愛してるよ龍徳君♪』
そして、1㎜も離れたくないかの様に抱きしめ合う。
さらに、1㎜でも傍にいるかのように力強く抱きしめあったのだった。
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