水族館でデート1
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
その後、龍徳も志津音も互いに惹かれ合う気持ちが抑えきれず3日と開けずにデートを繰り返した。
たった2日逢えないだけで、切ないほど龍徳に惹かれている自分が嬉しくて仕方がない。
「あぁ~お盆は、お父さんの実家に行くから龍徳君に逢えないのかぁ~」
「フフ♪ 楽しみだなぁ~♪ 今日は、龍徳君と水族館でデートだ♪・・・
早く行って待ってる時間が好きなんだよね~♪」
待ち合わせより1時間近く早く駅に到着し待ち合わせ場所へと向かう。
「え~っと、北口を出たところにある大きな樹の下で待ち合わせって言ってたから・・・あそこだ♪」
日差しを避け、木の下で待つ事数分。
「ん? 今猫の鳴き声が聞こえた気がしたけど・・・」
そう思って上を見るが、枝が張り巡らされていて見通せない。
「気のせいかな?」
好きな人を待つ時間に志津音は色々な事を考えていた。
「フフ♪ 龍徳君の事だから15分前には来るかな♪ 今日の服装気に入ってくれるかなぁ~♪ 何て言ってくれるんだろう♪・・・」
周りから注目を浴びている事など一切気が付かない。
龍徳を想うと自然に溢れ出す笑みで周りの男共がキュンキュンしている。
「後30分かぁ~・・・今日の髪形変じゃないよね・・・うぅ~ドキドキしてきた~♪ 喜んでくれるかなぁ~・・・」
そして、何を考えたのか顔が赤く染まって行く。
「今日もギュってしてくれるかな~・・・」
ボソッと心の声が漏れてしまう。
すると背後の木の枝の上で何かの影が動いた。
「勿論喜んで♪」
そう言って逆さまになって片腕で志津音の肩を抱きしめた。
「ヒャァ~・・・ビ・ビックリした・・・た・龍徳君?」
「う~ん♪ 今日も良い匂い♪ 好きだなぁ~この匂い♪」
「イヤァ~汗臭くないもん! ちゃんとお風呂に入ったもん!」
「ブハッ・・・まだ言ってやがる・・・」
「だって匂いって言うんだもん・・・せめて香りって言ってくれれば良いのに・・・」
笑った拍子に力が抜けて抱きしめていた腕が離れてしまったので、身体を回転させて地面へと降りた。
「バ~カ♪ シャンプーとか石鹸の香りじゃないよ・・・昔から志津音の匂いが好きなんだ♪」
「もっと恥ずかしいってばぁ~!」
両手で龍徳の胸をドンドンっと叩いて恥ずかしさを紛らわせようとしていたら
ミャ~ミャ~っと言う鳴き声に気が付いた。
「あれ? その子・・・」
「オッとそうだった♪ もう木に登んなよ♪」
そう言ってそっと地面に降ろしてあげた。
「やっぱり子猫がいたんだぁ~・・・って!龍徳君今まだ9時40分だよ? いつからいたのよ?」
「1時間位前だな・・・」
「本当に?」
「・・・1時間20分位前です。」
「もぅ~そんなに早く来たら待ち合わせ時間の意味がないじゃなのぉ~!」
「ハハハ♪ 志津音に少しでも早く会いたくて我慢出来なかった♪」
爽やかな笑顔でテレを隠しながら志津音を見つめる
『ズルい・・・キュンキュンしちゃうよ・・・』
「私だって龍徳君より早く来たいんだからぁ~! 次は私より遅く来る事!」
「えぇ~無理じゃね? 自信ねえぞ?」
「だったら私は2時間前に来るもん!」
「そんな早くに志津音に逢えるならもっと早く来ちゃうよ俺?」
「だったら3時間前から待ってる~!!」
「ブハッ・・・そこまで言ったら待ち合わせの時間の意味がなくね?」
「それ!龍徳君が言うなぁ~!」
「クスクス♪ 一緒に住めたら良いんだけどな・・・」
「そうだよ~・・・ヘッ?・・・な・なななな」
『ヤバい・・・顔真っ赤だ・・・い・一緒に住むって・・・キャァ~♪』
「そうだ! 高校に入ったら渋谷にマンション買おう!」
「う・嬉しいけど・・・同棲は・・・その・・・ゴニョゴニョ・・・」
一緒にいたいけど親に何と言われるか分かったもんじゃない。
それでも龍徳と一緒にいたいと言いたいのに言えないもどかしさ
「それ以上は可愛くしないで・・・萌え死にしそう・・・」
「萌え? 何それ? 鳴き声? 萌え~萌え~って感じ?」
キョトンとした顔で小首を傾げて龍徳を見る。
『うわっ・・・何この生き物・・・本当に可愛いんだけど・・・持ち帰りてぇ~・・・』
「この時代にはまだない言葉だった・・・」
「フフ♪ またその話? クスクス♪龍徳君ってロマンチストだよねぇ~♪」
『この笑顔・・・たまらないな・・・百戦錬磨の俺が弄ばれるんだもんな・・・』
実際の精神年齢だったら60歳しかも女性の数は500人を超え付き合った人数だけでも100人以上の超遊び人。
そんな男が、さらなる努力で得た経験をもってしても15の小娘に翻弄されてしまう。
この時代に来てからと言うもの志津音以外の綺麗な女性など目に入らない。
美化されていると思っていた初恋は色あせるどころか輝きを増すばかりだ。
時を超え同じ女性に恋焦がれてしまう。
冷静な大人の部分と自制心。
激情が生み出す愛情と揺らぐ理性。
『間違いない・・・何度繰り返そうと俺は君しか愛せない・・・』
「えっ? 聞こえなかった。何て言ったの?」
「将来、志津音になんてプロポーズしようかなぁ~って言ったの♪」
『ヒッ・ヒィ~・・・顔がぁ~・・・ニヤけちゃうよぉ~・・・』
一瞬にしてボンっと顔を赤く染めるが、その顔には嬉しさが隠せなかった。
そして、水族館に着くと志津音がモジモジし始めた。
『なんだ?・・・あぁ~トイレか・・・』
「俺トイレ行くけど志津音はどうする?」
「だったら私も行こうかな♪」
「クスクス♪ 女性用のトイレ込んでそうだから俺先に入場券買ってくるよ♪」
「うん♪」
『クゥ~たったアレだけでも可愛いや♪』
そして、トイレを済ませてチケット売り場に並んでいると・・・後ろの高校生達の話声が耳に入った。
「ねえ~前の人カッコ良くない?」
そして、もう一人の女の子がそぉ~っと横にズレて龍徳の横顔を見た。
「うんうん!カッコいいかも!」
『う~ん・・・小声で喋っても丸聞こえなんだけど・・・』
「どうする?声かけちゃう?」
「一人みたいだし声掛けちゃおうか?」
『はぁ~・・・この時代では遊び人じゃないんだけど・・・』
そして、売り場前になると左右に分かれてチケットを購入。
「中・高生2枚下さい。」
そう言ってチケットを受け取って志津音を待つ為に入り口の近くで待っていると
「もしかして、私達を待ってたのかな? 声かけちゃうね!」
「正面から見たらメチャクチャカッコいいじゃん♪」
そう言って龍徳の方へと歩みを進める。
「あの~もしよければ私達とご一緒しませんか?」
「はぁ~何で女性トイレってどこも混むんだろう・・・でも良かったぁ~♪ さてと♪ 龍徳君は~」
そう言ってチケット売り場を眺めるが
「あれ?もう購入したのかな?」
そして、入口へと歩みを進めると
「いた♪・・・えっ・・・誰その子達・・・知り合いとか・・・」
「私達2人なんですけど~♪ 男の人がいれば安心かなぁ~って思いまして♪」
「そうそう♪ ダメですか?」
『な・ナンパ? ムゥ~・・・あれ?龍徳君の顔・・・笑ってるけど凄く冷めてる・・・』
足を止めて見ていると龍徳が志津音の存在に気が付いた。
「ゴメンね♪綺麗なお姉さん達♪ 志津音♪」
そう言って志津音の元に向かって手を取ると
「今日は最愛の人と来ているから♪」
そう言って志津音の肩を抱く。
『はひぃ~・さ・ささささ最愛・・・最愛とは・・・最も愛してるって事だよね・・・キャァ~龍徳君てばぁ~♪ これで告白じゃないって・・・後で、違うって言われても遅いんだからね! もう告白だもん!』
顔を真っ赤にしてはいるが口元は緩みっぱなしだ。
「あ・ご・ごめんなさい・・・」
「いいえ♪ 俺が一人だったから心配してくれたんですね♪ お2人共優しい方で嬉しかったです♪ ありがとうございました♪」
そう言って爽やかな笑顔を2人の女性に向けると一瞬にして顔を染めていた。
「じゃ~行こうか♪」
そう言って志津音をそのままエスコートする。
「相変わらずオモテになるようで!」
流石に目の間で好きな男性が知らない女性に声を掛けられ妬いてしまう。
「フフ♪ ちょっと嬉しい♪」
「フ~ンだ! 良かったね声を掛けられて!」
『なによ! ちょっと嬉しいって! 私の事が好きって言ったくせに!』
フン!っと龍徳だけには露骨に分かりやすい態度を取ってしまう。
「なに言ってんだ? 俺が言ってんのは志津音がヤキモチを妬いてくれた事が嬉しいんだけど♪ 妬いてる志津音も可愛いなぁ~♪」
「はぅ・・・や・妬いてないもん・・・」
「クスクス♪ そっか残念♪ 俺だったら怒り狂っちゃうよ♪」
「あぅ・・・ちょ・ちょっとだけ・・・本当にちょっとだけだもん・・・」
「はぁ~マジで可愛いなぁ~♪ 志津音大好きだよ♪」
『にゃ~・・・また言った・・・大好きって・・・これが告白じゃないって・・・告白されたらどうなるんだろう・・・』
「わ・私も・・・スキ・・・」
「ゴメン・・・私も何て言ったの?」
「もぅ~聞こえてるくせに~! もう嫌い!」
プンっと怒っても龍徳から離れようとはしない。
『参った・・・本当に参ったよ・・・これ言うと普通嫌がられるけど・・・他に言葉が浮かばないや・・・俺・・・志津音の全部が好きだ・・・この思いを言葉にする自信がないんだけど・・・』
あくまでも照れ隠しのプンなので、綺麗な水槽を見ている内にあっと言う間にご機嫌になる。
「龍徳君♪ 見て見て♪ フフ♪ キレ~♪」
『その顔に何度惚れ直していると思っているの? マジで俺の負け・・・一生勝てる気がしないや・・・』
「ああ♪ 本当に綺麗だ・・・」
撃徳の目には、水槽を前に最高の微笑みを龍徳に向ける志津音しか映らない。
そして、昼食を済ませ午後からのイルカショーやアシカショーなどのイベントを見終わると2人でお土産を買いに向かう。
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