自宅に訪問
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
『本気で志津音が好きだ・・・分かってはいたけど・・・俺がこんなになっちまうのか・・・凄いな・・・』
「ほら・・・涙を拭いて・・・」
そう言ってタオルを渡す。
「うん・・・」
サマーベットの上で体育座りなりタオルに顔を埋める。
「えっと・・・兎に角!俺は志津音が好きだ!好きで好きで・・・だけど・・・今は受験中だから・・・受かったら覚悟してくれな!」
「うん・・・」
タオルに顔を埋め乍ら返事だけ聞こえる。
本来の未来では、運命の事故に振り回され告白のチャンスを失ったのだが、実は高校1年生の時に奇跡的な再開を果たす・・・。
だが、久しぶりに会った彼女は昔の記憶が薄れているのか最初は思い出せなかったようだ。
出会いに感謝したものの、その時は龍徳にも彼女がいたので、話はしたものの告白する事が出来なかった。
その時に引っ越し先など話はしたものの紙に記した訳ではなく思い出せなくなっていた2人は2度と会う事はなかった。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない・・・」
「えっと・・・俺に出来る事・・・何かある?」
「うん・・・」
「そうか!じゃ~何すれば良い?」
「私の後ろに座ってくれる?」
そう言ってサマーベットの下の方へズレて行く
「こ・ここに座って・・・その・・・良いのか?」
「うん・・・」
『マジか・・・座れるけど・・・身体が・・・』
「失礼しま~す・・・」
そう言って志津音に出来る限り触れない様に腰を掛ける。
『な・なんだ・・・この感覚は・・・メチャクチャ・・・ドキドキするんだけど』
「こ・この後・・・どうすれば宜しいでしょうか!」
何故かガチガチに緊張してしまう。
すると
「なっ!『ヒィィィ~か・身体・・・』」
志津音が龍徳にもたれ掛かったのだった。
「後ろからギュってしてくれる?」
「は・ヒャイ! わ・分かりました・・・こ・・・こうで良いでしょうか!」
そぉ~っと優しく志津音を囲うように手を回す。
「ダメ!ギュっとして!」
志津音はそう言うと龍徳の腕に自分の手を添える。
「ひゃ・ヒャイ・・・これで宜しいでしょうか!」
「クスクスクス♪・・・何でそんなに声が裏返ってるのよ♪」
「だってですね・・・その・・・水着姿なので・・・」
「クスクスクス♪ へぇ~♪ いつも抱き着こうとするのに~?」
「アレは、冗談と申しますか勢いと申しますか・・・スキンシップの様なものだから・・・」
「だったらこれもスキンシップかもね♪」
「そ・そうなの?」
「フフフ♪ うん♪・・・だって私嫌じゃないもん♪」
「そ・・・それなら遠慮しなくても良さそうだね!はぁ~幸せ~♪」
先程とは打って変わり力強く抱き閉まる。
「あん・・・もう~やっぱりなし!」
「ブブ~もう無理で~す!絶対放しませ~ん♪」
「も~ぅ」
そうは言っているが、志津音もまんざらではない様子。
赤く染まった自分の顔を龍徳の腕にもたれかける。
その表情からは幸せの様相を感じ取れた。
その後、プールを出る時には手を繋ぐ2人の姿があった。
帰り道に龍徳は自分の荷物を宅配に出した後、初めて志津音の家に遊びに行く事になった。
「新しいマンションだね」
「そうみたい。お父さんの会社の社宅になってるんだって♪」
エレベーターに乗る2人だが、志津音の荷物は龍徳が持っている。
チン。
エレベーターが10階に到着し降りると
「へぇ~良い眺めだな~♪」
「うん♪ 私も好きなんだ~♪」
通路から見下ろすと横浜駅が見える。
「ただいま~♪」
「お帰りなさ~い♪ まぁ~連れてきたのね志津音♪」
「初めまして。神山龍徳と申します。志津音さんとは、小学校と中学校で仲良くして頂いておりました。本日はお招き頂き有難うございます。本来、ご家族で楽しむところを図々しくやって参りました。」
「「・・・・・」」
余りにも大人びた堅苦しい挨拶に親子で顔を見合わせてしまう。
『あれ・・・何か失敗したのか?』
「プッ♪ プププ・・・プ~♪ はぁ~面白い子だね~♪」
「クスクス♪うん・・・だよね・・・。」
「そんなに畏まらなくっても大丈夫よ~こちらこそウチの娘と・・・息子もかな?仲良くしてくれて有難うね♪」
「いえ・・・そんな事はありません寧ろ俺・・・僕の方が楽しませて頂いています。」
「クスクスクス♪ 真面目な子ね~♪ さぁ~上がって♪」
「はい。お邪魔致します。」
相手の方へ頭を向け乍ら靴を脱ぐとしゃがんで隅っこへと自分の靴を下駄箱の横に置き直す。
「どうぞ♪」
そう言って志津音の部屋に行くのかと思ったら
「ちょっと居間で待っててもらえる?」
そう言って自分の部屋へと行ってしまう。
「ごめんなさいね~どうぞ♪こちらで待っていて上げて頂戴ね♪」
そう言って8畳程の居間に案内される
畳の縁と敷居を踏まない様に入り口の隅に正座して座った。
すると志津音の母“典子”がお茶を入れて持って来てくれた。
「どうぞ座布団使って下さいな♪ お茶を入れたから飲んで頂戴♪」
「はい。有難うございます。手ぶらでは失礼かと思いましたので、こちらをどうぞ」
そう言って紙袋から梱包されたクッキーの詰め合わせを取り出し畳で滑らす様に典子の前に差し出す。
「あら、そんな事しなくても良いのに・・・わざわざスミマセン。どうぞ座布団使ってくださいね♪」
「はい。失礼します。」
そう言って座ったままにじるように座布団に向かい正座する。
テーブルの上に置かれたお茶の蓋を取ると受け皿に挟み込む。
「頂きます。 はぁ~お茶って本当に美味しいですよねぇ~」
「あなた・・・本当に中学生なの?完璧じゃない・・・志津音から何か聞いているの?」
唐突にそう聞かれたが、和室に通された時の作法の話をしているとスグに分かった。
「志津音さんに? 特に何も聞いていませんが・・・何か失礼がありましたか?」
「いえいえ・・・流れる様な仕草だから・・・ちょっと驚いちゃったわ。」
「あぁ作法ですか♪ ウチの父も厳しい人なので♪」
嘘である。
確かにある程度は厳しい親だが、実際には社会人としての経験があるだけだ。
「はぁ~凄いわね~」
「いえ♪ それよりも、このお茶とっても香りが良いし本当に美味しいですね♪」
「お茶好きなの?」
「はい。これも父の影響ですね♪ もの凄くお茶に拘りますから♪」
これは事実。
「へぇ~本当に完璧なのねぇ~あの子には勿体ないわ・・・」
「勿体ない? いえ!それを言うなら私には勿体ない程の女性です。今の私がいるのは彼女のおかげなので。」
「さっきまで俺とか僕とか言っていた子とは思えない流暢な喋り方ねぇ~」
『ヤベッ・・・』
「父の真似して喋ってみました♪」
「フフ♪龍徳君はお父さんが好きなのね♪」
「はい。とても尊敬しています。」
「はぁ~うちの健一に聞かせて上げたいわ・・・」
すると志津音がやってきた。
「ごめ~ん。お待たせ~♪」
先程のカジュアルな服装も可愛かったが部屋着もとても似合っている。
余りの可愛らしさに見惚れてしまう。
「フフフ♪どうしたの?ポケっとして?もしかして私に見惚れてた?な~んちゃ・・・」
「あ・・・うん、メチャクチャ可愛いから見惚れてた・・・」
なんちゃって・・・そう言おうと思っていたのだが、龍徳がアッサリと認めてしまう。
「あらあら♪ ハッキリ言う子なのねぇ~♪ こんな志津音初めてみたわ。」
カァーっと耳まで真っ赤。
「『ヒャァァァ~真顔で・・』・・・そ・・・そうなんだ・・・」
「龍徳君・・・私の部屋に行こぅ。」
「ここでも構わないけど・・・」
そう言われて母親に目を向けるとニタニタと興味津々な姿が目に入る。
「こ・ここだと邪魔が入るから行くよ!」
「お・おう・・・お茶ご馳走様でした。」
「いいえ~ごゆっくりどうぞ~♪『明日はお赤飯ね!』」
扉をパタンと占めると・・・
「前と同じ感じの部屋だな♪ 何かホッとする♪」
「へへ♪ 前に龍徳君が褒めてくれたからね♪」
ジロジロと部屋の中を見渡すと
「何か・・・恥ずかしいからジロジロ見ないでよ。」
するとパタンと倒された写真立てが目に入った。
「ん? これ倒れてるぞ?」
そう言って写真立てを戻そうとすると
「わわわわわ・・・ダメ~!!」
なんで? ヒョイっと戻すと・・・
「おっ!スケートの時の写真じゃん♪ へぇ~♪」
そこには、ナンパに怯えた志津音を庇った後、近くにいた老夫婦に写真をお願いした時の物。龍徳の腰辺りの服をちょっぴり摘まんでいる志津音が可愛かった。
「俺も飾ってるんだぁ~なんか嬉しいな♪」
「ハハハ・・・ぐ・偶然だね~♪」
実は毎日この写真に話しかけているとは口が裂けても言えない。
それが、恥ずかしかったのでワザと写真を倒していたのだが、そこまで分かる訳はないのにパニクって訳の分からない事を言ってしまう。
「偶然って言う程のものじゃないと思うけど・・・そうだ!」
「な・何?」
バレたのかと思い身構えてしまう。
「志津音・・・」
「は・はい・・・。」
「15歳のお誕生日おめでとう♪」
「あ・うん♪ ありがとう♪」
違った事にホッとする。
「それで・・・コレ・・・」
リュックからガサゴソと何かを取り出し志津音に渡す。
「あんまり可愛らしい梱包じゃないけど・・・誕生日プレゼントなんだ。」
「ありがとう・・・開けても良い?」
「ああ♪ 喜んでくれると嬉しいんだけど」
こちらも良ければ読んでくださいね♪
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