志津音の誕生日
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
7月28日
今日は初恋の女性である鈴木志津音の誕生日。
昨晩からそわそわしていた龍徳が早くも横浜駅に到着していた。
「へぇ~この歳で初めて来たから知らなかったなぁ~」
大学生の頃には何度も来ていたが、見覚えのある建物もあれば全く知らない店もある。
キョロキョロと周りを見渡しているとフイに声を掛けられた。
「お兄さん何してるの?」
その声に振り返ると白いワンピース姿の志津音が天使の微笑みを龍徳に向ける。
その姿に龍徳の心が奪われた。
『マジか・・・もう惚れているのに・・・クソッ・・・また一目惚れだよ・・・』
「ちょっと女神と約束があって♪」
「もう・・・」
「その服可愛いな♪」
そう言われて嫌な気分はしない。
「そう? ヘヘ♪良かったぁ~♪」
「それに・・・その髪型もとっても可愛い♪」
部活を引退する迄は髪の長さが肩位だった志津音の髪が今では背中位迄伸びていた。
両側をみつあみにして頭の上で纏めている。
「フフ♪ お母さんにやって貰ったんだ♪」
「そっか♪ とっても似合ってるよ♪」
「クス♪ありがとう♪」
「それじゃ~気晴らしに横浜プールセンターに行こうか♪」
「うん♪」
横浜に引っ越して日が浅い上に受験を控えている為、殆ど学校が終わると家で勉強している志津音を気分転換にプールに誘ったのだ。
夏休みだから健一もいれば良かったのだが、残念な事に部活の練習が入っていたそうだ。
本人は血の涙を流して悔しがっていたらしい。
「うわぁ~始めてきたけど結構大きいんだね~♪」
「そうだな♪」
チラッと見ると可愛らしい水着がとっても似合っている。
『ハゥワァ~・・・天使がおる・・・超~可愛い♪』
更衣室を出てからずっと彼女の水着姿をチラチラ見ていると
「な~に~?その目~♪」
「メチャクチャ似合ってるよ・・・その水着姿・・・」
「あっ・・・そ・そう?・・・ありがとう・・・。」
恥ずかしそうに両手で自分の口元を隠す。
「さ・サッサと起き場所確保しようぜ」
そう言って龍徳も照れ隠しをしてしまう。
「それにしても・・・龍徳君の身体凄いね・・・。」
前回の人生でも良く言われたが、無駄な脂肪が一切ない。
そのせいで細く見られる事が多かったのだが、実際はバッキバキの体つき。
「まあね♪ カッチョイイでしょ♪」
「うん♪ カッコいい♪」
「あれ・・・いつもなら恥ずかしがるのに・・・どうしたの!?」
「フッフッフ♪ いつも龍徳君が揶揄うから今日は私が揶揄うの!」
両手を後ろで組んで下から見上げる様に悪戯顔を向ける。
『クッ・・・なんて可愛さだ・・・』
「なるほど・・・だが、そう上手く行くかな!」
「フフ♪ どうかなぁ~」
髪が伸びたせいか女性らしさが増している。
『おお・・・メチャクチャ可愛く見える・・・』
「さてと!テントの設置も終わったし泳ぎに行こうぜ♪」
「このテントって凄いよねぇ~」
「だろう♪ 今後売れると思って商品開発したんだ。」
本当であればこの時代には存在しない簡易テント。
さらに外側にもサンシェードを広げられる様に作ってあるので、その下にレンタルしたサマーベットを設置した。
「うん♪ステキ♪」
周りではテントを必死に組み立てる大人や学生達の姿がチラホラ見られる中、僅か2分で設置が終了。良く見ると羨望の眼差しで2人を見ている事に気が付いた。
「アハハハハ・・・そりゃ~羨ましいよね・・・。」
「今日の為に開発したようなもんだからね♪ まだ未発表だし」
そう言って笑っているが、実際にはとんでもない事だ。
「会社を経営している言ってたけど・・・本当に中学生? 何か凄く大人っぽくなったよね龍徳君・・・背も伸びたし・・・」
「そうなんだよ!この前身長計ったら163㎝になってた!」
「この半年くらいで10㎝位伸びたんじゃない?」
「そう♪」
「フフ、嬉しそう♪」
「メチャクチャ嬉しい♪」
「フフ♪そうだ!流れるプールに行く前に浮き輪膨らませないと!」
「あぁ~それなら便利なものを持って来たよ♪」
周りの人達が15㎝位の黄色い円柱状の空気入れで入れる中、普通の空気入れを半分の大きさにしたような物を取り出す。
「これは?」
「これも新しく開発した商品♪」
手で押すタイプだが押し引きで空気が入れられる使用になっている。
「へぇ~小さいのに凄いね・・・」
あっと言う間に浮き輪が膨らんで行く。
「OK準備終わり!!じゃ~行くぞ!」
「は~い♪」
大きな浮き輪に志津音を乗せて龍徳が中央付近まで引っ張って行く。
そして、水に潜っては志津音にちょっかいを出す。
「もう~浮き輪だと反撃抱きない~! エイ!エイ!」
片手で水を救って龍徳にかけるが
「ナッハッハ♪ そんな攻撃はきか~ん!ウリャァ~!!」
龍徳も負けじと両手で水を救って志津音にかけた。
「キャァ~・・・もう~ズルい~!!」
龍徳によって濡れた顔を手で拭うと乱れた髪をかき上げた。
『ハゥ・・・ヤ・ヤバいな・・・スゲェ~可愛い・・・』
志津音の女っぽい仕草にドキドキしてしまう。
『ちょ~楽しい♪』
「もう~今触ったでしょう!」
「あれ~そうだった?」
「エッチ~」
『はぅ・・・何この可愛い生き物・・・』
「偶然だよ偶然!」
「ふ~ん・・・触りたかったのかと思ったけど違ったのか~残念♪」
龍徳を揶揄うように悪戯な笑みを浮かべる
「なんですと!もしかして・・・触っても・・・ならもう1回!!」
「キャァァァ~やっぱりワザとだぁ~♪ 龍徳君のエッチ~」
「グフフフフ何とでも言いなさい!」
「キャァァァ~変~態♪」
「良く言われます!」
実際、前回の人生で大人となった龍徳は、難しいと言われる様な事でも大半を一回で出来てしまい“異常”とか“変態”など良く言われていた。
「はぁ~疲れた~♪」
「ちぇ!触りそびれた」
「フフ♪まだ言ってるの♪ ソロソロお腹減ったね♪ お弁当持って来たから食べる?」
「モチのロンです!!」
「オッサン臭い!」
「スイマセン・・・」
中身はオッサンなのだからしょうがない。
「流石に腐ると怖いから簡単なものだけにしたけど・・・早っ!」
「旨い・・・オニギリとウインナーだけで全然OK」
「も~ぅ 美味しい?」
「信じられない位旨い・・・」
「相変わらず大袈裟な・・・でも嬉しい♪」
そして、あっと言う間に平らげる。
「ご馳走様でした!」
「フフ♪お粗末様でした♪ いっぱい作って来ても龍徳君全部食べてくれるから作り甲斐があるよね♪」
「志津音の手料理を残すなんてあり得ん!・・・だが・・・食い過ぎた・・・」
「フフ♪ あれだけ食べたらね・・・」
おにぎりだけで10個は食べている。
空になった入れ物に目を向け呆れる志津音であった。
「よし!腹ごなしにちょっと本気で泳いでくる!」
「休憩しないの?大丈夫?」
「モ~マンタイ!」
「何その・・・モー何とかって・・・呪文?」
「呪文って・・・問題無って書いてモーマンタイ・・・広東語だよ♪」
「ふ~ん・・・変な言葉知ってるんだね?」
『中身はオッサンですので・・・』
「そう言えば龍徳君の泳ぐところって久しぶりに見るね。」
「う~ん・・・小学校以来か?」
「うん♪ あの頃も速かったよね?」
「あれ?覚えてたの?」
「え? 当たり前でしょう?」
「へぇ~・・・」
「何そのリアクション?」
そう聞かれて簡単に説明する。
「そうなの?信じられない・・・そっか~そんな事になってたんだ・・・。」
「そっ! だから何をやって意味がないって思ってたんだけどね。」
「知らなかった・・・良く文句言わなかったね?」
そう言われて昔を思い出すが
「最初は言ったけどね・・・って!そんな話はもう良いよ♪ 悪いけど本気で泳ぐからちょっとタイム計ってくれる?」
「良いけど・・・」
「掛け声宜しく!」
「は~い♪ じゃ~よ~いドン!」
未だに通っているスイミングスクール。
この頃はドタバタしていて泳ぐのは3週間ぶり
「は・・・早っ! えぇ~あんなに速いのぉ~!?」
志津音も驚いているが周りの人達も驚いている。
カチッ!
「はぁはぁはぁ・・・記録は?」
「えっと・・・27秒03・・・」
「あちゃ~飛び込みが無いとは言え・・・50mが27秒台か・・・遅っ!」
「十分早かったと思うけど・・・もう一本行く?」
「うん!よろしく!」
じゃ~行くよ!位置について・・・用意・・・ドン!」
先程より洗練された泳ぎ。
「うわぁ・・・本当に何でも凄い人ね・・・」
『ん?・・・あの子の彼氏かな?』
近くの同じ位の歳のカップルだろうか、その内の一人が龍徳に勝負を挑むように泳ぎ出した。
『多分・・・ううん・・・間違いなく水泳経験者なんだろうけど・・・龍徳君と比べたら・・・ちょっと可哀そうかも・・・』
カチッ!
「はぁはぁはぁ・・・どう?」
「タイム・・・凄い・・・25秒58だって!」
「はぁはぁ・・・この水着で飛び込みなしだから・・・こんなもんかな・・・」
『何だろう・・・見る度にカッコ良くなるなぁ~♪』
その後も何本か泳いだ後、志津音とも泳いで休憩時間となったので、テントへと戻っていた。
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