電話のノック音の答え
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
「へへ♪ そんな事もあったっけ♪ 良く覚えてるね龍徳君♪」
「ああ♪・・・本当に尊敬するよ・・・」
「フフ♪ いつも大袈裟なんだからぁ~♪ 助けてくれてありがとうね♪」
大袈裟と言われようが龍徳にとっては真実。
志津音の姿にどれだけ影響を受けた事か・・・
「クスクス♪ 大袈裟か・・・本当に俺をやる気にさせてくれる女だよ志津音は・・・」
「ん? 今何か言った?」
「いや・・・志津音はステキな女性だなって言っただけ♪」
「も・もぅ~ いつもそう言って揶揄うんだからぁ~」
何度言われようが中学生では恥ずかしくて当然の事でも中身はオッサン。
思っている事を躊躇する事など決してないのだ。
「クスクス♪ じゃ~東京タワーに行こうか♪」
「うん♪ 凄く楽しみにしてたの♪」
そして、チケットを買って展望台に昇るエレベーターの中。
左隅に志津音を立たせ周りに触れさせない様に龍徳が正面を向いていた。
『ま・守ってくれているのは分かるんだけど・・・近い・・・ドキドキしちゃうよ・・・』
上目づかいで龍徳を見る。
「どうした? 大丈夫か?」
っといきなり龍徳に見つめ返されてしまい戸惑ってしまう。
「は・はい!だ・大丈夫です!」
「クスクス♪ 何で丁寧に喋ってるの?」
そう言われても自分でも良く分からない。
「な・なんでだろう?」
「クスクス♪ いつも本当に可愛いなぁ~♪」
『龍徳君・・・身長伸びたなぁ~・・・』
そして、展望台に辿りつくと
「わぁ~凄い眺め~♪」
っとハツラツとした笑顔を龍徳に向ける。
『この笑顔が好きだなぁ~』
「龍徳君!早く!早く~!!」
っと龍徳の腕を取って引っ張る。
「クスクス♪ そんなに急がなくても景色は逃げないよ♪」
「だって楽しみだったんだもん♪」
展望台デッキから見える景色を場所を変える度に花が咲き誇ったような笑顔を見る度に龍徳は幸せになっていく。
『ハハ・・・中学生に胸がトキメキっぱなしって・・・どんだけ惚れてんだろう・・・』
「今なんか言った?」
キョトンと小首を傾げて下から龍徳の顔を見上げる。
『あざとい! 何だこの生き物・・・持って帰りてぇ~』
「コホン・・・いや♪ 志津音が可愛いなぁ~って思って♪」
「ハイハイ♪ 次はあっちを見に行こうよ♪」
「ああ♪ どこでも付いていくよ♪」
そして、一通り展望台デッキを見終えてお土産コーナーに立ち寄った。
「これ可愛い♪」
『う~む・・・人形を持っている志津音が可愛い♪』
「あぁ~コレも可愛い~♪」
『もはや何をやっても可愛いなぁ~♪』
「う~ん・・・髪留めは可愛いの無いかなぁ~?」
「クスクス♪ 志津音は本当に髪留めが好きだよな♪」
「ウン♪ 部活止めたから髪も伸びてきたしね♪」
「長い髪もとっても似合ってるよ♪」
「そ・そう? えへへ♪ だったら良かったぁ~♪」
「クス♪ 女性らしく見えるよな♪」
「あぁ~酷~い!って事は今までは女性らしくないって事じゃないのぉ~!!」
「あれ? そうなっちゃう?」
「そうなっちゃうの!!」
「嘘だよ♪ 短い髪もとっても可愛かった♪」
「ふ~ん・・・」
「あれ?すっかり疑ってるな・・・」
「龍徳君が行けないんだもんね~っだ!」
「クスクス♪ 本当に短くても長くても志津江は女性らしいよ♪」
「だったら良いけど・・・」
「アッ!あれ何てお土産に良さそうじゃね?」
「あぁ~話題を変えようとしてる~!!」
「違うって♪ 本当に良さげな土産があったの♪」
「じゃ~見てくればぁ~」
「アハハ・・・じゃ~ちょっと見て来ようかなぁ~♪」
っと龍徳が少し離れたところに移動した時だった。
コン・コン・コン・コン・コン・コン
「あれ?・・・今のノック音って・・・」
その音が気になって志津音が振り向くと一組のカップルがイチャイチャしていた。
コン・コン・コン・コン・コン・コン
「それ知ってる♪ あ・い・し・て・る・よってサインでしょう♪」
「良く知ってたな?」
「うん♪ 噂だとある会社の社長が始めたとか何とか♪ 最近、流行って来てるみたいだよね♪」
『それって・・・龍徳君がやってたやつだ・・・へぇ~アレって・・・えっ?・・・』
今のカップルの会話が頭を巡る。
「あ・い・し・て・る・よってサイン・・・って・・・エェェ~!!!」
私が驚いていると突然
「どうした! 大丈夫か志津音!・・・って・・・本当に大丈夫か?」
龍徳が志津音の声に慌てて駆けよって志津音の顔を覗き見ると茹蛸の様に真っ赤に顔を染めた志津音の姿があった。
「ヒィィィィ だ・大丈夫ですが何かありましたでしょうか?」
龍徳が電話の度に必ずやるノック音が”愛してるよ”っと分かってしまった瞬間に声を掛けられて流石の志津音もパニックになっていた。
「ブハッ・・・それ聞いてんの俺なんだけど♪」
「そ・そうでした! なななな・何もありませんのでお構いなく!」
『どう言う事? ハワワワワ・・・冷静に・・・取り敢えず落ち着くのよ志津音!』
「ブハッ・・・なにパニクってんの? 本当に何やっても可愛いなぁ~♪」
「か・可愛くありません!」
「なに言ってんの?志津音が一番可愛いに決まってるだろう?」
『ニャァァァ~・・・い・一番可愛いって・・・だ・ダメだ・・・顔が熱い・・・ヒィ~・・・ナニコレ・・・ど・どうしたら・・・』
「どうした? 顔が赤いな・・・」
そう言って龍徳が志津音のおでこに手を当てた。
プシュー・・・
『ヒィィ~た・龍徳君の手が・・・手がぁぁぁ~!!』
龍徳の手を目を見開いて固まって見てしまう。
すると突然龍徳が慌てた口調で・・・
「凄い熱だ・・・病院に行くぞ!」
そう言って志津音の手首をつかむ。
『へっ?』
「ちょ・ちょっと待って!」
『多分違うから・・・』
「待たない。・・・ゴメン。静音と遊べると思って舞い上がっていた。 俺って本当にダメだよな・・・志津音の体調が悪いって分からなかった・・・」
申し訳なさそうな龍徳の姿に困惑してしまう。
「大丈夫・・・大丈夫だから・・・」
「大丈夫じゃない! こんな場所いつでも来れる・・・本当にごめん・・・」
人込みを掻き分ける様にエレベーターの列に並ぶ。
『ど・どうしよう・・・まだいたいのに・・・でも・・・』
いつも冷静な龍徳の顔に焦りの色が浮かんでいる。
『龍徳君・・・何でこんなに必死なの?・・・私だからなの?』
どうしても6回のノック音の意味が頭から離れない。
『ねぇ・・・もしかして・・・本当に私の事が好きなの?』
エレベーターの中に入っても大事な・・・本当に大事な宝物を護る様に志津音を庇う。
トクン・・・
『何でだろう・・・来た時と同じなのに・・・恥ずかしいどころか・・・今は嬉しい・・・』
その後、志津音の熱が混雑によるものだとの志津音の言い分に半信半疑ながら納得した龍徳を連れてショッピングモールを探索する。
『変なの・・・こうしているだけで幸せを感じるだなんて・・・』
気が付くと幸せな微笑みをいつでも龍徳に向けている自分に気が付いた。
トクン・・・
『なんだろう・・・胸がポカポカする・・・』
楽しい時間が終わり、駅で別れようととしたら・・・
「横浜まで送るよ。」
「え~悪いよぉ~大丈夫だから・・・」
「俺がそうしたいんだよ・・・ダメか?」
切なげな表情を浮かべて志津音を見た。
トクン・・・
「ううん!そんな事ない・・・ありがとう・・・」
『なんなの私・・・凄く嬉しい・・・龍徳君・・・私の事・・・どう思ってくれているの? 声に出して言ってくれないと・・・分からないよ・・・』
そして、横浜駅の改札口まで志津音を見送る。
「あっ・・・」
隣にいた龍徳が改札口の手前で志津音から離れて行き志津音一人が改札口を通過する。
『・・・まだ一緒にいたかったな・・・』
トクン・・・
『なんだろう・・・凄く・・・寂しい・・・』
離れていても2人の目には互いが映っている。
「龍徳君!」
そう言って志津音が人込みを掻き分け改札口の外れに走り出す。
それを見た龍徳も同じ様に動き出す。
「はぁはぁはぁ・・・」
「どうした・・・何かあったのか!?」
改札口の仕切りを挟んで志津音の両肩を掴む。
『また焦った顔・・・この人・・・私の事だけ心配してるんだ・・・』
「ううん♪・・・何にもないから安心して♪」
「そ・そうか・・・もう遅いから気を付けて帰るんだぞ。」
志津音に何事も無かった事を知ると安堵の表情を浮かべた。
「フフ♪今日も・・・楽しかった♪」
「ああ♪ 俺もだ♪」
『龍徳君のこの笑顔・・・好きだなぁ~♪』
「来週も楽しみにしてるね♪」
「任せろ! 良いもん持ってくから楽しみにしててよ♪」
「うん♪」
「また来週♪」
「うん♪ また来週♪」
そう言い終わると志津音が仕切りの部分にノックを6回鳴らす。
「はぅ・・・」
その行為を見た龍徳の顔が赤みを帯びていた。
『ウフ♪ そんな顔されたら・・・期待しても良いのかな・・・』
お互いに顔を染めながら手を振り続けた・・・姿が見えなくなるまで・・・一秒でも今日の幸せを噛みしめる様に・・
『両肩が熱い・・・まだ龍徳君に触られている感じがするよ・・・』
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