デート
毎週水曜日と土曜日にアップします。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
そして、料理が出て来て食べた健一が煩かった。
「なんだコレ!メチャクチャ旨い!」
「ホント・・・美味しい。」
「だろう♪」
「うめぇ~龍兄ぃ~これメチャクチャうまい!」
「おお・・・パスタは逃げないから落ち着いて食え・・・」
「うめぇ~ッグ・・・」
「ほら!お水飲んで! あんたはそそっかしいんだからぁ~」
「ゲホッゲホッ・・・あぁ~ビビった・・・けどうめぇ~♪」
『ふふ・・・やっぱり龍聖を思い出す・・・』
どうしても思い出すと悲しい気持ちになってしまう。
「ど・どうしたの神山君?」
「えっ? 別に・・・あれ?」
自分では気が付かなかったが涙が零れていた。
「あれ?なんだコレ・・・タバスコ掛け過ぎたかも・・・ハハハ」
「そう・・・それなら良いんだけど・・」
「ハハ♪ ドジだな龍兄ぃ~♪」
「ご馳走様でした」
「「ご馳走様でした」」
「いやぁ~パスタで良かったぜ~♪ これが、レディファーストって事か!?」
「違うが・・・満足したようで良かったな・・・」
「恥ずかしい・・・」
「ハハ♪ 俺には弟がいないからちょっと嬉しいかな♪」
「本当か龍兄ぃ~!」
「ああ・・・本当だ。」
「俺・・・嬉しいかも・・・。」
「フフ♪健一はお兄ちゃん欲しがっていたもんね♪」
「うん!そうだ!将来姉ちゃんと龍兄が結婚しちゃえば良いんだよ!」
「な・なっ!・・・」
志津音は顔を真っ赤にして固まってしまう。
「おぉ~!!健一は頭が良いな!その手があったか!!」
「だろう!」
「ハハ♪ やっぱり志津音の弟は面白いな♪」
っと志津音に声を掛けると
「・・・」
既に耳まで真っ赤だ。
「あれ?どうした? 大丈夫か志津音?」
「ひゃい・・・だ・だいじょうぶ・・・多分・・・」
「ふふ・・・兄弟そろって面白いな♪」
「だろう!俺も姉ちゃんは面白いって言うんだけど皆、分かってくれないんだよね。」
『皆ってなんだ?』思わず気になったから聞いてみた。
「志津音の事が気になる男子は多いからなぁ~そんなに健一に聞いて来たのか?」
「そうなんだよ!今は学校が違うから無くなったけど小学校の時なんか毎日聞かれたかなぁ~」
「そっか・・・健一も大変だったんだな。」
「さすが龍兄ぃ!分かってくれるのは龍兄だけだよ!」
「ハハ。俺にも姉貴がいるからな。俺も良く聞かれたよ♪」
「マジで!龍兄もそうだったの!そっかぁ~」
「ああ。あれはウザいよな。」
「そうなんだよ!だったら本人に聞けよ!って何度も思ったもんね!」
「だな♪」
そして、現在は買い物を後回しにして映画館に向かっている。
俺からすると、どれもこれも懐かしい映画でたのしめるのだが、兄弟二人の意見は違ったようだ。
「俺はこれが見たい!」
「えぇ~こっちの方が面白そうだよ?」
そんな不毛な会話が3分程したあたりで
「話を聞いて思ったけどちょうど2人意見をまとめると“トップ○○ガン”が良さそうだな」
っと龍徳が口を挟んだ。
「どんな映画なの?」
アメリカ空軍のトップパイロットが仲間の死を乗り越えて成長する中に心の支えとなる女性と愛情を深める話だ。空中戦の迫力が凄いし音楽はノリが良い♪」
「空中戦・・・面白そう。」
「恋愛もの・・・良いかも♪」
「じゃ~決まりだな♪」
そう言ってパンフレットを売店で購入すると
「はい。ちょっとそれ読んで待っていてね。トイレに行って来る。」
話がまとまると同時にチケットを購入しに行く。
「学生3枚。席は・・・ここで!」
「3300円になります。」
昔は券売機など存在しない。
そして、サッサと売店に行きポップコーンとドリンクを3人分購入する。
それに気が付いた志津音が慌てて駆け寄ってきた。
「いつの間に・・・トイレに行ったのかと思ってた・・・あっ!チケット勝ってくるね!」
「もう購入済みだったりして・・・」
「も~う。だったらここは私が払うから!
「支払い済みだったりして・・・」
「・・・確信犯だわ・・・」
「ハハ♪ 良く知ってるねぇ~そんな言葉♪ だから今度、志津音の手作り弁当で良いって言ったじゃん♪ な~んちゃって♪」
冗談でそう言うと
「分かった!今度お弁当作るから!」
「マジで!?」
「うん!」
「おお~こんな幸せがあって良いのだろうか・・・」
「もぅ~大袈裟なんだからぁ~♪」
「はいはい!イチャイチャするのは2人の時にしてって!映画始まっちゃうよ!」
「オッと・・・そうだったな♪ じゃ~行くぞ。」
俺の右が健一で左に志津音が座った。
やっぱりこの映画は何度見ても面白い。
そう思ったのは俺だけではなかった。
「「面白かったぁ~♪」」
流石は兄弟・・・。
当初の予定通り洋服を買いに来たのだが、終始映画の話題で盛り上がった。
そして、現在・・・
「これ・・・どうかな?」
最初は、恥ずかしそうにしていた志津音だったが、今はファッションショーをしてくれていた。
「似合うけどもう少し明るい色の方が似合うかも。」
「そっか~じゃ~こっちは?」
「良いね。とっても可愛い♪」
「そ・そう?・・・ヘヘ・・・そっか・・・。」
そんな感じで時間が過ぎていく。
健一は、既にグダグダモード
「姉ちゃん・・・早くしてよぉ~俺疲れちゃったよぉ~」
「ゴメンね!もう終わるから。」
「健一・・・良い機会だから覚えておけ・・・買い物に時間が掛かるのはお前の姉ちゃんだけじゃないからな・・・男は我慢だ!」
「ええ~俺、彼女作るの考えちゃうよ・・・。」
『うむ・・・さすがは美形兄弟。モテる奴の悩みだな。』
そして、無事買い物も終わり駅へと向かう途中の事。
「おいおい・・・今どきの中学生は彼女づれかよ!」
「それとも兄弟か?」
『そう言えばそうだった・・・』
以前の人生でもそうだったが、千葉に来て絡まれなかった事が一度も無かった事を思い出す。
なにせ酷い時には、一駅間で6回絡まれた事さえあった。
荒れていた時代だったから喧嘩しまくっていたけど喧嘩は1日3回が限界だと俺は思っていた。
ある程度力を込めて10人程殴ってしまうと拳がパンパンに腫れ上がる。
これが痛いのなんのって・・・
6回絡まれた時は、前半3回を喧嘩して4回目で拳の限界を迎え、5回目以降は全力で逃げた記憶がある。
そんな事を思い出していると
「まぁ~どっちでもいいんだけどねぇ~」
「ヒャハッハ・・・お兄ちゃんかお姉ちゃんが俺達の相手してくれるだけで良いからさぁ~」
馬鹿丸出しだ。
『いやぁ~いたいたこんなバカな奴・・・』
「何ですか!今帰る所なんで止めて貰えますか!」
毅然とした態度で志津音が声を荒げた。
「気が強い子は好きだなぁ~」
「何だお前達!姉ちゃんに気持ち悪い事言うんじゃねぇ~!!」
「へぇ~兄弟だったか・・・まぁ~関係ねぇ~けど・・・」
「ちょ~っと俺らと遊んでくれるだけで良いからよぉ~」
初めての事に志津音と健一が震えている事が分かった。
「チッ・・・クズが・・・」
「あ~?何か言ったかおめぇ~?」
「俺が遊んでやるから先に行けよ。」
「おぉ~良いね!そう来なくっちゃよ!」
「神山君!」
そっと志津音の耳元に
「大丈夫だから・・・そこに薬局があるだろう?」
「うん・・・」
「そこで待っていてくれるかな♪ そうだな・・・1分位で戻って来るから♪」
「でも・・・」
『はぁ~きゃわいいなぁ~抱きしめたら犯罪かしら・・・これ位なら許されるかな・・・』
そう言って俺は人差し指を志津音の口に当てた。
「大丈夫・・・心配しないで♪それに・・・」
そう言って口元から指を離すと
「勝利の女神の口付けも貰ったし♪」
そう言って指を志津音に向けた。
「ば・ばかっ・・・もう・・・1分だからね!それ以上待たないから!」
「龍兄・・・」
心配そうに健一が見ている。
「どうした!? あんな雑魚なんざ、瞬殺だよ瞬殺♪」
「ハハ♪ わかったでも気を付けてね!」
「おう!後でな♪」
「うん!姉ちゃん!」
そう言って薬局の中に入って行く。
「こっち来ぉ~!」
「はは・・・本当にお前達って変わんねぇのな・・」
「はぁ~?てめぇ~なんざ知らねぇし!馴れ馴れしいな!」
「クックックック・・・ビルの裏にこんな場所があったっけなぁ・・・」
ハイビルの隙間にある小さなスペース。
昔もここで良く喧嘩した。
「金出せや小僧・・・ブペッ!」
「てめぇ~!グハッ!」
「ほ~んと・・・弱いくせに威勢だけは良いよな・・・お前達・・・」
「ガキがふざけやがって・・・殺す!」
「そうそう・・・殺せもしないのにすぐ殺すって言うんだったな・・・」
「マジコイツムカつく・・・死ねや小僧!」
「ハハ・・・情けねぇ~中坊相手にメリケンサックにナイフ?馬鹿じゃないの?」
「どこまでもムカつく野郎だな・・・」
「おっと・・・後20秒しかないじゃん!・・・じゃあな!」
そこからは龍徳の一方的な暴力。
今では、一撃でKO出来る程の威力となったストレートを丁寧に顎先に叩き込むと同時に悶絶もののボディーを打ち込んだ。
「オッと後15秒♪ じゃ~な雑魚。」
そして、ビルの隙間を抜けて薬局に行くと。
「お待たせぇ~♪ じゃぁ~帰ろうか。」
「・・・もう大丈夫なの?」
「ああ♪ 話の分かる馬鹿だった♪」
「ハハ♪兄貴スゲェ~」
「もう・・・でも・・・ありがとう。」
「志津音を守る為なら喜んで♪」
「・・・」
『あれ・・・軽快なトークのはずなんだが・・・』
普通なら調子が良いと笑いが取れると思った会話だったが、オッサンと思春期の学生のギャップは否めない。
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