~~もしあの時に戻れるなら~~
初の恋愛ものを書いてみました。
作者的には自分で書いていて泣いてしまうような物語だと思っています。
文字総数334000文字で完結迄書き終わっているので、良ければご一読ください。
冒頭は主人公の現実。
第3話辺りから主人公の生い立ち
第6話辺りから本編と言った感じになると思います。
中高年となった今でも忘れられない想い。
恋焦がれた初恋の女性の事を、歳を重ねるごとに思いが募る
そして、ある時、金縛りにあい次の瞬間・・・
俺は、少年時代に戻っていた・・・
否、違うな・・・戻って来たんだ!
机の上には中学生時代の黒歴史。
時間割を張り付けて隠してはいるものの勉強机には、≪神山龍徳≫≪神山志津音≫と相合傘が書かれていた。
最初の人生では神山志津音・・・結局これは叶わなかった。
だが、今回は諦めない。
ここの時代にいる君に逢いに行くよ・・・
今回の人生でも俺は、必ず君を好きになる・・・
2021年某日。
歳のせいかふと昔を思い出す事が増えた。
自分でも人並み以上に青春を謳歌したと思っている。
では、今の自分に満足しているかと言われれば、そんな事はない。
だが、今の自分が嫌いか?と聞かれれば、そんな事はないと答えるだろう。
確かに紆余曲折の人生ではあったが、全ての経験が私の財産になっている。
子供を産む事が出来ないと言われていたが、幸運にも1児の父親になる事が出来た。
中小企業ではあるが、人生の中で一番やりがいのある仕事に就く事も出来た。
上司運に恵まれなかった私を認めてくれる最高の社長だ。
現在、取締役として会社の経営を全て担っている。なので、給与も満足だ。
対人関係や親族間のトラブルもない。
私の人生の中で唯一の後悔は、交通事故にあった事で夢を全て失った事。
だが、それも人生の一部だったと今ならわかる。
それでも、昔に戻りたいと思ってしまうから笑ってしまう。
今は亡き父。
生前から大好きであったが、逝去してからは、父の偉大さを実感するばかりだ。
大好きだった父が亡くなった時、自分の人生で、これ程悲しい事が起こるとは思わなかった。
否、正確には父が無くなったら絶対に泣く自身はあった。
私は、幼少の頃は完全なパパっ子だった。
物心つく頃には父親にベッタリだった。
強く、優しく、家族思いの父。
そんな父を思い出す度に昔は幸せだったのだと思い出す。
優しく強い手に守られていたのだと今更ながらに気が付く。
否、今だからこそ気が付いているのかも知れない。
そんな父の事を思い出す度に昔に戻りたいと思ってしまう。
現在、妻一人、息子一人の三人家族だ。
数年前に一軒家を買う事が出来る様になった事を感慨深く思う。
今でこそ裕福だが、ほんの十数年前までは、貧乏で常にお金の事を考えていた様な気がする。
若かりし頃に体調を崩した父親の変わりに会社を引き継ぐ事になった。
義理の兄と一緒に人三倍努力した自負はあるが力及ばず倒産させてしまった。
今の私なら倒産など有り得ない。絶対に救って見せる。
それだけの力が今の私には備わっている。
だが、この倒産が今の私の原点の一つなのは間違いない。
会社が倒産した事で、私の父は心臓と肝臓を病んでいるにも拘わらす余所で働き続けた。
表現のしようがない感情。
敢えて言うのであれば、申し訳なさ、虚しさ、悔しさ、敗北感と言ったところだろう。
本来であれば、還暦を過ぎ揺ったり老後を満喫するはずだった父は、子供に迷惑を掛けない様に働き続けてくれた。
その頃の私は会社を潰してしまった罪悪感があったのかも知れない。
もう一度言うが、今の私なら会社をいくらでも救う事が出来る。
それを考えると昔に戻ってやり直したいと考える私がいる。
では、今の生活に満足しているなら悩みが無いかと言うとそんな事はない。
傍から見れば幸せな家族に映るだろう。
実際、私と同じで息子もパパっ子で、彼と一緒にいる事が一番の幸せだ。
だが、実際には妻に不満が募っている。
何故なら彼女は、家事を一切しないからだ。
違うな・・・正確には自分の事だけはギリギリしている。
私は父親の影響で人の良いところを見付けようとする癖がある。
なので、出来る限り妻の良いところを見付けようと努力した。
結婚前は、料理も掃除も仕事も頑張る女性だった。
必死に頑張る彼女を守る為に常に完璧な男でありたいと家の事も進んでやる様になった。
テレビを見る暇があったら知識を蓄え、家事を熟す。
私が作る料理を美味しそうに食べる彼女がとても可愛いと思った。
一緒に協力し、一緒に成長したい・・・そう思って努力し続けたのは私だけだった。
気が付けば、今の彼女は自分の食べた弁当のゴミさえ捨てられない。
生活が楽になる様にと購入した彼女が欲しがった最新家電も段ボールから出しもしない。
洗濯は自分の分だけを優先してしまい子供の下着が洗えていない事にも気が付かない。
買い物をしても買い物袋から出しもしないから家には同じものがいくつもある。
食べもしないのに購入し必ずと言って良い程、冷蔵庫の中で賞味期限切れになっている。
そのくせ、少しでも安い物を購入したいらしく家から何キロ離れていても来るまで何往復も移動する始末。
それも彼女一人でやるのであれば文句はない。
どこで私は道を間違えたのだろうか・・・
些細な幸福さえも許しては貰えないのだろうか・・・
一軒家を購入する前のアパート暮らしの頃も毎日、私が片付けていた。
余りに何も手伝わない妻に嫌気がさし何時しか私も掃除をしなくなった。
気が付けば、アパートの荷物の半分以上がゴミだった。
一軒家に住めば綺麗にすると約束したから購入したはずが、僅か半年でゴミ屋敷の様相を醸し出していた。
子供は鏡とは良く言ったものだ。
私といる時間が長いと子供は片付けを率先して手伝い気を使う優しい子だ。
時間があれば私と楽しく勉強をするから勉強が楽しいと言ってくれた。
だが、私が仕事で忙しく早く帰れなくなってからは、気が付けば勉強嫌いの人の話を聞かない子になってしまった。
子供の為にも炊事、掃除、洗濯と子供の面倒の全てを私がする様になった。
睡眠時間を3時間に削った甲斐があり子供が昔の様に聞き分けの良い子に戻って来た。
当時、まだ5歳の子供が母親を拒絶したのに衝撃を受けた。
一年の内、365日、体調が悪いと言う妻にも可能な限り優しくしたが、昔の彼女は戻らない。
今の彼女は膠原病の影響で、記憶力が良いのに記憶障害があるそうだ。
さらに感情のコントロールが効かない時があるそうで、突然豹変した様に私だけではなく最愛の子供にまで嚇すようなキレ方をする事がある。
何度、注意しても治らない。未だに家の事は何もしない。
一つでも私の為に何かしてくれているなら全てを許そうとアイロンがけだけは、やって貰っていた。その一つだけを感謝し続けた。
ところが何時しか“自分でやれるでしょう?”と頼んでもやらなくなってしまい気が付けば一切何もしない存在となっていた。
最後の砦だったアイロンがけ・・・これによって一緒に生活するだけのただの他人となった。
元からアイロンがけなどと言うものでは無く、年に一、二度あるか無いかの裾上げテープ程度の物だったのに・・・
それだけでも、私の為にやってくれたのだと自分に言い聞かせ感謝しようとしたのだ。
それが無くなり、ストレスの発散と美味しいものを強請るだけの他人。使いもしない生活家電を欲しがる他人。我が儘を聞かないと怒りだす他人。部屋を汚し続ける他人・・・私の中の何かが冷えていく。
ある時、余りにも部屋を散らかすので、携帯で写真を撮った事がある。
これは、テレビでやっていたからだ。
片付ける事が出来ない人は客観的に自分を見ないとダメだそうで、そういう人は必ずと言って良い程、他人の部屋が汚いと平気で言えるらしい。
実際彼女の良く他人を卑下していた。
少しでも改善させて上げたいと思った行為なのだが、それを知った妻は、私が部屋の片付けをして食器を洗っている時に「こんな気持ち悪い事をする奴とは、一緒にいたくない。」っと言い出し、既に持っていた記入済みの離婚届を私に突き出した。
私は心の中で笑ってしまった。
浮気もせず、ギャンブルもせず、酒も止め、家族との時間を大切にし、炊事、掃除、洗濯としてきたはずなのに彼女は既に離婚届を持っていたのだ。
彼女の両親との約束。
「娘を幸せにしてやってくれ」とは、俺の人生で初めて拳銃を付き付けた今は亡き義理の父。
その翌年に「娘をお願いね」とは、俺の実家に再三度迷惑をかけた義理の母の言葉。
今は亡き彼女の両親に私は
「お任せください。娘さんは必ず私が幸せにします。」
っと天涯孤独となる彼女を放っておく事が出来なかった。
ヤクザな両親だったが、約束は約束。
どんなに酷くても一度は愛した女性。
私の状況を知っている友人からは、「良く我慢できますね? 別れた方が絶対幸せですよ?」
「年収1000万円以上稼いでいるのにお金が足らないって奥さん何やってるんですか?」
っと何百回言われた事だろう。
この友人は若い頃からの私を知っているので、当然、妻の事も良く知っている。
だからこそ、妻がどんなに他人には良く見える様に行動しようともバレていた。
そんな妻になっても私は、約束を守ろうと努力した。
だが、今回の出来事は、我慢の限界だった。
それを受け取ると直ぐに署名捺印。
子供の面倒は、お前には無理だと言ったら「私一人で育てられる訳がない、無理に決まってるでしょ」っと理解していた。
親権を私にして離婚届を彼女に渡した。
その数日後。
一緒に役所に提出に行くのかと.思っていたら誰かを変わりに連れて行き既に離婚届が提出されていた。
当時は、私が借りたアパートだったが、直ぐに出て行けとは可哀そうで言えない。
だから、新しくアパートを借りて子供と住もうと思っていたら。
“息子を人質に取られていた。”
彼女は信じられない事に新たな離婚届を用意して私の名前を勝手に書き、勝手に実印を押印していたのだ。
最悪なのは、息子の親権。
理由を聞いたら
「子供がいないと生きて行けない」
であった。
冗談ではない。
自ら子供を一人で育てる自信がないと言っていた彼女に最愛の一人息子を任せられる訳がない。
その為、今も尚、息子を守る為に離婚状態であるにも拘わらず一緒に住んでいるのだ。
これ以上、この関係が続けば傷つくのは子供だと思い、私は再婚を申し出た。
一体何度それを伝えた事だろう。
10回までは数えていたが、それ以降は数えていない。
再婚を嫌がる彼女の言い分は
「再婚してもメリットがない。」
この言葉は私に残っていた微かな情さえも失わせるに足る言葉であった。
現在、子供の面倒は当然として家の片付けから何までと住宅費、光熱費、生活費、食費、学費、携帯代、ガソリン代など全て私が支払っている。
モテ期の時代が長かった俺の一番嫌いな女性のタイプが俺のステータスに言い寄って来る女性だった。
その一番嫌いなタイプの女性に元妻はなっていた。
私達は共働きだが、彼女の給与が何に使われているのか聴いても教えてくれた事がない。
私は、貯金しているのだろうと思っていたのだが、クレジットカードの支払いが出来ないから止められたと言っては、私に支払わせようとする。
こんな彼女だが、偶に見せる可愛らしいところが唯一の救いになっている。
子供の為にも我慢・・・
そう言い聞かせる自分に気が付いた。
こちらも良ければ呼んでくださいね♪
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