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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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筋肉は科学だ_その5

最新の科学を使って科学的にダイエットしよう! 本日は『有酸素運動だけじゃダメよ』という話。

 これまで筋肉に関する話題と、ダイエットに良い感じの運動は? 的な話をしてきました。そして、ちゃんと筋トレも交えないとリバウンドに繋がってしまうとも。しかし、どうしてリバウンドしてしまうのか? という疑問について書いてなかったなと気づいた(今更!)ので、今回はその当たりの話を書いていこうと思います。


 例によって、本日も理学博士である『石井直方』氏著作『筋肉の科学』をもとに、わたしなりの解釈や知識をもって書いていこうと思います。彼はたくさんの著書を残しており、若かれし頃はボディビルダーとして日本の、そして世界の第一線で活躍なさっていたまさに『筋肉の申し子』です。あ、わたしが勝手に命名しました。筋肉研究の第一人者でありますので、彼の著書や監修なされた本を手にとってみるのも良いかと存じます。なんでみなさん書店に行きましょう!




 筋肉には速筋と遅筋があるというのは、みなさんもご存知かと思います。速筋と遅筋にはそれぞれ専用の遺伝子があり、遅筋は遅筋用の、速筋は速筋用の設計図が用意されているわけです。ただ筋肉の造形としては大した変化はありません。基本的には筋肉はロープが幾重にも重なった状態であり、そのr-プ1本1本を『筋繊維』と呼びます。それをさらに細かく見ていくと、そこには細い糸のような『フィラメント』があり、太いフィラメントと細いフィラエントが規則正しく並んでいます。この2種類のフィラメントが電気信号を受け取ることによって互いに引き付け合う(太いフィラメントが主に)ことで収縮が起き、筋肉がぎゅっと締まるわけです。


 速筋と遅筋の違いは、ただたんに『電気信号を受け取った時素早く収縮するかしないか』でしかありません。ただし前回までにお話したように、遅筋はエネルギー源を酸素に、そして速筋はエネルギー源を糖に頼っています。熱を発生させるには、筋肉の中に含まれるミトコンドリアに酸素を送り『アデノシン三リン酸(ATP)』という物質を作ろうとする働きをしてもらう必要があるので、基本的には軽い運動をしたほうが熱効率が良いのですね。


 ただ、遅筋ばかりを働かせているとそれによる弊害的なこともあります。有酸素運動を繰り返して身体を持久系の運動に慣れさせると、身体のほうも「長時間運動に耐えられる身体にしなきゃ!」と順化されていきます。無駄なエネルギーを消費したくないという身体の"努力"が実を結んだ結果何が起こるのかというと、身体の中に含まれる『ミトコンドリア脱共役タンパク質(UCP3)』の活性が極めて低くなってしまうのです。


 UCP3は、ミトコンドリアの中にあって『脂肪のエネルギーを分解する反応系とATPを合成するシステムとのつながりをカットする』働きがあります。エネルギー元であるATPをカットするなんて、なんか悪そうな働きに見えますが、これは熱生産に無くてはならない機能です。なぜかというと、ミトコンドリアが生産したエネルギーはATPになりますが、それを作るに際し余ったエネルギーが全て『熱』に変換されます。つまり、UCPはエネルギー生産を邪魔するんだけど、熱生産としてはこれ以上ない働きをしてくれるということです。普段から筋トレしている方はこのUCPがたっぷりあるので基礎代謝や消費カロリー量が多く、冬場であってもタンクトップ1枚で「あちーあちー」なんて言ってる方が多いかと思いますが、それはだいたいこいつのせいです。


 増え過ぎたらエネルギー作られないんじゃない? なんて不安を覚えますが、むしろこの状態のほうが代謝がよくなってより健康体にはなれます。少ないよりは多いほうが断然良いってことですね。ちなみにUCP3というのは主に『骨格筋』に多く含まれるもので、身体のなかには現在数種類のUCPが見つかっています。『筋肉 UCP マウス』などでぐぐってみるとそういった実験がたくさん出てくると思うのでぜひ調べてみてください。


 で、毎日有酸素運動だけをこなしていると、身体はエネルギーを効率的に生産するよう務めるので、つまりATPだけを生産しようってことになります。UCPの存在は邪魔になるので活性が抑えられるわけですね。結果としてエネルギー効率は良くなりますが、平静時の消費カロリー量はめちゃくちゃ少なくなります。


 それらを要約すると、つまりは『有酸素運動ばかりしていると、身体がカロリーを消費しない体質に変化していく』という結論になります。


 ちなみに、赤ちゃんの体温が高いのはこのUCPがたっぷりあるおかげであり、UCPは年をとるごとに少なくなっていきます。どうせ少なくなるなら、今のうちは筋トレして活性化しといたほうがよくね? ――的なね(いや何が)。




 UCP3は速筋にたくさん含まれています。ただし、速筋の中でも『よりトレーニングして性質が変化した速筋』のほうがたくさん含まれているので、筋トレして速筋の質を変えていきましょう。


 筋肉はほかの生物もそうなのですが、基本的に赤い色と白い色をしています。赤い色をした筋肉は筋繊維中のミオグロビン(ヘモグロビンのようなもの)が多いからであり、酸素をたくさん使う証拠です。つまり、これが遅筋であるということなのですが、より詳細に筋肉のタイプを測りたいのならばMRIなどの技術を用いて科学的に見る必要があります。速筋繊維は糖をパワーに変えるので酸素をあまり使わないのですね。ただ、筋肉の質は"色に素直に現れる"ので、身体の中では実際に『速筋は白色・遅筋は赤色』とハッキリわかれています。じゃあ試しに自分自身の筋肉を見てみようかと刀で真っ二つにするわけにも行かないので、そこは素直に病院へ行ってMRIを撮ってもらいましょう。


 ちなみに、こういった色は『魚』が顕著に現れます。養殖物の脂が乗ったブリは、白身が強いのが特徴です。しかし高級食材と考えられている天然もののブリは、すこしピンクかかった色をしているのです。前回までにお話した内容の通り、筋トレによって速筋のタイプが変化(人間で言うならⅡx→Ⅱa)したことによって起きた変色です。天然物のブリは広い海を泳いだことで筋肉がしっかり使われているためにこういった変化が起こるのですが、まあ味やら高級やらはよく知らないので、みなさんは実際に食卓にならんだそれを「はぇ~こいつは海の中をたっぷり泳いだんだなぁ~」みたいな感想でいいんじゃないでしょうか?


 まあ、なんにしても有酸素運動ばかりしていると『やせにくい身体』になってしまうことはこれでご理解いただけたかと存じます。それでも有酸素運動を愛しているというアナタは、とりあえず筋トレを有酸素前にやって、ちょっと栄養補給をしてから有酸素運動に取り組むと良いでしょう。エネルギーが枯渇した状態でやる運動が最もよろしくないので、運動毎にちゃんと栄養が足りているかチェックしておいてください。普段の有酸素運動は1日30分程度、これは一気にやる必要はありません。たとえば10分を朝、昼、夕方にやるとか、そんな感じでも良いでしょう。ただ必要以上の運動はコルチゾールというストレスホルモンの分泌を始めてしまうので、どんなに長くても1時間以内で終わらせるようにしてください。それよか筋トレのほうがゼッタイに良いって!!


 みなさんがこの情報に触れ、ちょっとでも生活の役に立ったとしたらうれしいです。ついでに『石井直方』さんというマジ偉大な方への興味ももっていただければ幸いです。あと関係ないですけど『ダンベル何キロ持てる?』のアニメや漫画でもいかがでしょうか? 楽しめつつ学習できる漫画アニメって最強じゃね? 説を個人的に唱えているわたしです。

わたしはダンベル何キロ持てるだろうなぁ。

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