ヤバい集中力 ~儀式編~
集中力を上げていこうシリーズ。本日も『鈴木祐』氏の著作からお話してみようと思います。
本日も例によって集中力を鍛えるには、というテーマに沿って、『鈴木祐』氏著作『ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』に独自の解釈や考えを交えてお贈りします。本日のテーマは『儀式』です。
よくテレビに映るプロアスリートを観察していると、試合前や大切な場面の直前に特定の行動をとっている場面があります。これは皆さんご存知の『ルーティーン』というヤツですね。野球のイチロー選手でしたら打席に入り1球投じられる前に投手に向かってバットを掲げてみたり、そうでなくてもネクストバッターズサークルで準備しているうちから、イチロー選手のみならず多くのプロ野球選手は独自のルーティーンをもっています。
これがいわゆる『儀式』にあたります。こういった『〇〇をしたあとは集中するぞ!』という準備運動を作っておくと、自然と脳もそういったスイッチの切替ができるようになるのです。科学的な定義で儀式とはなんだと問われたら応えることはできませんが、著書によると心理学上では『厳格さと反復という2つの特徴を持つ、あらかじめ決められたプロトコル』とあります。つまり、何らかの『明確なルール』に基づいた行動を『習慣化』することが『儀式』に繋がるのです。
上海大学の実験。肥満に悩む女性93名を対象に、1日1500kcalの食事を守るよう指示し、全体を二つのグループに分けました
①『ながら食いをせず』ひたすら食事に集中する
②『儀式』を行った後で食事する
①は心理学の世界では有名な『マインドフル』シリーズですね。マインドフル・イーティングは肥満外来などでも取り入れられつつある食事法です。しっかり味わって食べるだけでも摂取カロリーが経ることが報告されているようですのでこちらも並行しても良いかも知れません。
問題は②です。これは『食べる前にその食べ物を小さくカットする』、『カットした食品を皿に左右対称に並べる』、『口に運ぶ前に、皿を食器で軽く3回押す』。というステップが求められます。すると不思議なことに、対象者は『①群より消費カロリーが20%少なくなり、野菜やフルーツなど健康的食品を選ぶ確率が増えた』のです。さらに重要なのは『儀式の種類は関係ない』ということ。目を閉じて3秒数えるでも良いし、食べる前にテーブルを叩くでも構わないのです。
人間の脳は『法則性』や『習慣性』にとても飼いならされやすい生き物です。それはあちこちを歩き回っていた狩猟民族時代からの名残なのか、とにかく脳は4季や毎日行うサイクルなどに沿って行動するとより効果的に集中できるようになるのです。これは脳内の『獣』をうまく飼いならす手段に繋がります。例えば音楽という一定のリズムのなかで行われる『儀式』は人間をよりリラックスさせ良い状態へと導きます。とはいえ現代社会では毎日のように様々な情報が溢れかえっています。取捨選択できるのであれば良いですが、たとえばテレビなどはそれらをずっと流し見する必要があり録画して編集をするとしてもその情報を目にせざるを得ないでしょう。心理学的によく目にしたり耳にしたりする情報は、脳は「あ、それ事実なんだ」と思い込む傾向があるので、アナタがそれは間違いだとわかっている情報でも繰り返し見せつけられるたびにアナタはその情報に巻き込まれていきます。一見を知りつつ百聞に呑まれる。まさに『一見は百聞にしかず』という言葉を作らなければなりません。知能が高くともこの心理は働くので、現代社会で集中力を養うには、はいかに『余計な情報を遮断するか』ということに重きを置く必要がありそうですね。
で、これを逆に利用して自分の意志で自分を『洗脳しちゃおう』というのがこの『儀式』の真髄です。要点としてはたったの2つ。
・「○○したら作業に取り掛かる」と決める
・決めた手順をなんども繰り返す
顔を洗ったら歯磨きをする、のような日常的なものでも使え、仕事でもメールチェックをしたら文書作成を始める、などでも有効と思われます。そのときに簡単に終わる作業をつい優先してしまう『達成バイアス』に引き込まれないよう注意してください。「あ、この作業すぐ終わるからやっちゃおうかな……」といった誘惑に引き込まれたが最後、アナタの集中力は崩壊してしまいます。逆に、このような『ちょっとしたガマン』はより集中を助ける強い味方となります。小腹がすいたけどお菓子はガマンだ。お酒飲みたいけど今日は控えよう。そんな積み重ねがアナタの心――集中力をより強固にしていくでしょう。言うまでもないでしょうが、たとえば『今日は1食分だけガマンする!』とかいう大きなガマンはしないでくださいね? 体感で十中八九ガマンできる、的な難易度でけっこうですよ。
もっとも重要視すべきは『それらがうまくできてるかどうか具体的な指標を得る』ということですね。つまり記録です。というとり、記録を付けることこそが集中力アップにつながると言っても過言ではないでしょう。著書の中では、家計簿を細かく付けていた人ほど主観的ストレスが減っていた実験を提示しています。これは「自分でこれだけできた!」という『自己効力感』を養える効果が期待できます。記録していく内に脳がその作業を『重要だ!』と思ってくれる心理を利用し、それをコツコツと達成し続けることで心理的な『自信』をもつことができます。これはドーパミンの分泌にも繋がるのでより集中力が冴えわたる、まさにエンドレスな階段を自ら作っていくことになるのですね。
記録から自信を得たいのであれば『簡潔かつダイレクトな情報』だけを記録すると良いでしょう。例えば私は『睡眠時間を改善したい』と『体重を少しづつ減らしていきたい』という目標を立てていますが、これのために「えーっと睡眠時間は、あと寝るまでどんな気持ちだったっけ? あぁ寝る前にちょっと考え事しちゃったなぁ」などといったことは一切記録せず、その『結果に対する指標のみ』を記録しています。睡眠時間の改善ならば『就寝時間と起床時間』。体重ならば『特定時間の体重』のみを記録します。これなら小さなメモ帳でもズラッと記録できますし、エクセルなどを用いるのであれば「折れ線グラフ」などで変遷を視覚的に捉えることができるのでとても効果的です。このように――。
・結果を残したいのなら結果に関する記録
・行動を変えたいなら自分がとった行動
のみを記録すると良いでしょう。そうすると意外とムダなことしてるってわかるんですよ(経験談)。そりゃあ寝不足になるわけだなぁ(遠い目)。
こういった『儀式』は速く定着させるに越したことはありませんが、そう毎日できない習慣があることも確かです。しかし、著書の中ではジムに通い続けることになった人を観察した実験をもとに『週4回を2ヶ月続けると身につ』という結論を出していますので、最低でもその基準はクリアしたほうが良いかと思います。個人的には週7やっていただきたいですけどね。
まとめてみましょう。儀式を利用するならば、
・改善したい物事に着目し目標を決める
・目標を改善するための儀式「○○したら○○する」を作る
・最低週4回を2ヶ月以上続ける
・毎日行っているルーティーンを記録し、反省する
おおよそこういった過程でしょうか。これは私が考えた末のまとめですので、ここからアナタ方が個人で改造してみたり、抜いてみたり追加してみたり、はたまた書店にて本を購入していただくなりしていただければ幸いです。
集中力は1日にして成らず。しかし、一度身についた習慣やルーティーンはアナタを自然と集中力の海へといざなってくれることでしょう。アナタ方がより集中してすばらしい功績を残せるように成ることを祈っております。
脳みそは正直。