眠ったらこうなるよ!
睡眠シリーズ第2弾。本日は睡眠をすることで得しましょう、といった話題。徹夜して勉強するよりもしっかり眠る。徹夜の仕事なんてまっぴらごめん。そんな気持ちにさせてくれる内容です。
人間睡眠は大切だよね。そうわかっていてもなかなか睡眠時間を確保することは難しい。じゃあ短い睡眠時間でいかに回復力を高めるか――なんてできるわけないだろおお!!! ――その2。
しつこいようですが、人間のみならず生物というのは、ほんの些細な例外の種類を除きちゃんとした睡眠時間を確保しなければならない運命にあります。前回お話したとおりショート&ロングスリーパーなる存在は遺伝子のうんぬんによって生じるので、ショートスリーパーで良い人は覚醒時間がいっぱいあることの運の良さを体感していただき、ロングスリーパーの方は少ない覚醒時間をいかに効率よく"プレイ"するかという時短作業に取り組んでいただければと思います。しかし、かの『アルバート・アインシュタイン』はロングスリーパーながらもあのような功績を残したので、必ずしもロングスリーパーが不利というわけではありませんよ。
おさらいですが、通常であれば人間は『7~9時間睡眠』をとれば健康でいられます。それ以下は前回紹介したあらゆる健康に影響を与えますし、より長時間睡眠をしてしまうと心臓疾患や脳卒中のリスクを高め、9時間以上の睡眠をとっている方の平均寿命は減少傾向にあるというデータもあります。遺伝子などの事情なく長時間睡眠をしている方は、その原因をいちはやく掴まないとこういったリスクを常に抱えることになるので、いちはやく睡眠状態を診てもらえるお医者さんに通うことをオススメします。
では、本日も例によって『クリスティアン・ベネディクト』氏著作『Sleep,Sleep,Sleep』から得た知識をもとに、わたしなりの解釈や知識を織り交ぜてご紹介していきます。前回は"睡眠を少なくすることによる弊害"をご紹介してきましたが、今回は睡眠をとると"いかに良いことが起きるか?"といった内容を語っていければ良いかなと思います。
と、意気込んでみたは良いものの、そこまで語る部分はないかもしれません。というのも、睡眠不足はあらゆる問題を引き起こすということは、しっかりと睡眠をとればつまり"あらゆる問題が解決する"という一言で収まってしまうからです。とはいえ、睡眠はとにかく良いぞ! 眠るんだ! なんて文章で完結させるのもアレですから、睡眠で劇的な効果をえられるいくつかの例を紹介していきましょう。
しっかりとした睡眠をとることは『体内時計』の調節に良い働きをします。近年の研究で、各臓器には時間感覚のようなものがあることが判明しています。1日のはじめに『太陽の光』を浴びることにより時計が進み始め、昼間の生活中それらの臓器は活発に活動し、夕方から夜になるにつれ徐々に落ち着いていき、メラトニンなどの分泌によって体は睡眠モードに入ります。そのなかでも重要なのは『視交叉上核』と呼ばれる脳の部位。これは視覚を感知する神経が交錯する場所の上に位置しており、光を浴びることによって体の"起床"を促す役割を担っています。言うなれば、すべての体内時計の『マスタークロック』ですね。
人間は太陽の光のもとで過ごし、暗い夜は眠る準備を始めます。この体内時計は外の明るさを感知し"夜"を感じて体に眠る準備をさせます。しっかりとした睡眠をとる準備が整い、計画通りの睡眠時間を得られれば、身体は睡眠中にそれぞれの体内時計をリセットし、次の朝太陽の光のもとでふたたび始動させられるのです。
適切な睡眠時間は、この体内時計のズレを防ぎます。つまり日中の活動を良い覚醒状態のまま送ることができ、それはパフォーマンスの向上にも繋がる。睡眠はその人の1日の仕事効率を大きく向上させることも可能なのです。
学習効果も睡眠をとったほうが大きく向上します。睡眠中、脳は『ダウンスケーリング』という記憶の"取捨選択"をしている。深い眠りの中で生まれる脳波が、その人の重要な記憶のみを選別し、翌日への財産とするのだ。睡眠不足の状態では、言うまでもなくこの記憶の選別が不十分になる。記憶は途切れ、余計な記憶と混在し、どれが思い出したい記憶なのかもわからず脳は混乱してしまう。しっかりした睡眠は、いうなれば脳の"ディスククリーンアップ"だ。ハードウェアにはすでに必要な記憶を紐付けしてあるので、学習した大切な記憶が失われることはない。記憶術に関してさらにアドバイスするなら、繰り返し学習することは当たり前として、一つの事柄に対する情報は多いほうが良い。『〇〇将軍が〇〇幕府を開いた』だけでは記憶の定着が薄く、すぐ忘れてしまう。逆に『〇〇年に〇〇将軍が〇〇という経緯から〇〇幕府を開き、〇〇が起こった』というストーリー形式のほうが脳はインプットしやすい。後は脳に"納得"を与えることも良いだろう。ただ計算式を丸暗記するよりも、その式がいったいどのようなことを表しているのかを理解すると、他の応用にも効く。さらに感情をうまく利用すると、ある事柄を記憶する時にその感情も蘇ってきてさらに強い定着を促してくれる。勉強した後すぐ眠ることで、深い眠りがこれらの記憶をより効率的に選別してくれるぞ。
実は『運動』も記憶だ。反復した動きは文字通り"体で覚える"。この体は"小脳"と置き換えても良い。みなさんも知っているであろう浅い眠りの状態である『レム睡眠』と、深い睡眠の間にある時の療法で、体は覚えた運動能力を強化している。細かいたくさんの脳波が頭を駆け巡り、体で覚えた動きを忘れないようインプットしてくれているのだ。
適切な睡眠時間は『前頭葉』の働きを確かにし、判断力や理性を高い水準に保ってくれる。たとえば『甘いものが食べたい』という衝動に駆られた場合、本能に訴えかける脳の部分と、理性を司る部分が激しい鍔迫り合いを起こす。いわゆる頭の中の『天使と悪魔』だ。天使に該当する前頭葉がしっかりと悪魔(大脳辺縁系)を御しきるためには快適な睡眠は欠かせない。つまり、適度な睡眠は判断力向上などを引き起こしてくれるだけでなく、摂生を促し健康体へと近づくことにも繋げてくれる良い対策なのだ。
前頭葉の活発さはさらに良い結果を招くこともある。適切な睡眠は"扁桃体(感情を司る部位)"などの機能をうまく制御し、理性の維持につとめてくれる。さらにレム睡眠は『脱感作』という、繰り返される刺激に対する心理的な反応が大きくなっていく減少を抑えるのにも効果的であり、恐怖症などをもつ方の治療選択肢として活用されている。事実として、適切な睡眠を得られた被験者は、自身がもつ恐怖症の恐怖度を抑えることができたという実験も上がっている。
著者の研究によれば、レム睡眠はその人のクリエイティブな精神を向上させてくれる効果がある。レム睡眠中、記憶を司る海馬は指揮をとる役割を担わないので、この時の脳内は頻繁に、フリーダムに脳波を発している。様々な記憶が混同し、それが『夢』という形となって私達をあの不思議な世界へといざなうのだ。しかし、夢を見ている身体の筋肉は休息状態なので、夢につられて身体が動くということは基本ないので安心してください。レム睡眠はその人の頭の中を駆け巡る信号。無意識のうちに覚えていたそれらが夢となって現れ、夢が新たな発想の元となったりすることも少なくありません。良い夢を見たいのならば、より刺激的な生活を求めていきましょう。
なかなか眠れないという方はひとまず身体を横にして目をつぶってみましょう。それだけでも、実は身体は休息状態に入ります。瞳を閉じて視覚情報を遮断するだけで、脳はかなり助かってるんです。そのまま深呼吸して酸素を供給したらもう素晴らしい! このように、昼寝やただ目をつぶるだけでも大きな効果を得られます。睡眠をとることの大切さがわかるちょっとしたテクニックですね。快適な昼寝をしたいなら、コーヒー1杯をいただき、15分ほど横になってみましょう。
もうすこし詳しく書いていきたいところですが今回はここまで。明日お送りする睡眠シリーズ第3弾は『具体的な快眠の方法』です。睡眠不足でヤバいことがおこるのはわかった。睡眠をしっかりとることで得られる利益も理解できた。じゃあ次はどうやったら快適な睡眠を確保できるか、ですよね?
生物である以上、夜はしっかりと睡眠をしなければいけません。その自然の摂理に反してムリに徹夜をするのは、帰って仕事効率を下げてしまったり、自身の身体に様々な悪影響を及ぼしてしまいます。そんなことにならないために、次回ちゃんとした睡眠の方法を紹介して、みなさんがよりより睡眠ライフを送ることができるよう手助けできれば良いかなと思います。
寝覚めスッキリ!! これがイチバン良質な睡眠です。朝方、最高の気分でいようという気持ちが大切なのですよ。




