自重トレーニング入門
痩せたい、健康でいたい、とにかく筋トレしたい……理由は様々あれど、なかなかジムに通えないアナタに朗報です。今日から始める自重トレーニング。その心得と注意、そして具体的な筋トレについて書いていきます。
さいきんオナカにちょっと気になる膨らみができちゃって……でもわざわざジムに行くのもなぁ……。なんてコト考えている方、多いのではないでしょうか? 確かに、ジムにお金をかければかけたぶんだけ一生懸命やるかもしれない。でも挫折が怖い、そんなに行く機会がない、そもそもそんな気力が……なんとこと、あると思います。
そんなアナタに朗報です。世の中にはわざわざジムへ行かなくてもできる筋トレがたくさんあるのです。本日は東京大学大学院の教授であり、筋生理学やトレーニングを専門とする『石井直方』氏監修のもと、国際武道大学体育学部助教の『荒川裕志』氏が著作した『自宅でできる 自重筋力トレーニング』という本を参考にしつつわたしが既知の知識から、筋トレ初心者への諸注意と、自重トレーニングの肝といくつかの筋トレを紹介したいと思います。荒川氏はバイオメカニクス・トレーニングを専門とする元プロ格闘家で、他にも著書をもっています。バイオメカニクスというのは、日本語だと『生体力学』と称され、つまり人間などの生物に最適化された体の動きを研究する分野です。石井氏はテレビなどでもよく顔を見せ、ボディービルダーとしても世界選手権にて3位に入賞するなどその筋で大活躍されているようですね。
まず、自重トレーニングという言葉について軽く説明しましょう。自重というのは、つまり自分の体重を利用したトレーニングを指します。筋トレと聞くと、おそらくダンベルやバーベルなどの重たい金属の塊を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? しかし、自重トレーニングはそういった用具をいっさい必要とせず、道具を揃えるのにお金をかける必要がないというメリットがあります。では、ジムで行う重りを用いたトレーニングより効果が薄いか? と問われるとそうでもありません。たとえばガチガチのボディビルダーが己の限界を超えるためにやる筋トレなら別ですが、みなさんが日常を健康に送りたい。夏のシーズンに男子や女子の目を惹きつけたいと思っている場合であれば、この自重トレーニングでも効果があります。
工夫次第では器具以上の負荷をかけることも可能です。典型的な自重トレーニングである『腕立て伏せ』なんかも、例えば手を拳にしてやってみたり、片腕だけでやってみたり、私が野球をやっていたころの経験では、腕立ての姿勢からお尻を上げて、上げたお尻を下げつつ地面スレスレをくぐり抜けるような形で腕立て伏せをしたりしました。意外とキツイのでやってみてください。身体1本でできる自重トレーニングは、場所や条件を選ばない最適な筋トレであると個人的には思っています。もちろん、器具を利用したトレーニングも素晴らしいですし、ジムにある様々な用具は魅力的ではありますが、健康な生活、筋肉質な身体を得るのなら自重トレーニングをやらないなんて選択肢はないでしょう!!
著書では自重トレーニングのメリットが記されています。例えばトレーニング器具は『重りの位置を調節します』。対して自重トレーニングは『自分が負荷をかける位置を選択し、自分で動く必要があります』。これは自分のバランス感覚を養うことができ、自重を調整するためのバランスに使う筋肉さえも同時に鍛えることができるのです。ある意味では『技術』の修練ですね。これはスポーツマンなどに必要な感覚でしょう。身体の動かし方、自分の重心がどこにあるかを常に感じて動く必要がありますから。
バランス感覚を養えるということは、結果としてすべての筋肉のバランスが整います。自重トレーニングを重ねた人は、確かに最大出力では専門の器具を利用してきた方に――その部分だけでは――かなわないかもしれません。しかし、自重トレーニングは身体全体を鍛えることができるので、ある部分は弱い、といったような歪なバランスにはなりにくいメリットがあります。どこでもできて、なおかつ全体をバランス良く鍛えられる。触れれば触れるほど離れられなくなる魅力、それが自重トレーニングにはあるのではないでしょうか?
自重トレーニングに限らず、筋トレを始めたいという方に一つだけご注意があります。それは『反動』や『あおり』を利用しないでほしいということ。例えば『腹筋』をする場合、どうしても一気に起き上がりたいために腰を浮かせてから勢いをつけて「うらぁ!」っとやりたいところですがそこは耐えてください。そもそも起き上がりまでやる腹筋はそこで一息ついてしまうのであまりオススメしません。さらに勢いをつけて一瞬だけしか負荷がかからないとなっては、アナタの腹筋も満足に鍛えられないでしょう。筋トレは『正しいフォーム』、『正しい回数』をこなす、『可動範囲を広くとる』。これをまず意識しておきましょう。
正しいフォームはそれぞれ異なりますが、肝となるのは『体幹』と『股関節』の調整にあります。体幹は、ざっくり『背骨の上から下まで』と認識してください。これが歪んでしまうと身体の姿勢まで歪んでしまいます。それは健康的に良くないのはわかりますよね? 腹筋をする時、体幹を前側に曲げるとより腹直筋(お腹のメインとなる筋肉)に効いてくるのでおすすめです。股関節は足の付根にある関節ですね。足が縦横無尽に曲げられるのはこいつのおかげです。ひねる動きも可能ですし、腹筋の時ここを曲げると腸腰筋(お腹の深いところにある筋肉)に効いてきます。体幹を操るか、それとも股関節を操るか。選択肢は様々ですが、ひとまず正しいフォームを覚えて、そこから体幹と股関節の役割を意識していきましょう。
正しい回数はケガ防止の上で最も重要になります。いくら筋肉を鍛えたいからといって100回めざす! なんて意気込んでいると本来の力以上を目指してしまい、体のほうが壊れてしまいます。理想とされている筋トレの回数は、およそ8~12回の範囲で、全力を出し切って1セット終わる、といったペースです。健康のためにムリをしてケガをしたのでは元も子もないので、自分の体調と相談して最適な負荷と回数をこなしましょう。
可動範囲については、人間の筋肉にはそれをカバーできる可動範囲がありますね。みなさんが想像する腕立て伏せなどでは、およそ前に腕をつきだす動きがほとんどだと思いますが、腕や肩は後方まで柔軟に曲がります。そこまでやわらかく曲げてから、腕を伸ばして立てる動作をすると、広い可動範囲でのトレーニングになりさらに効果が上がります。これは器具を使うよりも軽くなってしまう自重トレーニングにおいて、器具並の負荷を与えるトレーニングとして有効になるので、普段の筋トレに慣れてきた、または飽きが来て変化が欲しいとなった場合に取り入れてみてはいかがでしょう? ゆっくりと動作することによってさらに負荷がかかります。
まずは『腕立て伏せ(プッシュアップ)』をご紹介。これは胸の広い範囲の筋肉(大胸筋)と肩周り(三角筋)、上腕の後ろの筋肉(上腕三頭筋)を鍛えることができます。では基本となる形から、腕の幅は『肩幅の1.5倍』ほどを目安にしましょう。腕に関しては、そこからさらに広げると胸の筋肉、閉じていくと上腕の筋肉を強く鍛えることができる。足から頭までを『一直線』になるようキープ。そこから言葉通りに『腕を立てて伏せるだけ』をしよう。ヒジを外側に折りたたむイメージで曲げていき、立ったつま先と頭が地面と並行になったと感じるくらいまで曲げたら次はヒジを伸ばしていく。身体が地面につかないように、しかしアゴが地面スレスレにまで近づくくらいが良い腕立て伏せだぞ! 本当に腕だけを上下するイメージで、身体は一直線を常にキープしていこう!
腕立て伏せが難しい場合は、ヒザを地面についてやってみよう! この場合ヒザから先は宙に浮かせておいて、つま先まで地面につかないよう気をつけてください。さらにキツいと感じている場合は、付いているヒザを少しずつ前に移動していってみよう。筋トレは『キツイ』と感じるくらいがちょうどいい。8~12回の間、ゆっくりじっくり自分の筋肉の躍動を楽しもう!
逆に、これじゃ物足りないと感じる剛の者は、イスなどを使って足の位置を上げていこう! 足の位置が高ければ高いほど負荷は増すが、それにつられて身体が倒れ込まないように、上半身の位置は常に一定を保とう。さらに可動域を広げたい場合はイスをふたつ用意してそこに手をつこう。腕より深く身体を沈み込めることでからの可動範囲を広くとることができ、さらに筋肉が喜ぶぞ!
自重と言っても、別に利用できないモノなんてありません。自宅でやるのであれば、例えば空のペットボトルなんかもあるだろう。ペットボトルに砂や水を入れて重りとするのも良い工夫でしょう。壁やイスを利用した筋トレもたくさんあるし、可能性は身近な道具の数だけあるはずだ! 常識にとらわれず、常に筋肉への刺激を追求し、楽しみつつ自重トレーニングライフを送りましょう。さあ、これでアナタも明日から自重トレマスターだ!!
ストレッチパワーがたまってきたろ! もっとアツくなれよ!!




