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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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心にポッカリと空いた穴

今存在しているのは今だけ。そんなのわかっている。ほんとうに?

「過去は変えられない! でも今なら変えられる! 俺はこの世界の今を変えたいんだ!」 ――なんかこう、少年誌系の主人公がいいそうなセリフですが、心理学の世界ではまさにこのような考えをもった偉人が存在しました。本日はそんな偉人と、偉人がが開いた新境地『ゲシュタルト療法』について書いていこうと思います。




 ドイツ系ユダヤ人である『フレデリック・S・パールズ』は、1893年にドイツにて誕生しました。ベルリン大学医学部を卒業した後、各所で精神分析の訓練を受け、1932年にフロイト派の精神分析家の資格を得ます。


 が、当時はナチスの台頭期であり、この時期の学者たちは例によってドイツを離れていきますので、彼もその例にもれず1933にオランダへ逃亡。その後自身の研究所を設立しフロイトとも出会ったようですが、パールズは精神分析の道から袂を分かつ決意をしたようです。Wikipediaによるとフロイトさんに冷たくあしらわれた、ぴえん。とありますが……まあ良いでしょう。


 後に彼は第二次世界大戦の影響でアメリカへと渡ります。そこに至って彼の研究はさらに研磨され、やがて『ゲシュタルト療法』へと行き着きます。世界旅行を刊行していたようで、日本にも2ヶ月ほど滞在し、座禅などを組んでいたようですね。壮年になった彼はその後、ヨガや宗教など、心理学的なアプローチにまで食指を伸ばして研究を続けていたようです。1970年、シカゴにて亡くなりました。




 ゲシュタルト療法の基本となるのは『今の原則』です。確かに、過去に辛い状況に陥ってトラウマとなったことは事実でしょう。しかし、そのトラウマに悩まされ苦しんでいるのは過去ではなく『今のアナタ』です。過去というのはすでに過ぎ去った『存在しないモノ』であり、アナタが抱えているそのトラウマは『今のアナタ』が抱えているモノなので、今のアナタを変える必要があるのです。


 例えば、幼少期のアナタは『母親に甘える』という欲求を果たせなかったとします。これを『未完の行為』と言いますが、そういった昔できなかった経験は、心にポッカリと穴を明けてしまうような気持ちになります。その『母親に甘えたかった』という気持ちに気づき、それを『今のアナタ』がどうやって行動していくかということで解決に導くのです。ああ、べつに今のアナタがこれからすぐ母親に甘えに行けと言っているわけではありません。この場合は『母親に甘える』ことができなかった穴を『これからは周囲の人にもっと(甘えて)頼って行きていこう』という方向性です。母親に甘えたかった自分とは、つまり人ともっと付き合いたいとか、他者とのつながりを求めていた、という欲求に気づく手がかりとなります。子どものころはどうしたって甘える相手は親しかいませんからね。なので、これからはもっと他者に対して心を開いて、もっと他人を頼って生きようと『今のアナタ』が決意することで心の穴を埋めていくのです。


 パールズの言葉として『人間は野心や人為的な目標ではなく、本性の道を通ってのみ自分自身を超越できる』というものがあるようです。つまり、自分が本当に望んでいるモノを認識することで、本来の意味で『変わる』ことができるのです。アメリカのドラマなどではこの精神分析をもとにしたストーリーがよくありして、キャラクター同士の性格の不一致から衝突がはじまり、理屈に合わない主張をするキャラクターが怒って出て行っちゃったり、でもってそいつとさらに衝突して、どうしてそんなことをするの? なんてやさしげなキャラもいてなんだかんだあってふと一言「……寂しかったんだ」 ――みたいな流れが。いやどれがそうとか言えないんですけど、わりとそんなものがアメリカのドラマでは多い"イメージ"があるのでみなさん探してみてください。




 ここでちょっとおもしろいゲシュタルト療法についての内容をご紹介。この療法では『夢』を『その人の一部』であるとして、夢は『患者(クライエントさんからの手紙』という捉え方をするようです。まあフロイトの夢判断と通ずる部分はありますが、フロイトは夢を無意識の部分としたのでちょっと違いますね。で、立正大学名誉教授の『齊藤勇』氏監修の『図解心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問』では、患者さんが「懐中電灯の夢を見た」というので、治療としてゲシュタルト療法では『患者さんが懐中電灯になります』……なります。


 マジメに書いてるんだよ?


 つまりは『ロール』ですね。懐中電灯になりきって、懐中電灯のセリフを考えて喋ってみようという流れです。そうすると「ボクは夜になったら役に立つんだ!」というセリフを言うかもしれません。そうすると「そうか! ボクは環境を変えれば本当の力を発揮できると思ってたんだ!」ということに『気づき』ます。そしたら後は解決に向けた行動、つまり環境を変えるという努力をするのみですね。うん、まあなんというか、個性的な治療法ですね。


 個人的な感想になりますが、とりあえず自身の口から出てきた言葉は自身の思いやバイアスなどが少なからず含まれていますから、それを患者さん自身に語らせて、考えさせて、患者の中での気づきに変える、みたいな方法じゃなかろうかなと。ようは『ロールシャッハ・テスト』みたいなもんですわ。意味のないモノに対してどんどん意見を言わせたりなんだったりして、そのセリフ、あるいは態度などからその人の本当の心を分析する。患者が見る夢ということならより患者さんの心を表していると言えるだろう、みたいな。


 眉唾ものだけど、まあ患者さん本人にイロイロ語らせる、というところがミソでしょうね。とにかくゲシュタルト療法では『患者さんが真に望んでいること』にスポットを当てています。ついでに言うと、彼によれば人間がもつ"本物の感情"とは『オーガズム、笑い、攻撃性、泣き』の4種類だそうです。つまりはこの4種類の感情が現れた心こそその人の本性ということになりますねぇ。今ここにある自分の心に気づく、という意味ではマインドフルネス、過去ではなく今、他者ではなく自分自身の心に語りかけるという意味ではアドラー心理学にも通じるかもしれません。真実はどうあれ、やってることは認知行動療法に近いのもポイント高いですね。いや、なんのポイントだと聞かれたら困るのだけど……。




 本日はゲシュタルト療法について書きました。どうでしょう? なかなか興味深い内容だったでしょうか? 要点としては『自分の本心に気づく』といったところね。なんにしても自分が本当に望んでいることがわからなければ苦しむだけ。それに関しては幼少期のトラウマだろうがなんだろうが関係ありません。なぜなら、今生きているアナタは『今のアナタ』なのですから。


 これをご覧いただいているアナタの『今』は満たされていますか? もしかしたら、夢にでた懐中電灯になりきると解決策が見いだせるかもしれませんよ?

過去に囚われるのはよくないというけれど、やっぱり過去ってどうしても気になっちゃうよね。そんなときはパーッと騒いでパーッとねむろ!

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