月はどうやって誕生した?
寒空の下、ふと空を見上げると、まあるく光るお月さまが。
あの星はどうやってできたんだろう? 本日はそんな素朴な疑問に答えます。
地球は『ハビタブルゾーン』にあって、平均的に15度ほどの温度で保たれているようです。太陽とほぼ同時期に形成されたこの星は、様々な歴史を通して現在の形になりました。以前にも話しましたが、地球がどれほどの奇跡で生まれたのかを実感するには、25メートルプールのなかにバラバラに分解された時計を沈めて、それが自然に時計になるレベルです。まあ、ムリだよな。
さて、地球は様々な好条件に恵まれて誕生しました。そのなかのひとつに『月』の存在があります。地球の6分の1ほどの重力でしかない小さな衛星は、常にわたしたちに同じ顔を見せて、その背中は穴ぼこだらけ。夜間は太陽の光を地球に降り注いでくれるなんとも不思議でありがたい友です。
月の存在は本当にありがたいものだということを知らしめるためにいくつかお月さまの功名を。月は『潮汐力』を生み出します。つまり潮の満ち欠けですね。海は地球の時点やらなにやらで動きますが、この潮の満ち欠けにより高さもだいぶ変化します。これが地表の波打ち際に寄せてあげる水を生み出し、たくさんの成分を含んだ水が濡れて乾いてを繰り返し、やがてそこに各種の塩基やらアミノ酸やらが誕生して生物の誕生に繋がったとされています。それだけにとどまらず、夜間に太陽の光をもたらしてくれることは、わずかな光さえも地球上の生物らに利用させてくれることになりました。さらには月が外部の巨大隕石の衝突を引き受けてくれるおかげで、地球には大したダメージが降りかかることなく過ごせたとも言えるでしょう。
現状月についてわかっていることは『地球と同じ成分を有している』ということです。今までにたくさんの探査機がやってきて現地の物質を採取してきましたが、その限りだとおおよそ地球のそれと同じであり、それらを元に根拠ある説がいくつか成り立ちます。では、このありがたい隣人は、いったいどういった経緯で誕生したのでしょうか? 現状定説となっているものも含めていくつかの説を紹介したいと思います。
有名かつ有力なのは『ジャイアント・インパクト』です。地球がまだ生まれたばかりのころ、当時の地球の半分(火星サイズと思われる)の惑星が地球に衝突しました。仮想的にその惑星は『テイア』と呼ばれています。もちろん、地球は大ダメージです。粉々に砕けた破片やチリはあちこちに飛び散ったでしょうし、地球の地軸が傾いたのもこのためだと言われています。惑星の衝突は地球の周囲に円盤のようなチリやガスを広げます。衝突したテイアはその大部分を地球にもっていかれ、それでもなお残ったものが月になりました。円盤状になったチリは両方の重力により引き寄せられやがて集約していきます。地球のほうが大きいのでより多く細かい物質も引き寄せられた結果、地球には大気まで存在するようになりました。地球と月がはっきりと分かれるようになるには1ヶ月から1年ほどかかったと言われています。
もしこの説が正しかったとしたら、日本に四季がるのは体当たりしてきたテイアさんのおかげということになりますので感謝しましょう。この説の良いところは、後述する残り3つの説では説明できないような問題をことごとく解決できるのです。なので「有力な説さえわかればそれでいい」という方はこのジャイアント・インパクト説だけを知っておけば良いと思います。もし純粋な興味があるのでしたら、ここから先までお楽しみください。
次に紹介するのは『兄弟説』です。衝突もなにも関係なく、地球と月はそれぞれ独立して同じ時期に同じように生まれたとする説です。まあ土星の輪っかが全部まとまったような存在とでも捉えれば良いでしょうか? これなら地球と同じ構成物質でありますから良さげじゃないか? と思われますが、月は長い歴史上とても高温にさらされていたことが判明しており、この説ではそこまで高温になる理由が説明つきませんでしたので有力ではなくなっていきました。高温にさらされた過去があるということは、月の表面は溶けて固まった感じになっているのでしょうか?
続いて『捕獲説』というものもあります。これは漂っていた月を地球が偶然キャッチして衛生にしたという説です。とはいえ、この説を当てはめると地球と月の構成物質はまるで異なったものでなければ説明がつきません。別の場所で生まれたけど構成物質は偶然にも同じでした! というのは考えにくいものです。
最後に『分裂説』。原初の地球の自転があまりにも速すぎたために地球の一部が剥がれてそれが月になったという説です。しかしこれが事実だとすると地球の自転はとんでもなく速くなる必要があるために、分裂説は有力な説ではなくなっています。現在の地球と月の運動量を計算しても、分裂説に必要なエネルギーには遠く及ばないようです。
近年の研究では、ジャイアント・インパクトを起こしたテイアが地球の近くで誕生したことを強く示唆しています。さらに月の石と地球のマントルの成分の違いは無視できないレベルであるので、ジャイアント・インパクトは1度ではなく複数回起こったのではないかとまで考えられています。いずれにしても、ジャイアント・インパクト説だけではまだ説明しきれないナゾがあることは確実なので、今後の科学者たちの研究が期待されるところですね。
月は夜間の静かな明かりとしてわたしたちの祖先の心を癒やしてくれました。まあ、和むとかそんなんじゃなくてたぶん弱肉強食的な意味だと思いますけど。しかし、現代ではあちこちに人工の明かりが灯り、真の意味での暗闇を体験できないことが多くなっているのではないでしょうか? いちど、おうちの中の電気を全部してみてください。そうすると、いかにお月さまが有り難い存在だったのかが実感できると思います。とくに満月の星空ときたら、まあ涙がでてしまうほどに美しいものですよ。みなさんもいちど日光市の『戦場ヶ原』に来てみませんか?
あ、新月は例外でお願いします。
お月さまってね、実は年間3センチほど地球から遠ざかってるんだよ。バイバイ地球。




