野球のルール 走塁編
本日は走塁に関するちょっとしたトリビアです。ランナーの目的と縛りについて軽く解説します。
連日野球についてのルールをお送りしております。本日も例によって『日本プロフェッショナル野球組織・全日本野球協会』編集『2020 公認野球規則』のなかからいろいろなルールを紹介していこうと思います。前回はバッターとバッテリーについて話をしたので、本日はランナーでしょうかね?
ランナーといっても実は2種類あります。とはいえバッターランナーとその他、というだけなんですけどね。ルール上は打者走者と走者で言葉が分けられており、裁定も細かい違いがあるようなのでこれらふたつはハッキリと区別しておきましょう。ちなみに『バッター』が『バッターランナー』になる瞬間は以下のふたつです。
・フェアの打球を打った瞬間
・フォアボール・デッドボールを宣告された時
・振り逃げの条件が揃った時
振り逃げの条件は『ランナーが1塁にいない』または『2アウト』の時に、3ストライク目のボールをキャッチャーが『ノーバウンドで捕球できなかった』時ですね。バッターが気づかずにベンチに戻ろうとすると、球審はホーム周辺の土の部分を超えた瞬間にアウトを宣告するので気をつけましょう。なんか球審にジッと見つめられてるな? と感じたら振り逃げを思い出してください。決して恋のはじまりではありません。
ランナーになった場合は、言うまでもなく1、2、3塁を回ってホームベースに触れることを目的とするのですが、そのなかでも安全に進塁できる状態というのはいくつかあります。
例えば『ホームラン』。言うまでもなく1周できます。ほか『エンタイトルツーベース』なんて言葉もありますけど、野球にはランナーに2個の進塁を許すパターンがけっこうあるのです。たとえばフェアの打球がバウンドしてスタンドに入ったり、フェンスをくぐり抜けてしまったり挟まってしまったり(両者ともメジャーリーグでたまにある)、守備が触れた後にスタンドなどに入った場合は、フライなら4個、バウンドしていたなら2個の進塁です。アウトカウントを間違ってファンサービスでスタンドに投げ入れちゃった、意外とプロでもやってる人いますね。これもテイク2ベースです。やらかした守備の人にはエラーがつくようですねぇ。
これらはバッターランナーがわりと関係ある事象です。では、走者に関するもっと深いトリビアをご紹介しましょう。
基本的にランナーはベース上にいます。それは、ベースがランナーの安全を保証する存在だからです。ランナーはボールを所持した守備にタッチされればアウトですが、このベースにいればセーフになります。これはベース(base)を(基地)という翻訳で考えると分かりやすいかもしれません。基地のなかに隠れてしまえば、敵は手出しできない、という解釈をしてください。しかしこの基地はとても収納人数が少ないのです。その数なんと1人。ですので、いちどに2人が基地に隠れることはできませんからひとりは基地の中に隠れきれずお尻でも頭でも飛び出していると考えてください。そこに銃をぶっ放されたら頭もお尻も吹っ飛びますよね? ――すこし物騒な考え方かもしれませんが、まあ野球用語でもランナーを『刺す』とか『殺す』とか言いますし多少はね?
こういった事情もあり、各ベースには『どのランナーのものか?』をハッキリさせるためのルールが存在します。それがランナーの『占有権』です。
他のランナーが触れたことのないベースに触れれば、その瞬間にランナーはそのベースに対する占有権が生まれます。敵がたくさんいるフィールドにわざわざつっこんで行くんですからそのくらいの報酬はほしいよね? そのまま危険を犯して先の塁を目指すこともできますし、次のバッターが打球を放ったスキに先の塁を狙うこともできます。
ただし、占有権を失う瞬間がいくつかあります。それはルール上『フォースの状態』なんて呼ばれています。英語だとForce。力が欲しいです。
たとえばランナー1塁。バッターが内野ゴロを打ったとします。そうなった場合、ランナーはロケット鉛筆(例えが古くてゴメンね)のごとく1塁ベースから追い出されることになります。理由はバッターが打球を放ちランナーになったことで、ランナーが詰まってしまう場合はそのベースを前のランナーに明け渡さなくてはならないというルールが存在するからです。すると、その基地から1塁ランナーは追い出され、逆に『2塁ベースに到達しなければならない義務』を負うことになります。ランナーが2塁ベースにたどり着くまでに、守備が2塁ベースにボールを運ぶとアウトが宣告されてしまいます。
難しいことを考えるのが苦手だという方は、とりあえず『そのベースにいかなければならない状況ができた』と思ってください。逆を言えば行かなければならない状況じゃなくなった場合はフォームの状態が解除されるので、例えばバッターランナーが最初にアウトになった場合は、その瞬間1塁ランナーはフォースの状態ではなくなりますので1塁への占有権が戻ります。
『走路』も大切な考え方です。各ベース間には目に見えない走路というものがあります。ランナーはどのような経路を通っても良いというわけではなく、ベース間を結んだラインを走ることが基本となります。じゃないと鬼ごっこが始まっちゃいますからね。ただ走った勢いのままふくらんでしまうのは仕方ないのでそれは考慮されます。もし、ランナーがある程度膨らんだ状態から守備に挟まれるようなプレーになった場合、審判の判断によって『ランナーの現時点での位置~狙っているベースの位置』に空想上のラインが引かれることになります。まあぶっちゃけ『審判のさじ加減』です。いちおう3フィート(だいたい90センチ)という基準はありますが……。
走路に関するルールとして『ベースの空過』というものがあります。これは途中のベースに触れないままさらに次のべ-スを目指してしまうという行為で、当然ながらアウトです。じゃないと、いきなり3塁へ直進しようとするバッターが現れかねませんからね。いや、いっそのこと目の前にあるホームベースを――まあ、詮無い話はやめましょう。もちろん空過は違反ですが、これは審判から直接ペナルティを受けることはありません。この場合は、守備側が空過したランナーがいると審判にアピールし、該当するベースにボールをもって触れれば審判は待ってましたと言わんばかりにランナーに対しアウトを宣告します。これは野球の歴史上けっこうな数発生している『事件』ですので調べればわんさか出てきますよ。
空過については他にも問題がありまして、個人的に尊敬する野球選手である『イチロー選手』も過去にやらかしてしまった走塁ミスです。
例えば「外野を抜けると思い全力で走ったがなんか捕球されそう? ――あ、いや落とした走れ!」みたいなややこしい状況を経験した方、おそらくたくさんいると思います。このとき、ベースの付近でウロウロすることを強いられるのですが、この時注意するべきは『ベースに触れた後、ランナーがどこを走っているか』の1点。たとえば、フライが捕球されず3塁ベースを狙った場合、いちど2塁ベースに触れたからといって、決して1、2塁間の走路から3塁へ進もうとしてはいけません。この場合は『空過』と同じ処理になるので、守備側からアピールがされれば該当ランナーはアウトを宣告されます。。
ベースは進むにしても戻るにしても順番通りに通過し、きちんとした走路を走って得点を目指す。これがランナーのルールです。ベースは自らの安全を確かめる基地であり、後ろから押し出される中継地点でもあります。ランナーのルールをより深く理解して、どうかこれからも休日の草野球をみっちりのんびり楽しんでください。
え? 野球やってないって? ――いや、ここまで読んだアナタなら野球好きでしょ、ほら、早速近所で野球やってる人探してチームに入ろうよ。なんだったらネットで草野球の仲間を募集してるチームもあるし、そういうのを調べてみてもいいんじゃない? もしかしたら、そこで新しい出会いもあるかもしれませんよ?
3フィートラインから開放された野球、ちょっと見てみたい。外野まで逃げていくランナー(笑)




