【宇宙】核融合と核分裂【量子力学】
宇宙は想像以上に不安定なバランスで成り立ってるのですよ。
盛者必衰という言葉があります。
いちから地道に組み立て育て上げ、それが完成して、栄えて、やがて絶頂に至ったとしても、それらはやがて必ず衰える時が訪れる。仏教の概念ではありますが、世の中に安定した存在などないという意味では万物すべてにも当てはまる言葉でしょう。
わたしたちは物質です。こまかいスケールでみると、アナタもわたしもすべて同じ物質で構成されています。それらは原子と呼ばれるもので、時間を追うごとにいろいろな名前に変化し続けていきます。
たとえ安定した原子であっても、いつ宇宙を漂う力に励起され性質が変わるとも限りません。そういった意味で、宇宙に安定した存在などないと言えるかもしれません。
原子は絶えず融合したり分裂したりする。今回はそんなお話をしていきたいと思います。
核分裂・核融合について書く前に、まずは『核ってなんじゃ?』という話からしましょう。
わたしたちの身体は様々な『原子』でできてるってことはアナタも知ってますよね? その原子は『原子核 + 電子』によって構成されています。
核、という言葉を辞書で調べると『中心にあるもの』的な意味合いになります。ってことで、ここで言う核は『原子核』を表しています。つまり核分裂・核融合は『原子核が分裂したり、融合したりする現象』ってことですね。
原子核は以下の要素で構成されています。電子は原子核の周辺をフヨフヨしてる存在ですが……これは後で書きます。
・陽子
・中性子
これでも学校で習いましたか? 陽子と中性子はさらに分解することもできますが、そこまで進むと別の話題になるので割愛します。気になった方は各自でググッてください。
原子の名前は『陽子の数』で決まるとイメージしてください。例として、陽子1つの原子核は水素と呼ばれています。
中性子は電磁的にプラスでもマイナスでもない輩です。こいつは原子核に何個もくっついてる場合があり、水素の場合以下のような呼び方があります。
・中性子が0個の水素
→ 水素、もしくは下記との比較用として"軽水素"とも
・中性子が1個の水素
→ 重水素
・中性子が2個の水素
→ 三重水素、もしくはトリチウム
トリチウムの名は、昨今ニュースで取り上げられているのでご存知の方も多いでしょう。中性子の数がいくら違っても『水素の名前自体は変わらない = 同じ位にある』ってことで『同位体』という呼ばれ方をしています。
トリチウムは水素の同位体である。的な。ちなみに、原子核を構成する陽子と中性子を総称して『核子』と呼ばれることもあります。
基本はこの陽子と中性子がミッチリして原子核を構成します。電子は『その周りをフヨフヨしてる存在』で、だいたい陽子の数と同じだけ電子がフヨフヨしてます。
フヨフヨ、っていう書き方が適切かどうかは知りませんが、現代科学力をもってしても『電子はこの場所にこういう状態である』ってことを確定できてないのでフヨフヨしてるでいーべ。気になった方は量子力学のふしぎちゃん具合をぜひ体験してみてください。
陽子の数で原子の名前が決まりますが、中性子の数は同位体によって様々です。水素の同位体を例に出しましたが、たとえば『炭素』の場合現時点で15種類知られています。そのなかでも「安定してる」と呼ばれるのは中性子が6つないし7つの同位体のみで、そのほかはわりと不安定な存在です。
盛者必衰。不安定ってことはそのうちぶっ壊れるということ。問題はそのぶっ壊れ方――不安定な核は『別の安定した核になる』ために核分裂を起こします。いったいどのような感じなのでしょう?
中性子にはなんと『エネルギーを放出して陽子になるスキル』が備わっています。これをアナタがよく知る用語にすると『β崩壊』と呼びます。聞いたことがあるでしょ?
原子核中の中性子がどうなるか、ちょっと見てみましょう。
・中性子 → 電子 + 反電子ニュートリノを放出
→ 陽子に変化
これがβ崩壊です。βってのは電子を指し、電子がスッゲー勢いで(放射線として)ぶっ放されるんで放射性物質はヤベー存在です。なにせわたしたちの身体を突き抜けてDNAにダイレクトアタックするような輩だからね。だからこそ放射性物質の処理がめちゃ需要だったりするんだけど閑話休題。
ちなみに、β崩壊のバリエーションとして逆β崩壊、つまり『陽子がフヨフヨしてた電子を捕まえて中性子に変身した!』というパターンもあります。陽子はプラス、電子はマイナスの性質なのでくっついたらプラマイゼロってことなんだね。
核分裂っていう名前なので核自体が分裂しちゃう場合もあります。たとえば陽子の数がメチャ多い重い原子核の場合、自分自身から中性子を2個もつヘリウムをぶっ放しちゃうことがあるんですよね。
これ、α崩壊と呼びます。テストに出るので覚えときましょう。
中性子2つ所持のヘリウムが追放された時だけ『α崩壊』と呼びますが、別にヘリウムより大きな原子核が追放されることもあります。ってか核分裂って言うくらいなので通常はそっちが核分裂と言われてるヤツです。
α崩壊の例――放射性物質として名高く、暗殺兵器としても活用された『ポロニウム210』はα崩壊を起こして安定した原子になります。
・ポロニウム210
原子番号(陽子の数)84
中性子の数126
↓ ベータ崩壊によってヘリウム(陽子2,中性子2)を放出
・鉛206
原子番号(陽子の数)82
中性子の数124
α崩壊は陽子の数が減ってますね。もっと極端な例だと『ウラン235』は、だいたい140:90くらいの原子核に分裂したりします。
ベータ崩壊は中性子陽子に変化するスキルなので陽子の数は増えていきます。簡単な例だと『炭素11 → ホウ素11』ってのがありますね。
これらが核分裂と呼ばれるものです。安定してないヤツは安定してる姿に変わりたい。その際ヤバいほどエネルギーをぶっ放すので人体に悪影響を及ぼしてしまう。だからこういった反応で放射線を出す『放射性物質』には近づかないようにね! ってわけです。んじゃあ次は核融合について。
核融合に関するもっともわかりやすい例は『恒星が生み出すエネルギー』でしょう。太陽の中心はメチャ高温かつ圧力が高い世界です。その空間にミッチリ原子が詰め込まれてる時、そのままだとたんなるおしくらまんじゅうですが、そこに一定以上の熱が加わると物質同士がくっついてひとつの核を作り出すのです。
言うてかんたんな道のりではありません。太陽のようにゴウゴウと燃えるためにはウン千万とか1億度以上必要になります。まあ、重力が強ければ必要な温度も下がってきます。
太陽は現状、中心部が1500万度程度です。ただ恒星内部では原子がミッチリ詰まって逃れられない状況なので、時間はかかりますがまあ融合できないことはないって感じ。
太陽は現状『4つの水素』が核融合して『1つのヘリウム』を作る核融合が進行中のようです。この時質量がほんのり下がって、その分熱やらなにやらのエネルギーが地球に降り注いで温めてくれるんですね。
太陽はその領域に達していませんが、たとえば中心温度が15億度を超えると炭素レベルの原子でも核融合できるようになります。さらに重力があったり熱量が多ければ、その分より重たい原子を核融合できたりするようですが、まあ太陽はヘリウムを生み出すくらいが精一杯なので、どうぞ。
超新星爆発なんかも凄まじいエネルギーを生み出します。それは原子が自らの形を保てないレベルですが、超新星の過程で様々な物質が高エネルギーのまま衝突し、鉄以上の重たい物質がたくさん生まれてくれます。そのおかげで宇宙には多くの重たい原子があり、地球にもたくさんの金属が存在するようになりました。
強力な兵器として名高い『水素爆弾』は、反応しやすい二重水素と三重水素を核融合させてぶっ放しています。まあ起動するためには高エネルギーが必要なので、水爆起動のためにわざわざ原子爆弾を仕込んで爆発させなきゃアカンのだけどね。
原爆を起爆させ、核分裂によるエネルギーが二重水素と三重水素の核融合を促します。これにより想像を絶する威力が生まれるわけですが――人間の欲ってのは果てしないねぇ。
結局のところ核融合には『メチャ高いエネルギーが必要』ってことです。核融合の例はたくさんありますが、それらは各自でググッていただければ幸い。
物質には凄まじいエネルギーが秘められています。それらが融合したり分裂したりするんだからどんくらいのエネルギーを放出するのか想像に難くないでしょう。
核融合というエネルギー、これを人類が扱えるようになったらどのような未来が待ち構えてるのか……こればっかりは想像ができません。新たなエネルギー獲得手段として活用されるのは当然でしょうが、その方向性がドコへ向かっていくのだろうか。
人類が自らの手で自らの存在を消去する、なんてことにならぬよう祈りましょう。科学の進歩とアナタの人生の幸福を祈っています。
兵器にきれいもきたないもあるか。




