色が人に与える効果
今回は色彩心理に関することです。かるく色とはなにか? というおさらいをした後に、色がどのような効果を生み出すのか、そのいくつかの例を書いてみましょう。
色彩心理という不思議な世界があります。ただの光でしかないこの『色』は、しかし人間の心と身体に多様な影響を与える存在です。本日はそんな色について書いていきましょう。
色とはつまり『光』です。光は電磁気力が放つ周波数のある範囲であるのですが、電磁波についてまで語ると長くなって(というか私の理解もいまひとつ)しまいますので今回は省略します。ひとまず電磁波のなかの可視光線を私達は見ている、という理解で良いでしょう。なので、私達は一定の範囲の周波数をもつ電磁気力を眼球から取り込み、周波数を大きさと、幅を3つの基準で捉え、それらを合成して『色』として認知しています。
眼球には光の強さを認識する『桿体細胞』。光の特定の波長に反応するいくつかの『錐体細胞』によって、人は光の色を認識します。例えば太陽などはありとあらゆる光の波長が存在するので、それら全てを目視した場合は強烈な『白』に映るでしょう。あまりの眩しさに情報が飽和するので人は目をつぶったり目をそらそうとしたりします。しかし、太陽の光を吸収あるいは反射する物体は、反射した光を通して人間の目には様々な色を感知させます。樹木は茶色、葉っぱは緑、全ての色を吸収してしまうのであれば黒に見えます。つまり、物体の色は『どの波長の光を跳ね返しているのか』という判別方法もできますね。
色に関するおさらいはこれくらいにして、人間が色によって影響される様々な心理のお話に入りましょう。ただ一定の範囲の光の波長でしかない『色』ですが、生物としてこの色を見分けるのはとても意味があることです。なんといっても赤は血や果実の色。生存に関わる色であり興奮作用があるのもうなずけます。空の色である青を見ていられるってことは寝そべって日向ぼっこでもしてるからリラックスできるんじゃないでしょうか?
この『赤と青』の対比は色の心理学としてはもっとも分かりやすい配色です。赤は身体を興奮させる作用があり、青は沈静化させリラックスさせる効果もあります。これは実験で得られた事実であり、科学的根拠ももっています。しかしそれだけではありません。なんと色は人間の認知機能にまで影響を与えてしまう場合があるのです。
・熱さと冷たさ
――この時点でなんとなく想像がつくかと思いますが、事実として『赤』にはより暖かく、そして『青』にはより涼しく感じさせる効果があります。例えば『赤一色』の部屋と『青一色』の部屋。この場合同じ25度の気温に保たれていたとしても、赤い部屋にいる方はより暖かく、青い部屋にいる方はより涼しく感じることでしょう。これから寒くなる季節。もし、アナタのお部屋が青を基調とした彩りをしているのでしたら、そこはひとつ赤色が目に入るような部屋にしたほうが良いかも知れません。色には『暖色』と『寒色』、それに『中性色』というものがあり、おおよそ赤から黄緑にかけてが暖色。深緑から青までが寒色。それ以外が中間色と分かれています。この考え方は色彩心理において重要になってくるので、もし詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら、ぜひグーグル検索で細かい色を見ておいてください。他に『彩度』が高くなるとその影響が顕著になると言います。
実は、昔のこたつは白い光を発しておりまして、体感的に暖かくならないという意見があったことを交えて赤い光を発するようにしたようです。現在ではどうでしょう? こたつは日本の家庭になくてはならない神器(誇張)に昇格したじゃありませんか。昔の人間が炎を発見した当時、その赤はどのように映っていたのでしょうね?
・重さ
――冗談と思われそうですが、事実として色には重さの感覚を変化させるという効果があるのです。例えば引越し業者が用いるダンボールは『白』が主であることが多いです。これは心理学的に白が重量感を感じにくいという効果があるので、引越し業者の方々もその気になって安々と運んじゃってくれる効果があります。まあ彼らは事実として力持ちですし、白っていう色も清潔感などを演出するとか色々考えられますが……。
ある実験では『白』で感じる重さを『1』とすると、黄色はおよそ1.1倍、黄緑で1.3倍、水色で1.5倍、赤で1.7倍、黒では驚異の1.8倍も重く感じられと言います。感じる重さと実際の重さは比例するというのは『フェヒナーの法則』をググってもらうとして、1.8倍という数字はまあ無視できないものですね。なんといっても体感10キロが18キロになるわけですから。つまりダンベルなどの黒色の器具を日々持ち上げているキントレスキーの皆様はものすごく精神的重力に強い、ということになる――のでしょうか?
この『重さ』というのは心理的重圧に対する側面もあります。例えば、白色の部屋に対して天井を黒に染め上げると、まるで上からのしかかってくるのではないか? といった威圧感を天井から覚えるようになります。部屋も全体的に狭く感じるようになり、心理的なプレッシャーを天井から受けるという不思議な感覚を常に味わうことができるでしょう。このようにして重さを利用することができるのですね。逆に、重さを感じたくないという方はなるべく『明度』の高い色を選択すると良いでしょう。全体的に白に近づけば近づくほど軽く感じられるようになります。あとは『先入観』ですね。おかしなことを言っていると思われガチですが、心理学ってことはつまり『心のもちよう』ということなので、おそらく「これは軽い!」と思っていれば100キロの巨漢だってらくらくと持ち上げられるぅ……わけないか。
・距離感
――色は距離感さえ惑わす存在です。実は『進出色』と『後退色』というものがあり、先程説明した『暖色・寒色』も関係がある要素です。おおまかに『進出色=暖色/後退色=寒色』で、彩度が高ければ進出色に、低ければ後退色に見えてきます。確認ですが『進出色=より手前に見える/後退色=より奥に見える』です。
部屋をより広く見せたい場合は、例えば大きな窓のカーテンを後退色に設定すれば、部屋全体が広くなったように見せることも可能でしょう。この距離感のせいで、例えば青い車が遠くにあると錯覚してしまい、いざ右折してみるとわりと近かった……なんてヒヤリハットな経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか? ただこの分野(というより色彩研究自体が)はまだ研究段階であり、すべてがすべてそうだというわけではなさそうです。個人的には色を感知する細胞の数が関係していそうだなぁと感じてはいるものの、とくにこれといった根拠はないので独り言程度におさめておきましょう。
距離感を測る上でもう一つの大きな要素が『大きさ』の感覚です。色には大きささえも狂わせる要素があり、総じて『明度』が関係しているようです。おおまかに『白に近い=膨張色』、『黒に近い=収縮色』と呼ばれ、他にも暖色で明るい色は膨張して見え、寒色で暗い色は収縮色に見えるようです。
身体がデカくて困っちゃう、なんていう方がいらっしゃいましたら例えば『収縮色』を身にまとって自分の身体を小さく見せるとかいかがでしょう? ファッションの世界ではピンク系統が身体をより大きく見せて、なおかつ膨張色が感じさせるふわふわしたイメージを利用してデザインが考案されるようですね。黒いストッキングの収縮色効果でほっそりした脚部をアピールし、なおかつピンクや白のふわふわしたスカート、ドレスを着用することで膨張色と収縮色のコントラスト効果まで与えられる。これはもう「計画通り」なのでは? ――ただ、黒一色などやりすぎると逆効果になってしまうのでご注意ください。特に黒一色なんて『重圧濃厚』な佇まいですので、アナタが動いたり何かを口にしたりするだけで重圧が周囲に振りまかれること請け合いです。
ちなみに、ちょっとしたトリビアですが、こういった理由もあり『囲碁』の世界ではずっと収縮色である『黒』のほうが『白』よりも大きくデザインされています。黒の石のほうが直径、厚さどちらも微妙に大きいので、もし近くに囲碁を持っている方がいらっしゃいましたら確かめてみてください。
色には不思議な力があります。今回はそのほんの1部を紹介しました。これをきっかけに心理学や色彩心理に興味をもっていただきましたら幸いです。
アナタの部屋はどんな色がもっとも多いでしょうか? その色は『暖色』ですか? 『寒色』ですか? これから寒くなる季節、色を工夫して乗り越えられそうな手段はありますか?
あ、でも赤一色の部屋は身体が緊張してしまってどうしようもないのでオススメできないですよ。




