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つれづれグサッ  作者: 犬物語
209/412

【音楽記号】楽譜も時短の時代【反復記号】

楽譜でもなんでも、同じモノがくりかえし行われるなら「省略できね?」って発想になりますよね。

 足し算を考えてみます。もっとも単純な計算問題と言える『1+1』。これをもうちょっと繰り返すと『1+1+1+1+1』みたいな式になりますね。


 これ、めんどくさくね? ――ってことで、世の中には『掛け算』というすばらしい式が用意されています。それをもとにすると『1×5』。ほら、めっちゃシンプルになりました。このように、世の中には時短化のためのアレコレがたくさん用意されているのです。プログラム的な方面ではめちゃくちゃ重要になるよね。for文とかdo-whileループとか使わないでいちいち手計算するのは効率悪いでしょう。まあプログラム方面は蛇足として……


 音楽の地図である楽譜、これにも時短を狙った多くの『反復記号』が存在します。今回は省略しようとして逆に迷路感が増してしまった記号の数々を紹介してみましょう。




 最も基本な反復記号はこんなヤツです。ちょっとサイズ感がアレだけどキーボードじゃこれが限界。もうちょいうまくできる方募集中でございます。


 ________________

      ┃|    |    |┃

   ①  ┃|: ② | ③ :|┃

      ┃|    |    |┃

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 中央の『:』が小さすぎるけど気にしない。太い線と細い線、そしてまるポチがついた独特な縦線が引かれています。それに囲まれた部分を1回繰り返してねという意味になります。


 リピート記号は1小節分だけのくりかえしはまず無く、最も小さいのは通常2小節分のくりかえしです。これをひと通り演奏した場合『① → ② → ③ → ② → ③』という順番で進行していきます。これ、ちゃんとした名前があり『リピートマーク(repeat mark)』と呼ばれているものです。イタリア語だと『replica』ね。レプリカ、模造品や偽物ってイメージが多い言葉ですがこんな意味が含まれているのですね。また、繰り返し回数を指定される場合もあります。


・タイムズ or エックス・タイムズ


 英語で『times(X times)』。楽譜表記は反復記号終止線の下部に『○ times』。○には数字が書かれ「○回数だけ繰り返してね」という意味になります。X timesはリピート数を演奏者に委ねるので、だいたい楽曲の最後とかに記銘されています。めんどくさくて演奏家に投げたか、それとも演奏家のセンスを信じて託したのか、それは楽曲によって異なるのでしょうね。


 繰り返し記号に関して、ちょっと見にくいのですがこんな表記もあります。


           ____ ____

 _________ |1.__ |2.___|_

      |    |    |┃    ┃

   ①  |  ② | ③ :|┃ ④  ┃

      |    |    |┃    ┃

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 演奏する順番を直接指定してるパターンですね。こうなると『① → ② → ③ → ① → ② → ④』の順番で演奏することになります。くそぅ、やはりキーボードで無理やりじゃなく画像を使うべきだったか! まあ、実際の楽譜を見て「あぁ~なるほど」ってなってください。この記号の名前は『1(数)番かっこ(伊:prima volta)』と呼びます。


 楽譜の上に書かれた『1.とか2.』っていう数字が書き足されるとその都度順番に『③・④』いずれかを演奏していくことになります。楽器の練習してる方は順番間違わないよう気をつけてね!


 ここまでが小中学生でも自然と覚えるヤツ。で、こっからちょいちょいレベルアップしていく感じです。


 楽曲の中には『この小節だけ○回反復したい』という状況があります。上記『タイムス』記号でも良いのですが、そういう時は上記リピートマークのような書き方で「○回だけこの小節を繰り返してね」という指示を書く場合もあります。


・ビス(bis)

・テル(ter)

・クァテル(quater)


 ビスから順に『指定された小節を2回、3回、4回粗運送する』という意味。これらは全部ラテン語で、意味もそれぞれ『2回、3回、4回』になります。

        ____

 ______|bis__|_________

  |    |    |    |    |

  | ①  | ②  | ③  | ④  |

  |    |    |    |    |

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 この場合は『① → ② → ② → ③ → ④』ですね。じゃあ以下の場合はどうでしょう?


       _________

 _____ |ter_______|____

  |    |    |    |    |

  | ①  | ②  | ③  | ④  |

  |    |    |    |    |

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 これは『① → ② → ③ → ② → ③ → ② → ③ → ④』と演奏することになります。文字で書くとめんどくさそうですが、演奏する側からすればシンプルでわかりやすそうですね。


 小節内で同じ音符の流れを繰り返したい場合の記号もあります。


・省略記号


 英語で『addreviation』表記は『/』が基本ですが、棒の数が繰り返し数なので、棒の数が多くなると『%(棒は複数書かれる)』で表記されます。


 ___________________

  |    |    |    |    |

  | ①  | /  | /  | /  |

  |    |    |    |    |

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 こうすると『①』に書かれた音符を、他小節すべてで演奏することになります。『/』が3つなので『%』の斜線を3回書けば同じ意味になります。また、可読性のため小節罫線に書くこともありますね。例えば以下の場合『①、②』をもう1度繰り返すことになります。


 ___________________

  |    |    |    |    |

  | ①  | ②  |    %    |

  |    |    |    |    |

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




 小節ごとじゃなくて、もういっそ初めからくりかえしちゃおうぜ! って記号があります。


・ダ・カーポ


 イタリア語で『da capo』。楽譜表記は『D.C.』。日本語訳で『始めから』と直球な言葉です。楽譜の下位置にこの記号があったら曲の最初から演奏することになります。が、楽譜上には演奏家たちが「演奏はここまで!」と指定した記号があります。それらは通常の演奏ではスルーされるのですが、ダ・カーポなどの反復記号で繰り返し状態になると効力を発揮するようになります。これらは後で解説していきましょう。


・ダル・セーニョ


 イタリア語で『dal segno』。楽譜表記は『D.S.』日本語訳で『セーニョから』という意味。ダ・カーポとは異なり『セーニョ』という特殊記号まで戻って演奏するよう指定されています。これもダ・カーポと同じように、楽譜の下に記されています。セーニョ記号は下で『※』と表記しましたが、正しくは『※』と『S』が重なったような記号です。やっぱキーボードじゃ(ry


 __________※_________

  |    |    ||    |    |

  | ①  | ②  || ③  | ④  |

  |    |    ||    |    |

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄D.S.


 こうすると『① → ② → ③ → ④ → ③ → ④』と演奏していくことになります。続けてこれらの繰り返し記号用の「おしまい!」記号を紹介しましょう。


・フェルマータ

・フィーネ


 まずはフェルマータから。イタリア語で『fermata』。楽譜表記は『⌒』と『・』を合体させた感じ。日本語訳で『とまれ』的な意味。通常は楽譜の上にあり『その位置にある音符を"ほどよく伸ばしてね"』っという指示記号で、まあベートーヴェンの『交響曲第6 田園』のように楽曲の最後に使われることがよくあります。あと演歌手は「あぁ~~~」つって最後を伸ばしガチだよね(偏見


 フィーネ(アル・フィーネ)はイタリア語で『fine(al fine)』。楽譜表記は『Fine』。楽譜下に記され、よくフェルマータと併せて表記されます。むりやり書くとこんな感じ


 __________※____⌒____

  |    |    ||    |    |

  | ①  | ②  || ③  | ④  |

  |    |    ||    |    |

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄fine D.S.


 これで『① → ② → ③ → ④ → ③』という流れに演奏されますね。たまに『D.C al Fine』と表記される場合がありますが、それは『始めからフィーネまで演奏してね』という指示です。これで楽曲全体の反復記号は網羅したぞ! ――と思われますが、こっからさらに細かい指示があるんだよなぁ。




・コーダ


 イタリア語で『coda』。楽譜表記は『0』に『+』を重ねたような感じ。日本語訳は『しっぽ(尾)』。楽譜の上に『2つ1セット』で表記されます。また、単純に『Coda』と表記される場合もあります。


 これは「反復演奏時、コーダ間は演奏しないでね」的な意味。下記例では『+』で仮のコーダ記号を書いてあります。


 __________to+___+____

  |    |    ||    ||    |

  | ①  | ②  || ③  || ④  |

  |    |    ||    ||    |

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄D.C.


 これで『① → ② → ③ → ④ → ① → ② → ④』と演奏することになります。1番目のコーダは『to Coda』と書かれる場合もありますね。


 ちなみに、ダ・カーポやダル・セーニョでの反復中、小節ごとに定められた反復記号(最初に紹介したアレ)は基本無視しますが、それを無視するか否かに関しての記号も用意されています。


・コン・レプリカ


 イタリア語で『con replica』。楽譜表記は繰り返し記号の隣に『con replica』を添える系。日本語訳は「繰り返し、アリでよろしく」的なイメージ。記入例は『D.C. con replica』的な感じですね。こうすると途中の反復記号もしっかり反復して演奏されるようになります。


・センツァ・レプリカ


 イタリア語で『senza replica』。楽譜表記は繰り返し記号の隣に『senza replica』を添える系。日本語訳は「繰り返し、ナシでよろしく」的なイメージ。記入例は『D.C. senza replica』。反復を無視するのが通例ですが、この記号を添えることで「ゼッタイに無視しろよ? いいか、ゼッタイだぞ?」と念を押すことができます。フリじゃないからゼッタイに無視してください。




 反復記号中気をつけなきゃいけないコト多すぎ問題。お勉強のために軽く書いてこうかなと思ったら思いの外たくさん書き書きしちゃったね。これは前後半に分けるべきだったと反省。まあ、教養のひとつとして流し読みしてってください。


 世の演奏家はこれらのリクエストにしっかり応えて演奏しています。楽譜を読み込む重要性ってのは、こういう指示がたくさんあるから演奏順番を間違えるなよとかそういう意味も含まれているのですね。繰り返しを1つ間違っただけでだいぶ変わっちゃうからねぇ~……ほんと、こういうのしっかり守った上で超絶技巧を披露するプロの演奏家たちに脱帽ですよ。


 音楽、すきですか? わたしはすきです。最近なにかとアレで機会が少ないですし、基本ひとりですがカラオケにも行ったりします。素晴らしい音楽をじっくり聴くのも良いですが、こういった知識的な面を理解してると、別の次元からも音楽を"味わう"ことができるんじゃないかと思います。さらに楽しめるようにもなりそうだね。


 これからも様々な音楽が生まれ、多くの方に愛されていくのでしょう。これから生まれてくる美しい旋律に乾杯。

演奏家「ここ繰り返して! あとここだけ2回繰り返して! で、ここから最初に戻って、あ、反復記号は無視しないでちゃんと演奏してね!」


演奏家「だれかたすけて」

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