筋肉は科学だ_その7
みなさんは健康的な毎日を送っているでしょうか? ほんの少しでも不安を感じていらっしゃるなら、ぜひ一度筋トレをしてみてください。スッキリしますよ?
筋トレは健康を支える。筋トレは人類を救う。そんな想いでこれまでやってきました『筋肉は科学だ』シリーズ。ダイエットに良い運動に筋肥大に効果的なトレーニングなど、これまで筋トレに関するあれやこれを紹介できたと思います。個人的にすごく満足してます、はい。
本日でこのシリーズを終了させようかなと考えているのですが、最後はとにかくどう実行すれば良いのか? というToDo的な話をしたいと思うので、筋トレのメニューを考えるための情報集的な話を書いていきたいです。例によって理学博士の『石井直方』氏著作『筋肉の科学』を参考に個人の解釈や知識を交えている内容です。
理想の筋肉のためにどのようなトレーニングをすればよいのか? そんな悩みを解決できる一助になれば幸い。
本格的なトレーニングをしたい場合、筋トレをする上で大切なのは
・どの筋肉をどのくらい強化するのか?
・その目標に対して最適なトレーニングはなにか?
・上記を考えた上で実行しているトレーニングはどのようなメカニズム、効果であるか?
・効果を評価して、順調に伸びているか?
を把握することでしょう。言うなればこれは『試行錯誤』ですね。走力向上を目標としているのに腕立て伏せをするというのは不自然でしょう。まずはスクワットなどを考慮して、じゃあ自分の今の足の筋肉ってどのくらいのパワーなんだ? と考えて、そこから必要な筋トレを考えていきます。その上で腕立て伏せを選ぶのなら良いですが……。
これをやる上で重要なのは『今の自分の筋力を知る』こと。前回説明したとおり、個々の筋力を自力で、正確に測定するのは難しいです。研究機関であれば可能でしょうが、そんな手段を用いる余裕がある人は少ないでしょう。普段から1RMを意識して、限界まで挙上運動をして、それらをグラフにしてみるという工夫をする必要があります。
80キロのバーベルを8回挙げられた! 85キロは5回だった! みたいな結果をメモしておくと、個々の筋肉ごとに1RMの値をとることができます。これはネット上に表があるので、ぜひ『1RM 表』で検索してみてください。
もっと細かい計算をしたい場合は、一例として『最大挙上重量 = 重量×{1+(持ち上げた回数 ÷ 30)}』というものがありますが、おそらく表を参考にすれば問題ないレベルでしょう。みなさんのこだわり次第ということで。
ここまで突き詰めるような方でしたら、おそらくジムに通っているでしょう。自分の1RMを計算した結果と、自分が目標としている筋力をトレーナーさんに相談し、ぜひ理想の筋トレや練習法のアドバイスをもらってください。スポーツにより重要視される筋肉は異なりますので、同じスポーツをする人に相談するのも手段でしょう。
さらに、トレーナーさんなどから教えてもらった器具の使い方、それによってどの筋肉を刺激できるかを認知することで、よりその筋肉に対する刺激を意識することができます。筋肉を使っている! という実感は、みなさんが思っている以上に深い効果をもたらします。満足感や愉悦感はさらなる筋トレへのモチベーションとなるでしょう。
トレーニングを繰り返し、1週間、2週間と経過したら自己評価のターンです。その筋トレした部位の1RMをまた測ってみたり、筋肥大の具合を確かめたりしてみましょう。かならずどこかしらの変化があるはずです。ただし、ある部位の筋トレを単一のトレーニングでやっていてもあまり効果がありません。というのも、脳はまず『その筋トレの動きに適応して電気信号を制御することからはじめる』からです。
自転車を乗れなかった子どもが徐々に乗れるようになる。これと同じことが筋トレにも起きていて、脳は『そのトレーニングの動きがうまくなる』ことで、まず強い負荷を持ち上げられるようになろうと努力するのです。それでも足らないといったときに、はじめて筋肥大を目的としてくれます。確かに、1日目からでも筋肥大が始まっている可能性がありますが、基本的に身体は『筋肉の使い方を慣れる → 筋力を増やす』という順番で鍛えられることを忘れないでください。
つまり、同じ筋トレをすると『その動きのプロ』になるだけという可能性があるのです。最初は1つのトレーニングをするにしろ、慣れてきたら2、3種類のトレーニングを用意するべきでしょう。
さて、スポーツをする人は、筋力をつけることが目的ではないでしょう。その筋力をどのように使うか? という課題がどこにでもつきまといます。例えば野球やバレーボールなどは、瞬間的に飛んでいくボールに合わせて素早く脚力を発揮しなければなりません。この動きを実現するためには弛まぬ練習を積み重ねることがひとつの道でしょうが、筋トレという場所においてもそれに似た動きをすることはできます。
『バリスティックトレーニング』と呼ばれるのですが、これは軽い負荷(1RMの30~50%)を素早く持ち上げるトレーニングとなります。普段の筋トレでは正しいフォームで1秒かけて動かしますが、これの場合は一気に! 素早く! 動かすことが肝心となります。
ダンベルを方に担いで一気に上へ!! こういった筋トレを重ねることにより、筋肉は『2分の1立ち上がり時間』という、要は筋肉が一気に最大出力を発揮できる動きができるようになります。格闘技で例えるなら、スタートダッシュを鍛えることで、より強い筋力をもった選手よりも素早く動き懐に入り、必殺の一撃をぶちかますみたいなものでしょうか?
筋肉は『全身のバランス』が大切なので、例えば「体幹トレーニングさえやれば全てうまくいく!」なんてことはあり得ません。筋トレは『ひとつの筋肉を鍛える』ことに特化した動きなので、基本的には数多くのメニューをこなして個々の筋肉を刺激してあげることが大切です。みなさんが不足していると感じた筋肉を重点的に、しかし全身のバランスを考えて筋トレしましょうね。
もちろん、筋トレした後は休息も大切になります。筋肉をつくるのに必要なタンパク質のほか、速筋の栄養源でもある糖を効率的に摂る食事も考えなければなりません。プロのボディビルダーは犬のように毎日同じものを同じだけ食べているそうです。妥協は許さず、食べ残しなどなくすべて胃袋にぶちこむ。そういったストイックな生活習慣が、あのたくましいバルクを生み出すのでしょう。
「でも筋トレするとあんな風になりそうで……」とお思いの方、ご安心ください。アナタじゃ決してなれませんから。
あ、食事についてもうひとつ。えー、筋トレのお供として有名なタンパク質ですが、あまりこればかりに気取られていると思わぬ不幸に見舞われることになります。医学博士である『満尾正』氏著作『食べる投資』によると、フルマラソンに参加するほど健康体だった方が、タンパク質中心の生活を心がけすぎた結果肉食に偏ってしまい、血中の『ホモシステイン』濃度が上昇し、動脈硬化を引き起こして心筋梗塞で倒れた事例があります。これはタンパク質の代謝過程で生まれるアミノ酸で、通称『悪玉アミノ酸』なんて呼ばれる困ったちゃんですので、食べすぎは禁物だということを肝に銘じておいてください。
基本的に、タンパク質は『鶏肉・魚・卵』をバランス良く食べることで補いましょう。糖質や脂質は普段の食事で充分に摂取できると思うので、逆に摂り過ぎに注意する程度でよろしいかと存じます。
最後は筋トレと別方向に向かってしまいましたが、まあ良い筋肉は良い食事から始まるって言うし(今考えました)無問題でしょう。みなさんの筋肉が、ボディビルコンテストでもスポーツでも真夏の浜辺でも、どんな状況でもまばゆい輝きを放つことを願って、ここで書いた内容がみなさんの健康の一助になれば幸いです。
アナタが筋トレをする理由はなんでしょう? それを認知することも、筋トレの効率を上げる力になります。




