ぼっち
── おはよう!
……と言える相手がいない。
講義室には、私の見知った顔はいない。高校までの友人にも、私と同じ大学に進学した人は誰もいない。
私は大学生活最初の“友達作り”に見事失敗し、入学以来ずっと一人きり。いわゆる“ぼっち”というヤツだ。
周りにいる他の学生達の話し声に聴き耳を立ててみる。悪趣味だがそれくらいしかやることがないのだ。
聞こえてくる話題は、授業のレポートの相談や個々人の趣味の話ばかり。そんな中、一つだけ気になる会話を耳にした。すぐ隣の席の女子学生二人の会話だ。
「今朝テレビのニュースで見たんだけど、この近辺でクマが出没したんだって!」
「見た見た!まだ捕まってないんだよね。それで大学側何も対策してないってヤバくない?」
「それなんだよ!でもアンタの拳でなら一発でノックアウトじゃね?」
「そんなことできるわけないじゃん!クマに拳で勝負挑むほどメンタル据わってないっての!」
冗談と笑い交じりに話が交わされている中「クマ」というキーワードが少しだけ耳に残った。
「あ、先生来た。講義始まるね」
その会話も、教員が来たところで中断される。私はこれから始まる講義に意識を向けた。
(……あの子、大丈夫かな……)
* * *
「うぅ……」
追い出されちゃった…… じゃなくて、私から飛び出したんだった。 こういうときは確か、補修サービスのスタッフさんに電話で相談すれば…… って、カバン置いてきちゃった…… 靴も……
── どこの誰だか知らないアンタに『ほのちゃん』なんて慣れ慣れしく呼ばれる筋合いなんてないの!!! さっさとこの部屋から出て行って!!!! ──
……いいもん。戻らないから!
ぐうぅ~
「おなかすいたなぁ……」
スタッフさんのところを出発して、ほのちゃんのところに戻る途中でお昼を食べたのがさいご……どうしよう、このままだとぬいぐるみに戻っちゃう……どこか休めるところは……
「あっ」
公園だ!ベンチもある。ひとまず、ここで休んでいこう……!
* * *
今回のサブタイは各場面で係っててよくね?(自画自賛)
会話体だけの文にお腹の鳴る音をウマいこと表現してネジこむのってどうやればいいスか?どなたかおしえて有識者。
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