表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

3歳の少女の2つの出会い


 クマのぬいぐるみとの出会いは、今から15年前、私の3歳の誕生日にプレゼントとしてやってきたときである。


「ホノカ、誕生日おめでとう。はい、プレゼントだよ。」


「わぁ!パパありがとう!」


 腕で抱きかかえらえるほどの包みの中身は、クマのぬいぐるみだった。日の光に輝いた円らな瞳で私を見つめるそれ、もとい「その子」は、私の心を一瞬で掴み、私の目を釘付けにさせた。抱きかかえたときに手に感じられたふわふわとした触り心地や、胸元にあしらわれた小さなリボンが、可愛さを一層引き立たせる。


「かわいい…… えへへ」


思わず笑みがこぼれた。その直後に父から教えられたことがとても印象深かった。


「いいかホノカ、大切にされたぬいぐるみには魂が宿るんだ。ちゃんと大事にするんだよ。」


「うん!」


 私があの子と出会った同じ年に妹も生まれた。同時期に相見えた2つの出会いに、私はとても幸せを感じていた。


 と思ったのも最初の数年だけ。妹が自力で這って移動できるようになった頃には、たまにあの子に手をかけ、口の中に入れそうになる。特に耳にしゃぶりつこうとする。私はその度に全力でそれを阻止した。

 妹に物心がつくようになった頃から、あの子を取り合う闘いが始まった。


「トウカ返して!その子私の!」


「いや!」


 引っ張り合いになっては、あの子はもみくちゃにされた。そうしてとうとう耐え切れなくなったあの子から、聞こえてはならない音を聞いて私は凍り付いた。数センチほど、右肩の付け根の縫い目に沿って引き裂かれていたのを見たときは、妹への怒りと、お気に入りの子が傷ついたことへの悲しさが入り交じり、私の感情は爆発した。


「お゛か゛あ゛さ゛あああああああああああああああん!!!!!!!!」


私は声を荒らげ、母に直してくれと泣きついた。



あの頃のことは今でも覚えている。妹とも1週間くらいは口を聞かなかったっけ。


 下の子は上の子とお揃いにしたがるものなのだろうか… 恐らくそれもあっただろうが、妹があれほどまでにあの子に執着したのは、単純に可愛いからなのだろう。今思えば、それほどまでにあの子は愛されていたのだと感じる。

ホノちゃん疲れ果てて寝ちゃったので回想ハイリマース


私もお気に入りのぬいぐるみを年子の姉と取り合ってました。


評価・暖かい感想投稿・ブクマしてってね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ