3歳の少女の2つの出会い
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クマのぬいぐるみとの出会いは、今から15年前、私の3歳の誕生日にプレゼントとしてやってきたときである。
「ホノカ、誕生日おめでとう。はい、プレゼントだよ。」
「わぁ!パパありがとう!」
腕で抱きかかえらえるほどの包みの中身は、クマのぬいぐるみだった。日の光に輝いた円らな瞳で私を見つめるそれ、もとい「その子」は、私の心を一瞬で掴み、私の目を釘付けにさせた。抱きかかえたときに手に感じられたふわふわとした触り心地や、胸元にあしらわれた小さなリボンが、可愛さを一層引き立たせる。
「かわいい…… えへへ」
思わず笑みがこぼれた。その直後に父から教えられたことがとても印象深かった。
「いいかホノカ、大切にされたぬいぐるみには魂が宿るんだ。ちゃんと大事にするんだよ。」
「うん!」
私があの子と出会った同じ年に妹も生まれた。同時期に相見えた2つの出会いに、私はとても幸せを感じていた。
と思ったのも最初の数年だけ。妹が自力で這って移動できるようになった頃には、たまにあの子に手をかけ、口の中に入れそうになる。特に耳にしゃぶりつこうとする。私はその度に全力でそれを阻止した。
妹に物心がつくようになった頃から、あの子を取り合う闘いが始まった。
「トウカ返して!その子私の!」
「いや!」
引っ張り合いになっては、あの子はもみくちゃにされた。そうしてとうとう耐え切れなくなったあの子から、聞こえてはならない音を聞いて私は凍り付いた。数センチほど、右肩の付け根の縫い目に沿って引き裂かれていたのを見たときは、妹への怒りと、お気に入りの子が傷ついたことへの悲しさが入り交じり、私の感情は爆発した。
「お゛か゛あ゛さ゛あああああああああああああああん!!!!!!!!」
私は声を荒らげ、母に直してくれと泣きついた。
あの頃のことは今でも覚えている。妹とも1週間くらいは口を聞かなかったっけ。
下の子は上の子とお揃いにしたがるものなのだろうか… 恐らくそれもあっただろうが、妹があれほどまでにあの子に執着したのは、単純に可愛いからなのだろう。今思えば、それほどまでにあの子は愛されていたのだと感じる。
ホノちゃん疲れ果てて寝ちゃったので回想ハイリマース
私もお気に入りのぬいぐるみを年子の姉と取り合ってました。
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