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くま

 さて、どうしたものか……

突然押しかけてきた見ず知らずの少女の言動に流され、彼女を部屋に入れてしまった。


「お部屋広いねー!お引っ越し前のお部屋よりも広い!」


小学生くらいの身の丈をした彼女は、ミニテーブルを前に正座し、初めて訪れる部屋の中を見回した。身体を弾ませる度に、彼女のブラウンのショートヘアがふわふわと上下する。


(警察呼んだ方が良いかな……)


──いや、私の方が誘拐犯だと疑われかねない。あれこれ考えるよりも、まずはこの子について知らなくては。話はそれからだ。


「……ねえあなた、おうちはどこにあるの?」


「わたしの家は、ほのちゃんと同じところだよ!」


「お父さんとお母さんは?」


「ほのちゃんとおんなじ!」


早速わけの分からないことを言っている。親が私と同じなら、この子は私の妹だが、私に妹は……一応いるけれどこんなに可愛いわけがない。隠し子の可能性は家族会議に発展しそうになるから考えたくない。おそらく、同じく『ほのちゃん』と呼ばれている他の誰かと間違えてここに来たのだろう。


あれこれ頭の中で思考を巡らせていくうちに、一日の溜まった疲れからかだんだんと眠くなってゆく。私は目の前に見知らぬ少女がいるという現実そっちのけで、我が欲の赴くままにベッドに横になった。


「……あなたの名前は?」


「くま!」


「……くま?」


…確かによく見なくてもクマの付け耳をしている。ハロウィンはまだ先だというのに、クマのコスプレでもしているのか。何故……?


「ねえ、あなたのその付け耳なんだけど……」


「つけみみ……? これは付いてるんじゃなくて、生えてるんだよ? 触ってみて!」


「ぇえ…?」


少女はベッドに横たわる私の目の前に自分の頭を突き出してきた。

言われるまま、私は彼女の付けているその耳を触る。


   ふにゅん


「……くふふ、くすぐったい……!」


くすくすと笑う彼女の耳は、付け耳にしては動物のそれのように柔らかく、血が巡っているかのように暖かかった。


「ね? これでわたしが『くま』だって分かったでしょ?」


分からなかった。眠気のせいで呆けていることしかできない私に対し、少女が言葉を続ける。


「それに、ほのちゃん言ってたよね? 『綺麗になって帰って来てね』って!」


そういえばそんなことを言っていた気がする…

少女は話を続けたが、眠気に負けて話の内容が頭に入って来ない。


「私ね! こんなことも…… …!」

何を言ったか聞き取れない。その数秒後には、霞む私の目の前にいつの間にかぬいぐるみがあるのが見えた。


……あれ


ぬいぐるみが喋っている。


……疲れてるんだ、私。


「もう寝よ……」


「……あ、もう夜遅いもんね。おやすみ!」


疲れすぎて幻聴が聞こえてくる、押しかけてきた少女もぬいぐるみも幻覚だ、もしくは変な夢でも見ているんだ、そうに違いない。そう言い聞かせながら、私は睡魔に負け眠りに落ちた。

サブタイは適当につけてます。


最近寝るのが遅くて、目の下にくまができる代わりに、

体中が蕁麻疹で痒くなってます。


よければブクマ/評価/感想コメントをお願いします!

著者の蕁麻疹が治まる わけではないですが

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