説明
少女は朝の太陽に照らされた都会のビル群を横目に見ながら、首都へ続く主要道路をバイクで走っている。
ここはLivre Rizière国(日本でも可),人口約7000万人を擁する人口都市である。
12年前,King berg公国がGlocke Baum国の皇太子を暗殺したこと(サンダーバード事件)により第二次世界大戦が引き起こされた。本国はGlocke Baum国率いる枢軸国側に回って枢軸国側の戦闘装備の供給を支援する立場にあった。そして,AI技術を初めて実戦に使用した無人偵察機AI(KZM-JA10)や電磁妨害システムEMP-1などを開発,技術提供の見返りに多額の資本を手に入れた。
多額の資本を手にした本国は経済的に豊かになり,それを元金として本国の経済的基盤を高めることを目標とした官民合同による崑崙八仙財団を設立し、国,首都,崑崙八仙財団の三者によって全国の水道,下水,交通,通信網などのインフラの整備を行った。
都知事と崑崙八仙財団は中心的な役割を担い,高度に制御された都市計画を実施し首都を中心とする経済網を確立し国民の生活水準を向上させた。その一方で,それは中心部での物価や土地の高騰を引き起こし、庶民の生活を郊外へ移転させる,所謂,ドーナツ化現象を引き起こしてしまった。
首都の都市部はビルが林立し豊かな中級〜高級層,それを囲む郊外が貧困〜庶民層という風に別れ,それは先の戦争で享受できた者と出来なかった者との差でもあった。都市部のそれに伴って,都市〜郊外を繋ぐ地下電鉄やモノレール,小型輸送AIなどが下級層の主要な移動手段となり, 混雑を嫌った中級層~高級層は安全に操作されたAI搭載型の車を使用するようになった。
「良い風景ね・・・ドライビングにはもってこいって感じ」
遠くに見える朝日に照らされて煌めくビル群を見てそう言った。左足つま先にあるシフトペダルを下にクリックして,5速から6速にシフトアップしグリップをひねって加速する。
7時になるとヘルメットのガードに様々な情報が省略されて提示される。ニュース,番組スケジュール,スキャンダルや,天気予知,もちろん今日の運勢も出ている。それらの情報は運転に支障がないように統制され、それらの情報へのアクセスはヘルメットに内蔵された,ヴァーチャルシティーを経由することによって,表出する自己意識の動きと視線を読み取ることによって行われる。
「今日の運勢は...最悪,・・・ラッキーカラーは...緑みたいね」
少し肩を落としているとヘルメットのガードに電話のコールが提示されてきた。