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美少女を剥きたい

熱さありラブコメありの競技ものを書いていくつもりです。

一話目からいきなり競技関係ないですが、二話目からはちゃんと競技するのでご安心ください!


※本日のみ二話同時公開です。じゃないとどんな話か1ミリも伝わらないからね!!!


「どうして! どうして服が脱げねぇんだ!!!」 

「シオン様、落ち着いて下さい」


 居間に鎮座するテレビに向かって、十四歳の少年、シオン・エドワーズが高々と吠えた。


 後ろに控えていた女子高生メイドのラナ・アーバンスがそれを窘めるが、シオンは落ち着きを取り戻さない。


「だって、服が脱げないんだぞ? 見てて何も面白くねぇぞこんなもの!」

「横暴にも程がありますね、シオン様。魔技の魅力は服が脱げるところではありませんよ」


 シオンが熱心に見ていたのは魔法で行われる競技の一つ、「グラディエーター」の中継だ。

 魔法競技は魔技と呼ばれ、世間で親しまれている。しかしエロいことにしか興味のなかった彼には魔技との縁などなく、ルールすら分かっていない。


 では何を熱心に見ていたのか。それはテレビの奥で華麗に魔法を扱う、黒いスーツに身を包んだ美少女選手であった。


「魔技なら女の子の服が脱げることもあるって聞いたから、それだけを楽しみに見てたのに! この期待、いったいどうしてくれるんだ!」

「いや知りませんよ。というか、女の子の裸を見ようとしてたなら私を側に控えさせないで下さいよ」


 理不尽に怒るシオンに呆れながら、ラナはため息をついた。


 エドワーズ家は由緒ある家なので規律に厳しく、女の子の裸などは写真でさえ見ることを許されていない。だからシオンは縋るように魔技の中継を見ているのであるし、ラナは他の者が家にいないようにするための誘導まで手伝わされたのだ。


「兄上が家を空けた隙を見計らってテレビをつけた努力と、興奮と、抑えられない胸の高鳴りを返してくれ……」

「心中お察しします」


 シオンの呟きに適当に答えるが、勿論お察しなどしていない。エロ目的で競技中継を見るほどの追い詰められように、ただただ同情するばかりである。


「では、そろそろジン様のご帰宅のお時間ですのでテレビはもう消しましょう。ご勉学を中断していたと知れたら……」


 エロいシーンがないと分かったことだし、もういい加減テレビから離れるだろう。そう思って、ラナはテレビのリモコンに手を伸ばそうとする。


 だがその時ふとシオンの横顔が目に映り……ラナは驚愕した。


「どんなけ見たかったんですか女の子の裸!!!」


 見ればシオンの目から、涙の筋がつうと頬を伝っていたのだ!


 確かにテレビでエロシーンを拝める時をずっと前から楽しみにしていたし、そのためにシオンがどれだけ綿密な計画を立て、ラナを巻き込んでまでテレビを使える時間を手にしたのも知っている。


 それが裏切られて泣いている主人が流石に不憫で、ラナは気づけば口を開いていた。


「その……。そんなに女の子の裸が見たいのでしたら、いっそのこと私が……」


 しかし。幸か不幸か、彼の耳に今の言葉は届いていなかった。


「この女の子、強すぎだろ……」


 いつの間にかテレビに集中していたシオンが、画面を食い入るように見つめながら静かに呟く。


 テレビの奥で黒い長髪をたなびかせ、自由自在に炎を操る少女、サシャ。

 彼女は最年少で魔法警察に就任した程の実力者であるため強いのは当然なのだが、魔技に疎いシオンはそんなことすら知らない。


 しかし。


 知らないが故の幸運ということもある。この中継が、彼に一つの決意をさせたのだ。


「俺、この子を剥きたい……」


 それは決意というにはあまりにも俗で、取るに足りないただの願望であった。だがこの願望が、今後の彼の人生を大きく変えることになる。


「魔技を始めて、強くなって……。この子の服を、俺の魔法でひん剥きたい……!!!」


 誰にともなく宣言した彼の目からは、いまだに涙が流れている。


 それが試合に興奮したが故の涙であると、彼が自覚することはなかった。

毎話1つずつ、後書きに魔法の詳細を載せていきます。

完全なるおまけなので、読むのめんどくさければ魔法詳細は読み飛ばして問題なしです!


〈飛炎舞〉

物理魔法 火炎属性lv.4

効果:既に存在する炎を自在に操る。〈炎舞〉という下級魔法と違い、この魔法で操作する炎は地上だけでなく空中にも動かすことが出来る。


射程:全方位20メートル

対象:射程内の炎全て

起動時間:2秒

消費:3

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