また会おう
「今度はこんな形じゃなく、ちゃんとお互い話せる姿で向かい合おうね」
そうだな。
ナガラのペットとしての生活も悪くはなかった。ナガラは私の言いたいことをわかって答えてくれるから、さして不便にも感じなかった。
だが、ナガラとは話したいこと、話すべきことが山のようにある。
それは直接かたり合いたい。
この先どの道に落ちるのかは知れないが、できることならちゃんと出会いたい。そうしたら、害悪でしかなかったこいつが少しは好きになれそうだ。
害悪というのもおかしいか。こいつの原型は私なのだし。
「また会おうね」
ナガラは月明かりの下、そう微笑んだ。
応、と答えるように鳴きかけたところで、
ずさっ
私の腹部に刃が突き立つ。唐突だが、いいか。
私は意識がふんわりと浮き上がり、どこぞへと吸い込まれていくのを感じた。
これまで六道輪廻を巡るとき、私は基本的に一人だった。
だが、今回は違う。
傍らにナガラという存在があるのを感じた。ナガラも、同じ行き先となるのだろうか。
ぼんやりとそんなことを考えながら、私は次の世界へ向かった。
長門未来の六道輪廻 畜生道-完-
次なる道は最果ての地。




