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大和が師範〜キラーマウンテンと呼ばれた陰陽師〜  作者: 疾風迅雷の如く
序章 陰陽師復活
14/40

第14指導 未知の化け物

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▲▼▲▼☆☆☆☆▼▲▼▲


五十嵐は龍造寺の口元が見える建物の中にいた。そこで五十嵐は龍造寺の言っていることを読唇術を使い、観察していた。

「ようやくはじめましたか。会長…」

五十嵐がそう呟いた理由はただ一つ。会長たるギドラが腕を捥いで合図を送ったのだ。


五十嵐の能力は生物を何の違和感を感じさせないように意思や行動を操る能力だ。もちろん制限や発動する条件が多数あるがそれさえ満たせば強力な能力となる。実際に鴨川(竜人)春澤(フランケン)間中(オーク)端本(ミノタウルス)などと言った者も五十嵐の支配下にあり、全員がその命令に従い、行動した。そして今、雄山達はその支配下に置かれていた。

「後は待遇とかの説明ですよ…会長。ここまでお膳立てしておいて失敗したら笑い話でしかありません…」

そして五十嵐は能力を最大限に使い、雄山の意思を操った。


だが次の瞬間、龍造寺の身体が変化し五十嵐は呆然とそれを眺め、龍造寺の口元の中に入っていった。

「(な、何故…何故私の能力が効かなかった…!?)」

放り込まれる最中、五十嵐は自らが犯したミスを考えるが見当がつかない。だが自分に不備はなかったはず。それだけは確実だ。原因がわからないまま、五十嵐は龍造寺の胃液に溶かされ骨となって死んだ。


▲▼▲▼☆☆☆☆▼▲▼▲


龍造寺の答えに雄山はこう答えた。

「確かに俺はその情報が欲しい…しかしそれだけ聞けばもう充分だ。お前に対する勧誘の答えはNoだ」

何故雄山はそう答えられたのか…その答えは自分自身にあった。雄山は名前を与えるということはしない。その理由は言霊である。言霊とはいわばその言葉の力だ。時折暗示などにも使われ、30年以上も前にそれを使った宗教が騒ぎになった。以来、陰陽師の業界の中で言霊を使うことは禁じられていた。雄山が操られている事に気づいたのは龍造寺に名前を与えた後だった。

「よかろう…名前をくれたことには感謝はする。だが永遠に分かり合えぬということだけはわかった。せめて我の本気の力を見せてから死なせてやろう」

そして龍造寺の身体がボキボキと音を立て、徐々に変化していく。その身体は巨大化し、三つ首の竜となった。

「役立たずに用はない。死ね!」

そしてその場にいた五十嵐を食し、胃の中で消化し終えると東堂は腰を抜かしてしまった。それは五十嵐を殺したことじゃない。龍造寺の威圧感に押され萎縮してしまい、そうなったのだ。雄山も足が震えており、今までの経験を通してようやく立っていられる程度だ。

「さて、役立たず(五十嵐)の始末も終わったことだ。我々の野望の為にもこの場で死んでもらおう!」

そして龍造寺が妖力を凝縮し、巨大なエネルギー弾を作り、それを放つ。

「やべえっ!」

雄山は瞬時に反応して東堂を抱え、エネルギー弾から離れる。するとエネルギー弾は地面に半径10mを中心とした底の見えない崖を作り上げた。


「流石に大和一族の宗家だけあってその邪魔者を抱えたまま避けることはできるようだな」

龍造寺は口角を上げ、ニヤリと笑う。これまでの相手は本気を出すまでもなく全て死んでいった。それ故に不満が溜まっていた…だがこの男に本気を出しても消化不足になることはない。そう感じていた。

「邪魔者? 誰のこと言ってやがる? 俺からしてみれば東堂は邪魔者なんかじゃねえよ」

雄山はそう言っていたが龍造寺のエネルギー弾の威力を見て、驚いていた。現代においてまさかこれほどの力を持った化け物が眠っていたとは想像していなかった。確かに鴨川から龍造寺の話を聞いていなかった訳ではない。しかしそれは半信半疑で聞いていたのだ。まさしく鴨川の言う通り怪獣のような化け物だった。

「ならば我も本気の出しがいがあるというものよ!」

そして龍造寺の6つの目が光り、身体が黄金色に変色していった。


「くそ…がっ!」

「あ、あ…!」

初めて雄山が弱気になる様子を見た。東堂はそれに気付き、雄山に声をかけようとするも雄山よりも怯えている自分が声すらも出せないことに惨めになる。龍造寺があまりにも別格だった。

「…東堂、ここまで来たらもうお前は妖怪陰陽師としての道を歩むしかねえぞ。覚悟しておけ」

先ほどよりも大きいエネルギー弾が目の前に迫り、雄山は決意した顔つきで東堂に言い聞かせる。

「…え? それってどういう…!?」

東堂が尋ねるが無視し、雄山は東堂を地面に起き、右腕を大きく引く。

「東堂、よく見ておけ。これが大和一族に伝わる秘術の一つ…大和空掌砲だ!」

その瞬間爆音が響き、煙が充満し東堂は吹っ飛ぶ。


だが東堂は迫るエネルギー弾が何かに押しつぶされ、爆発する瞬間を吸血鬼の目ではっきりと見ていた。そして煙が上がり、二人は視線で勝負していた。互いに先読みし、それを見破る。見破り見破られが続きついに龍造寺が口を開けた。

「大和雄山。汝に一つ聞く。それだけの実力を持っていながら何故鴨川や春澤を始末しなかった?汝の実力ならそれは出来ただろうに」

龍造寺の疑問、それは現在雄山が戦ってきた敵、つまり鴨川と春澤を何故殺さなかったという疑問だ。

「鴨川は情報を引き出す為だ。その為には殺さず生かす必要があっただけだ。春澤を本気で殺すには手間がかかる…だが安心しろ。てめえのような害にしかならねえ奴はきっちりと殺す」

「我を殺す? 足手まといを抱えた状態でこの我をか?」

龍造寺の目はどこまでも冷たく、殺意が乗せられていた。

「何度も言わせるな。東堂は足手まといじゃねえよ。東堂は俺の相棒(パートナー)だ!」

「ユーザン先生…」

東堂は雄山の言葉にときめいていた。その理由は相棒(パートナー)の意味を誤解していたからだ。東堂は配偶者の意味…つまり、雄山の言葉を「俺の嫁だから大丈夫だ」というように解釈してしまった。しかし、雄山の言う相棒(パートナー)とはそのままの意味であり、テニスにおけるダブルスのペアと同じようなものだ。


「東堂、よく聞け…吸血鬼のお前は空を自在に飛べるという特徴がある。その特徴を生かしてお前はこれを奴の口の中に投げろ」

そう言って雄山が東堂に渡したのはボールに破魔札らしきものを幾つか張った(ボール)だった。

「ユーザン先生、私破魔札なんて使えせんよ?」

東堂がそう思うのは当然だった。何しろ破魔札は妖魔の類を滅ぼす効果があり、人間からしてみれば硫酸を身に纏って特攻しろと言っているようなものである。

「安心しろ。それは破魔札で出来た奴じゃない。爆弾だ」

「ば、爆弾!?」

東堂は思わずそれを手放すが雄山はそれをキャッチして解説する。

「っても余程のことがなきゃ爆発はしねえ。触れた奴の妖力に反応する爆弾だ。妖力に比例して爆発の規模が大きくなるが…少なくともお前のチンケな妖力じゃ爆発はしねえよ」

そう、雄山が用意したものは爆弾だ。それも触れた者の妖力に比例して爆発の規模が大きくなるという対大物用の爆弾。東堂のような純血でない妖怪には大して意味がないが龍造寺には効果的だ。

「それはそうですけど、チンケなんてはっきりと言わないでください!」

「とにかくだ。龍造寺の妖力はアホみたいにあるから口の中に入れた途端ドカンと一発花火が上がる。そうなりゃ流石の龍造寺でもただでは済まない。口の中に入れれば勝利は確定だ」

雄山は口で断定したものの、内心は不安だらけだ。確かにどんな化け物であっても生物である以上は内蔵に爆弾を入れて爆発したら溜まったものではない。しかし相手は雄山ですら未知の化け物だ。何が起こるかわからない。

「…はい」

東堂は雄山を信じることにした。

「俺が攻撃を引き受ける。東堂は口の中にこいつを入れてやれ。わかったな?」

雄山は役割を自分自身にも言い聞かせ、やること為すことをイメージする。それだけでも龍造寺という化け物に立ち向かえる気力が増す。

「わかりました!」

その言葉を聞いて雄山も龍造寺に対する震えが止まり、微笑んだ。

「頼もしい言葉だ…期待しているぞ!東堂!」

そして雄山と東堂は西智学園都市を混乱させ、その上学園都市を裏切った滝河だけでなく、鴨川を始めとした多くの部下を利用するだけして殺された者の仇を討つために目の前の化け物に敢然と立ち向かう。

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