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彼を生む

作者: そらまめ堂

彼は持論を展開する。展開された持論は二度とは元には組み上がらない。よって彼の持論は崩壊する。持論を展開、崩壊、が同時に起きる。彼はなんどもなんども挑戦を繰り返す。もはやマンネリズム製造機と化す。崩壊した持論はだれにも受け入れられない。崩壊した持論は彼自身すら拒絶する。崩壊した持論はゴミ同然として扱われる。彼はこれをいち早く捨てなければ彼がゴミ同然として扱われる。だから彼は素早い動きで持論を手放す。もう喋ってる途中から持論をディスターブし出すのだ。彼には自分がない。彼には持論しかない。だから彼は持論を生まなければならない存在で、彼自身が持論であるかのように振る舞う。生産と消去を行ない続ける事こそが彼の命である。というか、彼は持論である。持論が彼なのだから、彼は彼を生み出している。しかし、消去もしている。彼は彼を生んだり消したりしている。彼の所在は留まるところを知らない。だれも彼を見つけられない。生み出たそばから消されていくのだから。彼には息をつく暇がない。しょっちゅう生まれたり消えたりしなければ命が無くなって仕舞うのだから。サザンオールスタアズなんて聴いたためしはない。ニンテンドーデーエスなぞこの世のものとも知らない。だが、命には必ず始まりと終わりがつきものなのだ。たとえ誰も知らない存在、または亜存在だとしても。かれの始まりはドイツ観念論に対する悲愴に満ちた解析方法についてで、お終いは雨の夕暮れには虹を見る、というものだった。


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