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お市の天下漫遊記  作者: 女々しい男
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アルマダの海戦

トップ二人がいちゃいちゃして話にならないので、俺達は勝手に話を進めていく。

「あの拿捕した船と乗組員、金品はイングランドに上げるわ」

俺は紅茶を飲みながら話す。

「なっ!」

セシルとドレークは絶句する。

それはそうだろう。船や金品だけでも、イングランドの国家予算の何倍あるか分からない。それに乗組員の身代金でも逸れ相当の金額か譲歩を引き出せる。

「それに良ければ、私達が通った場所の管理を、お任せしたいわ。織田はスマトラ島から西に行きたくないの。遠すぎて管理できないもの」

俺は手を前で、ヒラヒラさせながら話す。

「とてもありがたい話なのですが、それではポルトガル、スペインが、黙ってはおりません」

セシルが辛そうな顔をして話す。

「んっ大丈夫よ、その為に織田が来たのよ。特にスペインには恨みもあるしね」

そう言って微笑む俺を見て、二人は体を震わせる。

「共に戦って頂けると・・・」

セシルは心配そうに俺を見て問う。

「ええっ、顔を見に来るだけなら、もっと足の速い船で来てたわよ。鉄甲船で来たのは戦を想定してたからよ。それにイングランドまでの航路を確保しておきたいという思惑もあったけどね。でも約束してね、植民地として扱わないで!民を大事にしないなら、織田は貴方達の敵になるわよ」

俺は強い視線を二人に向けて、微笑む。

「「気をつけます」」

二人はハモる様に言葉を発した。

「きっとフェリペ二世は難癖付けて、宣戦布告してくるから、覚悟と準備を急ぎなさい。それに・・・内部の裏切り者が動くと思うから、ロンドンの警備は厳重にね」

俺が紅茶に口をつけて微笑むとセシルとドレークが震えていた。

それからドレークが、織田の拿捕した船を各港に収容して、乗組員の配備や修理、補給を急ぐ。

セシルはポルトガル、スペインに使者を出して、織田が捕虜としている乗組員の引渡し交渉を進めた。

両国は乗組員が無事に帰国すると、身代金を棚上げして、拿捕した船舶の返還を迫るがイギリスはそれを拒否する。

するとイギリスに対して両国は宣戦布告して、稼動できる全船舶をイングランドに向かわせる。

すると突然、エセックス伯が兵を挙げてロンドンに侵攻するという凶報が入る。

「慶次、鴉出番よ。蹴散らしておいで・・・」

俺は慶次にそう告げる。

「あいよ。姫さんの邪魔はさせねぇさ」

肩に火縄を抱え、走って敵に向かっていく鴉。

「褒美は姫の添い寝でいいぜ」

イギリス軍から借り受けた馬に跨り、馬上から冗談をいう慶次。

「あらっそんなもんでいいの?」

俺がとぼけて返す。

「やっぱ、姫は落とせそうにないわ」

笑いながら、敵に向かっていく慶次。

俺は織田の陸上兵と雑賀衆を引き連れて、エセックス伯の軍と衝突する。

雑賀衆の早合や組打ちで隊列を崩したところを慶次率いる騎馬隊が蹂躙してエセックス伯の軍は崩壊する。

逃げ出すエセックス伯を慶次が逃がす訳も無く、首を取られて戦死する。

こうして内乱を素早く処理すると織田の水軍を戦闘海域に配置する。

イギリスはジパングと正式に同盟する事を宣言し、ジパングに援軍の要請すると、ジパングは戦闘海域に停泊させていた鉄甲船を敵の主力であるスペイン艦隊にぶつける。

織田水軍は縦一列に並び、側面に取り付けてある大砲を最大限に使える単縦陣戦法を披露する。

その戦法を見たドレークは、装備だけでは無く、織田の戦術が並々ならぬ物だと実感する。

大砲の嵐を潜り抜けて、何とか近寄った敵船には、織田のお家芸である火縄三段撃ちが絶え間なく打ち込まれ、銃弾と焙烙火矢を放り込まれ、次々と海の藻屑となる。

織田は一隻も失う事が無く、スペインの艦隊を殲滅、そのスペイン艦隊の加勢に来たポルトガルの船団も同じく殲滅した。

完全に打ちのめされたスペイン、ポルトガルの生き残った両船舶は、自国に戻ろうと退却を始めるが、ドレークが引き連れた船団に、全て拿捕されるか、撃沈された。

この海戦により、スペイン、ポルトガルは多数の戦死者を出した。

その戦死者の将兵にスペイン、ポルトガル両国の王となっていたフェリペ二世も含まれていた。

イギリス、ジパングの両船団はそのままスペイン、ポルトガル両国の沿岸部に侵攻して、占拠すると両国はイギリスに降伏の使者を出し、イギリスは降伏を了承する。

そして、スペイン、ポルトガルの王にエリザベス一世が選出されて、イングランド、アイルランド、スペイン、ポルトガルの4カ国の女王となり、スペイン、ポルトガルの植民地もエリザベス一世の手に入ることになる。

この敗戦でカトリック系の国は完全に弱体化していく。

ローマ教皇グレゴリウス13世はこの敗戦を聞くと

「おおっ、何故あの時に、大規模な十字軍を派遣しなかったのか・・・」

と叫び、両膝を付いて泣き崩れたという。

俺は織田の船団を率いて一路、イングランドに寄港する。

そこには俺を出迎える、満面の笑みを浮かべた信長とベスがいた。


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