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その心臓に宿るもの  作者: ゼオ
二章 大会と陰謀
22/27

4話

『0』


その声と同時に何人かが俺の居たところに飛びかかっている

既にそこには俺はいないが

結果、飛びかかってきた生徒はぶつかって皆伸びてしまった

ぶつかったときに金属音が響いたのは得物を手にしていたからだろう。伸びた人の近くには剣などが落ちている

目が覚めないうちに早速バッジを回収


1.2.3.4.5.…8個か。意外に集まるの早いな


これで10個集まった。数にしてノルマの半数。すぐに左胸のバッジの前ぐらいに翳すと消えてしまう


開始早々この調子なら楽そうだな


そう思ったのも一瞬

直後に司会者と代わったシルビーさんの声が響いた


『おお~っと。カウントが終わって一瞬で編入生君がバッジを10個手に入れたようです!!編入生を倒すと今ならそれが獲得できますよ~。頑張ってくださ~い!』

とかなんとか生徒に要らんことを吹き込みやがった


悪魔だ、あそこに悪魔がいる!!


そんなことを思いながら俺は司会席にいるシルビーさんを一睨みすると、迷わず闘技場から逃げようと踵を返した

が、そこはさすが実戦が主な魔法学園の生徒。俺の前に回り込む者が数名

俺はソイツらを見据えると、出し抜くために相手の一挙一動を観察しながら走り続ける


大人気だな~俺。嬉しくないけど!


2人が近づいてくる。それぞれ握っているのはナイフと…鎚ですか!?

ナイフを持っている方が早く俺に辿り着き、切りつけてくる

横に一閃を上体を少し逸らして避けると、脚を使って払いが来たのでしゃがんでいる相手の頭上を跳び越えた


あくまでも最優先事項はここからの脱出であって敵対者の撃退じゃないからな~


着地して顔を上げると既に鎚を振り下ろす生徒の姿が。"今の俺"が避けるには少々キツい速さ

残った選択肢は「迎え打つ」の一文字のみ


しゃーない。やるか


自然と口の端がつり上がる

俺は振り下ろされる鎚に掌底を放つ。鎚と掌が衝突する寸前に鎚と同じ速度に腕を引き、負担を肘で受け止めた

俺の足元には地面の陥没した後が。これは殺し損ねた衝撃があったためだ

生徒は、自らの攻撃を正面から受け止めて無効にした対象オレを呆然として見つめていた

俺はその脇を抜けて闘技場の入り口を目指す

今の攻防の合間に唱えたのか、前にいた3人の放つ魔術が俺に降りかかってきた


【土の恵沢】【蛇炎】【雷電】


【土の恵沢】は強化魔法、指定した魔術の威力を増大させる

【蛇炎】は速度は少し落ちるが、放った炎を操作できる

【雷電】は直線に飛ぶ稲妻。俺もよく使うメジャーな技だ


強化の魔術が即座に出ると言うことは同じチームだからか


「炎はわっちに任せるのだ♪」


俺の後ろを着いてきていた(全く気付かなかった。さすがSクラス)アイラが飛び出す間際に言った

そのまま【蛇炎】に近づいて行き、腰に挿していた剣を抜き放つと同時に【蛇炎】が2つに割れた、既に剣は鞘に納まっている。居合いだ。剣が速すぎて眼が追いつかなかった


普通の剣じゃ魔術がそう簡単に切れる筈がないんだが…そこは技術で切ったのか?それとも剣のおかげ?


一瞬のやりとりを見てから俺は迫り来る【雷電】に目をやり、どうやって潰すか選択する


「同じのでいいや【雷電】」


詠唱破棄


俺が呟くと紫色の稲妻が飛ぶ。普通だったら黄色っぽい色なんだが…、俺は何故か紫色。紫電って呼んでるけど何で普通と違うかは知らん


俺の放った【雷電】と相手のそれがぶつかり爆発した

爆発によって巻き起こる土煙に視界が覆われるが、視界の悪さを無視して突き進む

土煙を抜けると戦闘の構えを見せる2人


…2人?もう1人は?


そんなことを考えながらも殴りかかってきた2人を地面に投げて進む


【土棘壁】


【土棘壁】土によって壁を形作り、その表面に土の棘をこしらえたもの


声が聞こえた方を振り返ると、さっき強化魔法を使った生徒が肩で息をしている

あともう少しだった闘技場の出入り口が塞がっていた


倒せないと悟って閉じこめようと思ったのか


逃げられないと思ったのかゆっくりとこちらに迫る生徒達。みんな眼が据わってるよ


俺は手品のようにナイフを二振り取り出すと前に突進し壁に突き刺す

そのまま魔力を込めた

手元で紫色の光が爆ぜる


壁は耳が痛くなるような音を立てて崩れ落ちた


その様子を見て慌てて走り出す生徒達を一瞥し、俺は闘技場を飛び出した

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