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その心臓に宿るもの  作者: ゼオ
二章 大会と陰謀
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2話

―ガチャ、キー


「…」


部屋に戻るとフードを被った何者かがソファーに座ってジルエスを迎えた


「あれ?俺の部屋だよね?」


勿論それは分かりきっている


俺は表面ではいつも通り飄々として、裏では警戒心を最大に引き上げソイツに対峙した


俺がここまで気付くのが遅れるのは相手が相当な遣り手だからだろう。もしかしたら昨日ソフィーを襲ったヤツかもしれない


そういやソフィーに投げられた毒ナイフの解析してなかったな~とか考えついたが、今は頭の隅に追いやる


俺の反応を見た相手は口を開いた


「そうだよ」


そう言ってソイツは頭を覆うフードを取る

出てきたのは透き通るように白い髪。短く実際はどうか知らないが手入れされているように綺麗だ。スイの髪が雪というのなら、こちらは月と言ったところか


スイって自分の髪コンプレックスみたいだから今度言ってみようかな~


白い髪を見て思う


俺を見る双眸は深紅、その瞳にはくらく深い闇が垣間見える


色の抜けたような白い髪、健康的とは思えないほど白くシミ一つない皮膚、深紅に染まった瞳は、色素欠乏症―所謂アルビノと呼ばれる体質だろう


色素欠乏症これには魔術的要因で色素が失われる場合ケースと、通常の身体が色素を持っていない場合ケースがある。一般的には後者が殆どを占める


スイはアルビノって知らないのかな~。知ってたらそこまで気に病むこともないと思うんだけど


「今日から同居人になったカイル・カテナ。事情は学長に聞いてくれ。クラスはD、殆どの生徒より年上だが学年は2。敬語とかいらないから」


どこか素っ気ない言葉。ってゆーか年上かよ


「わかった。けどDはねーだろ」


そんな言葉が口をついて出た

俺のの本能が警鐘を鳴らすのは気のせいではない筈だ


「手抜きなんていくらでもできるからな」


「ふ~ん」


意味ありげな言葉に納得


「俺はジルエス・リヴォルヴだ。まあこれからよろしく」


「ああ」


俺は手を出したが、エストは握手を拒絶するように軽く手を顔の横で振った


「ノリわり~な~」


「そういうたちだ」


「あっそ」


と、その時ドンドンと扉を叩く音と女の子の声が籠もったように響く


「カイ兄さんいるー?」


「…俺の連れだな」


カイルは右手で眉間を揉んでいる

少し俯く耳には高そうな深い碧の耳飾り


そして立ち上がると扉を開き、声の主と向き合った


「何で此処にお前がいるんだ」


「う~ん、迎え?」


「別に迎えに来なくてもいいだろ。俺は子供か」


向こうを見ているのでわからないが、今カイルは憮然とした表情をしているのではないか。そんな風に思わせるように声に不機嫌さが滲んでいる


「あっ!昨日決闘してた人だー」


女の子はをカイルの肩越しに部屋の中にいる俺を見つけると自分にかけられた言葉を無視して驚いた

カイルが体を半身ずらしたことで女の子の姿が見えるようになる


ツインテール?と言うのだろうか、黒というカイルとは対照的な髪を両側で結んでいる。顔は幼さが残るような感じで、活発そうなことが窺える。


背は隣がカイルだから小柄に見えるが女子としては普通ぐらいだろう


ちなみにカイルの背は目測俺より少し高い。180ちょっとといったところか


「どーも。ジルエス・リヴォルヴでーす」


立ち上がりながら挨拶を交わす。流石に座ったまんまじゃ失礼だろう


「どーも。リーン・リンセイアです。カイ兄さんの妹です」


俺が自己紹介をすると相手の女の子もそれに倣ったように返した


さっきから兄さんって言ってるけど妹?イニシャルが違くないか?


俺は疑問に思ったが、それに答えるようにカイルが口を開く


「下の名前が違うのは俺が破門されたからだ。破門されてもコイツが勝手に兄と思ってるだけ」


「カイ兄さんが冷たい…」


カイルの言葉を聞いたリーンは目に見えて気を落とす―


「そんな上っ面取り繕っても俺は慰めたりしないから」


「ちぇー。残念」


ように見えただけだった


「行くぞ」


カイルは簡素な言葉と共に立ち去る


「あっ、ちょっと待って~。これからも兄のコトをお願いしますね。ではまた」


去り際にリーンはそう言い残すとカイルを追っかけてった


「朝っぱらから元気だね~。取りあえず教室でも行くか」


そう呟いた後、少し寛ぎ制服を着込んでから部屋を後にした

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