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その心臓に宿るもの  作者: ゼオ
一章 編入生と生徒会長
16/27

16話

それからソフィー達と食事を済ませ、今は独り外を歩いて夜風に当たっている

食事の途中で楽しそうに話していたら男の生徒陣から多大な殺気をいただきました

それと風呂の場所は食事の後に教えてもらった


「ふ~食った食った~」


後ろから何人かが付いて来ている。十中八九さっきの食堂にいたヤツだろう


いちいち相手にするのもだり~な~、ど~しよ~かな~

今ある選択肢は

1、逃げる

2、返り討ち

3、話し合い


2はめんどいし、3なんて論外だろうから断然1だな~。よし、そうと決まったら逃げるぞ~


俺は走り出す


「待ちやがれ!」「はやっ!?」とか声が聞こえたような気がするけど気にしな~い


と、いきなり隣に走る人影が!?


「なにしてるの」


なんと俺が気付かないとは!ってスイかよ


「鬼ごっこかな」


「おに?」


「あ~、それは置いといて、何しにきたの?」


「ジルと話し」


「そう。話す前にちょっと場所変えるぞ~」


まだ走りは継続中なのでどっか座れる場所ないかと探す


おっ、あそこでいっか


俺は外周を一回りして見えてきた寮の屋上を見る。そして、そこを指差しながら言う


「あそこでいいか?」


「うん」


とスイは頷く


「自分で行ける?」


「うん」


「じゃ行くぞ~」


そう言うと共に俺は飛び上がり、一気に屋上にたどり着いた


スイを見ると寮館の壁の突起とかに足を掛けて上がってきた


本当にBクラスか?


スイは屋上にたどり着くと、屋根に膝を抱えて座った。俺は立ったまんまだ


「スイってスゴいんだな~」


「どこが?」


「普通に屋上まで駆け上がってるし」


「ひとっ飛びのジルにいわれても、皮肉にしか聞こえない」


下を見ると、寮館の前を数人の男生徒がキョロキョロしながら通り過ぎて行った


「それもそ~だな。で、話って?」


「さっきの。はぐらかされたから」


「げっ、バレてたか~」


「話してくれないと信用できない」


「え~。でもな~」


「でもも、ストもない」


「スイがそうゆうこと言うのなんか面白いな~」


「は、はぐらかさないで!!」


スイは顔を赤くして怒鳴った。


からかっただけなのにな~


「めんどい~」


「ジルは血の匂いが普通の人の比じゃないんだから。話して」


「そんなに匂う?」


「うん」


「へーへー。言えばいいんでしょ言えば、めんどくせ~。んじゃ喋るぞ?実は俺、昔あったことがきっか

けで死に対する嫌悪とか恐怖がないんだわ。それで、ギルドの仕事とかで重罪者とかの殺ししたり、後は盗賊の討伐とか~」


「そのとしで・・・」


「まあ、たまに山から降りてきて、ギルドに寄るときにな」


「やま?」


「え~と、確か『雷峰山』だったかな~」


「・・・そこって第一級危険区域だよ・・・」


「そーなんだー知らんかった」


果てしなく棒読み


第一級危険区域に住むってマジで父さん達何者だ・・・


自分も住んでいることを棚に上げて考えるジルエス

ちなみにあまり両親のことを詮索したりしてないので2人の素性は殆どわからない


「そんなところに住んでるなんて、危険すぎる」


「いや~それほどでも~」


「褒めてない。それよりも、ジルって何者?さっきから聞いてるとただの編入生じゃない」


「さあ?」


実際父さん達からはなにも聞いてないしな~


「さあって・・・」


「まあ、いいんでね~の?死ぬ訳じゃあるまいし~」


「はぁ~」


俺の言葉を聞いたスイは、ため息をつくと夜空を見上げた


「それじゃ今度は俺からしつも~ん」


「なに?」


俺は足を前に投げ出して、スイの右隣に座る


「さっきの何でわかったの?」


「においがした。たくさんの、色々な血のにおい」


「ふ~ん。普通は気付かないハズなんだけどな~」


「私の鼻がよすぎるの。私、『氷狼フェンリル』の血族だから」


『氷狼』は魔族の中でも結構上位の種族だ。普通は森の奥に少数で集落をつくって暮らす。名前の通り、氷を使う狼に変わることができる。外見は体長1~3メートルぐらいの真っ白な狼だ。人間の姿をしている時でも、鼻は人間の数万倍はある。ちなみに竜は人間の約100~500倍くらいだから、どれだけずば抜けているかがわかる。


「『氷狼』か~。だからそんなに髪が白いの?」


「違う・・・。村のみんなには髪に色があった。白いのは私だけ」


声がこもって聞こえたのでスイを見ると、いつの間にか顔を膝の間にうずめている


やっべー、地雷踏んだか?


ちなみにこの世界の地雷は、火薬の代わりに魔法を主に使ったものです


そしてスイは声を震わせながら言う


「なんで私だけ髪が白いの?みんな、みんなは綺麗な色があるのに・・・」


さっきの鋭い雰囲気はかき消え、今では寂しそうに背中が小さく見える


「綺麗だと思うけどな~。俺なんて黒だぜ黒。ありふれてる。スイみたいな色の髪はそうそういないんだから、もっと前向きでいいんじゃない?」


俺はそう言いながらスイの髪を梳く


「村の人の何人かが気持ち悪いって・・・」


「それって妬みとかじゃないの?自分にないモノを持ってると、他人はそれに嫉妬するからな~」


「そうなの?」


「そうだ。だからあんま深く考えるなよ~」


「でも・・・」


「でもとか言うな。みんな同じヤツなんていね~よ。俺は心の壊れた欠陥品で人殺しだけど、スイは髪が白いことで悩んでる、ただの綺麗な『氷狼』の女の子。俺より健全だと思うよ?」


「そうかもしれない。けど、ジルは良い人だとおもう」


スイは埋めていた顔を上げ、俺をしっかり見ながら言う。その瞳は少し充血して赤くなっている


「血の臭いがするのに~?」


「臭いだけじゃわからない」


「買いかぶり過ぎだな~」


俺はスイの頭を撫でた

スイは気持ちよさそうに目を細める


「それでもいい」


「そうか~。でも、何でこんなコト話そうと思ったの?今日会ったばっかりなのに」


「わたしも、おなじ、だから」


スイは声を少し落として言う


「ふ~ん。まっ、そっちは話したくなったら話してくれりゃ~い~よ。それで、髪の方の悩みは無くなった?」


「びみょう」


スイは苦笑いしながら言う。だけどその顔は寂しそうな先ほどの背中を考えさせないような表情


「そんな簡単に解決するわけない、か。まあ、これから少しずつ踏ん切りつけてけばいいだろ」


「うん」


「つうか、俺の話しからスイの悩みの方に話しがいっちゃったな~」


「・・・」


「まあいいや、それじゃ~戻るか」


「うん」



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