全員集合 後編
一先ずレベル上げは切り上げて、街中の探検に勤しもうと言う流れになった5人は、なんだかんだで恒例となりつつあるリズの元を訪れていた。
「はぁ、ここはあなた達の溜まり場じゃないのだけど?」
「来た後で言うのもなんですが申し訳ございません」
「俺も話してあると思ってたから、後で言っときます」
「別にそこまでじゃないわ。お客として来てくれてるからまだマシよ」
「お客以外も来るんですか?」
「そうねぇ、偶にいるわよ面倒なの。けど2人は常識ありそうで良かったわ」
(リズさんの言い方だと私も常識ない側に入ってない?)
今日だけでも、街中を文字通り爆走する魔法使いに、街中で武技を使用して突進してくる格闘家がいたが、これなに全く関わっていない楓花は、未だ自分は常識人枠と思っているらしく、不満顔で拗ねている。
「少し遅れたけど、俺はラムネ、職は剣士。一応こいつらの纏め役、ん〜お目付け役...まぁ、保護者とでも思ってくれ」
『異議あり!?私達はそんな子供じゃない!』
「鏡見て言え」
「えーと、俺はトムヤムクン、名前に関してはあまり気にしないで貰えると助かります。職業はバランスを考えて大盾使いやってます」
「この場所で商人をしているリズと言います。さっき素材を売ってくれたけど今後とも贔屓にしてね」
流石はリズ、次の取引の約束も出来れば結ぼうと言う商魂、しかしながら楓花達、他に商人の宛もないので、結局の所ここに来るので結局効果は無いだろう。
「そうそう、氷菓ちゃんの情報助かったわ」
「私も読書家が増えて嬉しいです」
「それで相談なんだけどね。実はあの図書館、迷宮があるんじゃ無いかって噂があるのよ」
「それは知ってます」
「へ!?」
「話の腰を折るようでごめんなさい。でも私、迷宮の場所は何となくアタリをつけてるので、この後皆で行こうかなって」
「そ、そうだったの?」
「いえ、何も聞いてません」
「俺ら来たばっかだから」
「私は街の探索とばかり」
「私は迷宮行きたいぞ!」
「元々勧めてみるつもりだったけど、気を付けてね?」
「それじゃあ」
『行ってきます』
この時にリズはこんな事を思っていた。『この子達なら何でもやって行けそうね』と、しかしそれはそれ、別の事も思っていた。
「さて...この大量の在庫どう捌こうかしら...」
(次来る時はもう少しこまめに来てくれると、あとは今の半分位で制限つけようかしら...)
自分の利益のためとはいえ、当分は仕入れ無しでも回ってしまいそうな程の在庫を一度に持ってきてしまう楓花達の対応に、少しばかり考えて始めたリズであった。
場所は変わって図書館に移動してきた楓花達は、美音に案内されるがまま受付に向かった。
「やっほージゼ」
「あら氷菓さん。今日はどの区画の本を?」
「あ、いえ。今は人もいますし区画貸し切って立てこもりはしません。それと今日は、アッチです!」
「アッチなのね!」
2人の挨拶を呆けた顔で見つめる4人、そのため違和感に気づいたのが誰も居なかったが、美音が図書館に住み着いた時点で、まばらにあったプレイヤーの出入りも、やがては無くなり閑古鳥が鳴いていた。
そんな時、これはチャンスとばかりに思い切って区画ごと貸切本を読み耽っていたのが何を隠そう目の前の美音なのであった。
ジゼは司書のNPCだが、本を管理し、また本にかける愛情や情熱は凄まじく、しょうもない話だが2人して一区画読み終わる事にその内容について語り合った、言わば本バカ仲間である。
「懐かしい、あの頃は」
「つい最近だろ」
「ええ、お互いに話しましたね」
「ああ、こっちもそのノリなのね」
「あれはそう」
「ええ、あれは」
『BLにおける受けと攻めの論争!』
「頭腐ってんのかテメェら!?」「今すぐ止めろ毒虫2人」
「腐ってるから腐女子なんですよ?」
「本の虫を意識したその返し、ラムネもやりますね」
何故か自分達に向けられながらキメ顔で振られたBL談話につい突っ込まずにはいられなかった星矢と海斗は、本来初対面の相手を嫌う様な性格はしてないのだが、早くもジゼに対する苦手意識が芽生えるどころか大木にまで成長しそうな勢いだった。
「そんな事より迷宮って何処なんだ?」
「それはあっち」
「ふふふ、ようやくチャレンジするのね」
「全員揃ったからね。それじゃあ行ってくる。また後で読書会でもしよう」
「その時は誘ってください」
蓮花からの最速に、何時までも話に花を咲かせている訳にも行かないと、それだけ言葉を交わしてジゼと別れた後は、図書館の奥にある棚まで移動する。
「この辺りなのか?」
「そう、そしてここからが超大事。実はここの本棚毎週ジャンルや中身が変わってて、その上わざと間違えられた本が数十冊あるからそれを元に戻せって仕掛け。因みに連続同じ問題は無いから、私みたいに本のシリーズ片っ端から覚えるしかない。それか同じ本が各ジャンルの棚にあるから覚えるかメモ取るかしないといけない仕掛け。そしてまさかの司書の手助け無し!」
「うっわ...なんだその気持ち悪すぎる仕掛けは」
「それでは回答が?」
「こちら!」
「いや早い早い」
「ぱんぱかぱーん」
「出来てるんかい!?」
そんな会話の最中も、本棚の奥からは何かの仕掛けが動く音が聞こえ、暫くすると、目の前には下へと続く階段が出来上がっていた。
「テレレレ〜」
「ビルドそれちゃう宝箱や」
「なんで関西弁」
「いや、何となく」
「ほれ行くぞ」
暗がりが続く階段の奥、進み続ける事数分。
「私生活魔法あるから明かり出せるんだった」
「お前それ早く言えよ」
「何も見えないぞ!」
「お前は今更だな」
「魔法見せて」
「『ライト』」
『おお〜』
楓花が明かりをつけると、全員が同じ反応をして魔法の明かりを見ている。
先に目を向ければ、何処までも続く謎階段、果たしてこの先にあるものがなんなのか。
「どれくらい下ってきたんだ?」
「体感20分位だぞ!」
「歩きでも長過ぎるだろ」
更に進むと、開けた空間に出てた一行、そしてその場で見たものとは。
「でかいスフィンクス?」
「ここ何かのセットに見えるの俺の気のせい?」
急に開けた巨大な空間、そこに鎮座する巨大なスフィンクス、そして周りは何かのセットの様な印象。
暫く様子を伺っていると、周りの松明に火が、付かずに天井が明るくなり当たりを照らす。
「いや何のための松明だよ!」
『フッハッハッハ、良きリアクションをするな苦労人』
「なあ、あれは倒せばいいのか?」
「トムヤムクン珍しくブチ切れだ!」
「あのスフィンクス喋るんだ」
「トムヤムクン、遂に苦労人オーラを放つように...」
「誰のせいだ誰の!」
急に話し出すスフィンクス、それに驚くよりも初手で苦労人扱いされた海斗がツッコミを入れることで、全員が何故か受け入れてしまったが、そんな中でも一人冷静に警戒を行う星矢。
「ここが何なのか聞いていいのか?」
『ここは試練の間、これからお前達には試練を受けてもらう』
「試練をクリアしたら何がある?」
『報酬がある』
「例えば」
『試練にクリアすれば良い』
「中身は兎も角試練ってなんだろうな、私ワクワクしてきたぞ!」
「とりあえず全く話が通じないのは分かった」
『それでは全員席に着け』
突如始まる試練。5人がこれから受けるその内容は…
『全てを紐解け!クイズライブラリー!』
「何この番組ナレーションみたいなノリ」
「どんな問題か楽しみだな!」
「これ私達行けるのか凄く不安です」
『それでは試練の内容を説明しよう。試練は全5つ、問題数は3問。それぞれジャンルの違う問題を出題するから、それぞれ別の回答者を選出するのだ』
「問題の傾向は分かるのか?」
『ふむ、知識、経験のある物が出るとだけ言おう。それでは最初の問題だ!ジャンルは【哲学?】だ。さあ誰を出す』
巨大なスフィンクスが告げるジャンル。何処となく不安のある内容だが果たして誰が行くのか。
「これはビルド一択」
『は?』
「私か!」
『いやいや無いだろなんでそうなる!?』
「このジャンル、多分ペテン・ブック著書の【なんちゃって哲学】が元だと思う」
「え、なんて?」
「なんちゃ、え、なに?」
「まあとにかく答えが無い問題なの。だからこそ問われるのは意外性」
「すまん全くわからん」
『決まったかな』
「はいはいはーい!私が行くぞ!」
こうして始まったクイズライブラリーの第1問、クイズ席に着いた蓮花は自信ありげに腕を組み問題を待つ。
『それでは第1問、お前にとって【犬】とはなんだ?』
「わしゃわしゃ!」
『・・・正解だ!』
「???」
「え、氷菓?」
「だから言ったでしょ。あの本読んだ感想だけど、正直時間返せって程だから。このジャンルまともに問題出てくると思わない方がいいよ」
「マジかよ…」
『さあ次の第2問、【私】はなんだ?』
「でっかいライオン丸!」
『正解だ!』
「やべぇ、頭痛くなってきた」
「だから言ってるのに、トムヤムクンはこの本読まない方がいいよ」
「もし読んだら人格がゲシュタルト崩壊してそう」
「変な知識仕入れて脳が肥大化してそうだな」
「笑えねぇ!?」
『次が最後の第3問、【自分】についてどう思う』
「何言ってんだお前」
『正解』
「何だこの!なに!?すっげーモヤモヤする!」
「今の答えじゃねぇだろ」
「これ本当に哲学?」
「哲学じゃない、なんちゃって哲学だよ」
「もはやなんちゃってですら無い気が…」
先の読めない、いや読むだけ無駄なクイズが終わり、次なる問題へ。
『次のジャンルは【テーブルゲーム】だ』
「おいー!クイズはどうした!」
『今回はテーブルゲームだ』
「話聞けー!」
「これはトムヤムクンだね」
「だな。てわけださっさと行ってこい」
「さっきの後とかめっちゃ嫌なんだけど」
蓮花と入れ替わりで、渋々解答席に座る海斗に、ゲームの簡単なルール説明が行われる。
『時間制限は1秒。その1秒で盤面を覚えて正しき回答を導け』
「まじで言ってるのかよ」
『それでは第1問、正しき【牌】を捨てよ』
(手牌は萬子34678、筒子の678、索子の345678、引いたのが萬子の3、既に萬子は4が3つ、3が1つ捨てられている)
「そんなに難しくは無いな。萬子の4を捨てて三色同順が答えだな」
『正解だ。では続けて行くぞ。第2問、【王】を取れ』
次に出てきたのは3手詰の詰め将棋だった。
「1三銀打、次に2一銀不成で詰みだな」
『正解だ』
(危ないな!最近やってて良かったよ詰将棋)
『さあ最後の第3問、このカードでどんな【役】が作れる』
「は?」
(ちょっと待て?役ってことはポーカーだろけど、コレ役無くね?)
「1つ聞きたい」
『なんだ』
「これ、カードの入れ替えはできるか」
『それは言えぬ』
「...コレ、クイズか?」
『もちろん運ゲーだ』
「おいコラふざけんなよマーライオン!?」
『答えは』
「耳ついてんのかこのタコ!?」
最後の問題はトランプ、その中のポーカーの問題だが、出題者曰く運ゲーらしい。
(クソが、あいつわざわざこのカードでって言ったんだ)
「それなら引っ掛けはなくシンプル。答えは無いだろ!」
『ドゥルルルル...』
「ここにきてドラムロールとか要らねぇわ!」
『ふ』
「ふ!?」
『ふむ...』
「ややこしいわ!あと早くしろ!」
『正解だ短気』
「短気は要らないだろ!?」
謎のスフィンクスから短気と判断された海斗は、渋々解答席を降りながら暫くは文句を垂れていた。
『次は【薬学】だ』
「はい。じゃあ私がやる」
「なあライム」
「なんですか」
「お前薬学分かるのか」
「そんなもの知りません」
「なんで手ぇあげるんだよ!?」
「この中ならまだマシだと思います」
始めたのはつい最近だが、基礎の基礎位は教わった事で、多少の知識が無いとも言えない様な気もする楓花が薬学の回答者となった。
「かかって来なさいわんころ」
『それでは始めよう』
「なんであんなに自信満々なんだ?」
「さあ」
「頑張れライム!」
「頼むからまともにやってくれ」
外野からの評価はアレだが、楓花自身多少の自信はあったからこそ名乗り出た、と言うのは建前で、等の本人的には知識をひけらかしたいだけであり、実は全員何となくそうではないかと思ったのだが、それはまあ、言わぬが花というものだ。
『最初の問題だ。キュアの花を摘む方法は』
「結構初歩的。周りの土ごと鉢植えに突っ込んで採取」
『正解だ。では2問目。世間一般の毒消しは苦い。コレを飲みやすくした物はなんだ』
「ゼリー」
『不正解だ』
「おいコラミスってんじゃねーかよ!?」
ここに来て初めて正解を外した楓花だが、その顔はやたらと自信ありげに笑っていた。
「ふ、無知ですねわんころ!」
『なに?』
「毒消しは苦いですが、子供でも簡単に飲める。それがゼリーです!」
『そんな物は無い』
「ありますよ!?実際に作ってるんですから!そんなに言うんです。まずはコレを食べてからものを言いなさいわんころ」
そういいながらライムが取り出したのは、普通に市販されているゼリーに見える物。
『むふ...』
「どうですか!」
『毒消しの効果は確かにある。苦味も殆ど無く飲み込みやすい。確かにコレならば誰でも飲める』
「そうでしょうそうでしょう。それで結果は?」
『正解だ』
「やった」
まさかの逆転劇だが、それを見ていた外野陣は。
「アレ絶対に違うだろ」
「多分錠剤が答え」
「だよな」
「ゼリー美味しそうだそ!」
若干一名を除き、3人は何となく答えが分かっていたらしい。
『それでは最後だ。スライムをどんな人でも倒せるようにする物は何だ』
「ふふ、ここまで色んな問題が出てきたけど、これはサービス問題です」
『では答えよ』
「ズバリ!塩です!」
「は?」
「塩?」
「ナメクジかよ」
「トムヤムクンそれ間違ってる。ナメクジは塩じゃ死なない。小さくなるだけ」
「あ、そうなんだ」
『ふむ、正解だ』
「簡単です。八百屋のおばさんから聞いた農家の知恵袋、こんな形で役立つとは」
「もはや薬学じゃねぇだろ!?」
「高価な薬の代用だから、大体合ってる」
「合ってねぇだろが!」
何とか無事に問題を終えた楓花は、再び待機席に座り、次のお題が出てくるのを待つ。
『次は4問目だ。4問目の出題は【歴史】だ』
「これ、どうする」
「順当に考えたら氷菓だな」
「後のことを考えるなら」
「ラムネだな!」
「だね」
『では席に着け』
歴史と聞けば、本を読んでる美音が行くべきだが、楓花達は今後のこの後の展開を考えて、星矢にバトンを回した。
『それでは一問目だ。圧政を強いた領主に対して、耐えかねた領民は当然のように怒り、暴動を起こすまでに発展した。この時の領主はこれに対し、自らの兵に何とか指示したか答えよ』
「俺はその領主を知らないけど、多分全員殺せとでも言ったんじゃないか」
『正解だ。当時この国は栄えていた。そんな中自らの領では更なる税を巻き上げるための圧政を強いていた。そのような暴君に対して民が奮起したのが事の発端だ』
「因みにそいつはその時死んだのか?」
『いや、しかし国王より罰が降り、後に獄中で天命を全うしたと言われている。因みにこの話は貴族達の教育にもよく使われるものとして、本になっている』
「気が向いたら読んでみるよ」
歴史の勉強が何故か唐突に始まった中、以外にも全員確りと話を聞いていた。
珍しく為になる話。聞いておかなければそんだろうと全員が初めて思った瞬間でもあった。
『次の問題だ。ある小国を収める王が、大国から戦争を仕掛けられた。戦力の差は10倍はあるだろう。そんな相手に国王が打った手はなんだ』
「また面倒な、本読んでないから当てずっぽうなんだって...」
こうして暫く長考が始まったが、星矢は1つ頭に浮かんだ事があった。
それはこのゲームの世界観を作るための設定にあった各国の簡単な紹介文、それには小国はなく、どの国もある程度の大国と呼べるほどの領土を持っていたと、そしてこの問題は大抵が本の内容であり、その本は実際の歴史を元に作られたものも多い。
(もし今の考えが当たってるなら)
『どうだ。答えは纏まったか』
「ああ。その王様、別の国に庇護を求めたんじゃないのか?」
『正解だ。その国は当時、2つの大国の境にあった小国だ。立地的にもどちらの国にとっても、取られてはいけない土地なため、自治権が認められていた。それをある時の国の独断で侵略が始まり。両大国が入ったことで大戦となったのがこの話の流れだ』
「で、次が最後だな」
『ああ、それでは最後の問題だ。ある国が大国を起こして直ぐに戦争になった。頼れるのは中心の十二将とその部下たち千人。相対するは敵国五千人。この時王が言った言葉はなんだ』
「ちょうど5倍だろ?一人頭五人倒せばいい話だろ?」
『正解だ』
「これが答えなのか?」
「あの天然素で言ってるよ」
「あの辻斬り魔にはそれが常識」
「部下にも一騎当千を求める鬼畜」
「俺はなんも言ってないからな」
こうして4人が回答を終え、ここまで奇跡的に全問正解、と判断していいか迷うが、少なくとも失敗もしていないだろう中で、遂に最後の問題、そして解答席に向かう美音。
「さて、ここからは私の番」
「お前らさっきの会話後で覚えてろよ」
「さあスフィンクス!私と知恵比べだ!」
「後でな」
『それでは始めよう』
解答席に座りながら掠れた口笛でお手本のようなすっとぼけをカマス美音、そして星矢の帰ってきた控え席では。
「違うぞ!全部このトムヤムクンとか言う鬼畜が言えって!」
「私達は泣く泣く鬼t、いえラムネの悪口を言っただけなのです」
「お前ら俺を差し出しながら喋るな!?」
「おーし、3人共連帯責任だな」
「なんで俺まで!?」
「拳骨はヤダー!」
「暴力反対!」
「せいッ!」
「「ぎゃー!?」」
控え席が阿鼻叫喚な状況を見内容にして席に着く美音へ、最後の問題が決められる。
『最終問題のテーマは、ズバリ【本】だ』
「何か決まったジャンルの問題?」
『最近新たに図書館に入った小説から内容を抜粋する』
「なるほど、それでは受けて立ちましょう」
『第1問、【万年貧血な私が、伯爵様に染められて】より、主人公が最初に伯爵から受けたプレイはなんだ』
「赤ちゃんプレイ」
『正解だ。この本の主人公は吸血鬼でありながら血が苦手であり、血を吸わなければ存在が危うい中、伯爵が母性全開となって世話をしだしたのが始まりだ』
「今プレイって言ったよな。つかなんだよ母性って男だろ」
「言った。なんならドギツイ解答が出てきた。ほら、世の中にはオカマとかいるから...」
「吸血鬼なのに血が苦手なのか?」
「苦手を克服は大変ですね」
1問目からとんでもない内容が飛び出した問題に、雲行きの怪しさを感じだした控え席を他所に、問題は進行する。
『それでは第2問だ。名作【赤い海】のラストシーンを答えよ』
「楽勝」
『人魚の愛は命懸け。人間の貴方にとって、あまりにも残酷な行いなの』
『それでもいいよ。君の隣にいるのなら。何処へでも、どんな運命も受け入れるよ』
『見事。この小説はこの台詞で終わる事で、読者にその後を想像させる事で完結する名作だ。ある者は人魚の言葉をそのままに、残酷な運命と受け入れ、またある者は、人魚と主人公の幸せな運命を願い想像する者。そしてそなたはどう思う?』
「私は幸せな運命を信じる。そもそも人魚の繁殖が異性の血肉を食らう事って言うのは、人魚の王様が主人公を引き離すために、姫に嘘をつかせた話だし」
『良い答えだ。私も主人公と姫の幸せを信じる派だ。そもそも残酷な運命など、知識の無い連中の妄言なのだ、グチグチガミガミ...』
「それで?最後の問題は?」
『おっと、最後の問題は【童話】だ。一部婦女子から人気を集める人気作【レイズとケリス】だ。その内容を大まかに聞かせよ』
「先ず...
昔昔ある所に、レイズとケリスと言う、美しい姉妹が居ました。
2人はその容姿とはかけ離れた性格で、やんちゃばかりで男勝り、そんな2人は、ある時村人の目を盗み、禁忌の森へ入りました。
そこで遊んでいる内に、2人は森の奥の奥へ、そして周りは暗闇に包まれた時、2人のお腹が同時になりました。
途端に心細くなった2人は急いで村を目指します。
しかし森は、2人を惑わせ更に奥へ、2人はとうとう膝を着き諦めてしまいそうなそんな時、何処からかとても美味しそうな匂いがして来ました。
その匂いに釣られるままに進むと、目の前には小さな小屋が、その中からする匂いに我慢できず、2人はとうとう小屋に入り、誰もいないのを確認し、作られていた料理を食べてしまいました。
その時のスープに気を取られていた2人は、奥から現れる魔女の姿に気が付かなかった。
2人はその魔女に魔法を掛けられ、目が覚めると、性別が変わっていた。
魔女の魔法で姿が変わってしまった2人は、帰り道も分からず、諦めて森に住むことに。
2人は森で過ごす内、お互いの見た目について思うことがあった。『めっちゃタイプ!』と、そう、2人は姿こそ男ではあるが、中身は女の頃から変わってない、そんな2人はある時から少しづつ互いを意識し合い、遂には恋人同士になり
末永く幸せに暮らしました。こんな感じで大丈夫でしょうか?」
『合格だ』
「「オロロロロッ!?」」
「な、なんて悍ましい話なんだ...」
「あ、悪魔の精神攻撃を受けたようだ...」
「この世界は自由恋愛が進んでいるんですね」
「多様性か!私はいいと思うぞ!」
こうして無事?に全員が問題を解き終えた試練、様々な困難やあっただろう、それを乗り越えた事で、5人の前には1冊の本が手渡された。
「これは?」
『【強化の書】と呼ばれる物だ。スキル獲得アイテムで中身は自分で指定する』
「ん〜、なぁデカライオン。私達ノーミスでクリアしたんだしもうちょっと報酬増えてもいいと思うぞ!」
「確かに、散々精神攻撃されたんだ、少しは詫びの一つもあっていいだろ、なぁ!」
『ふむ、ではもう一冊報酬を増やすのはどうだ』
「まあ、それでいいならいいんじゃないかな」
「トムヤムクン、ここはお得意の恐喝で更なる報酬を」
「しねぇよ!?つーか恐喝なんてした事もねぇわ!」
『仕方ない。そこの我儘な奴に免じて、1つ譲ってやる。布教活動も兼ねているから気にするな我儘』
「俺何もやってねぇよ!?」
「因みに追加の内容はなんですか?」
『ズバリ、レイズとケリスの続編、2人の息子ホモルの冒険譚だ』
「「要らねー!?」」
「本は雑に扱ったらダメ」
「そうだぞ、くれた本人に感謝しないとダメだぞ」
「ふむ。(チラ)挿絵も着いてる。ほら」
「お前こっちに向けるなぁー!?」
「目が目があぁあぁあぁア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
こうして試練を終えた一行は、転移で地上へ、その後近くの公園で2人に本の挿絵を見せた楓花は、かなりこってり怒られたとか。
【後書き劇場】本のその後
「あの野郎とんだ汚物渡しやがって」
「やばい、まだ視界がぼやける」
「そりゃあれだけ強く目抑えたらそうなるでしょ」
「じぁあリズさん。コレ今回の報酬、みんな必要無いから売っちゃうね」
「勿体無い」
「はよ捨てろ」
「えっと、皆して同じ本なのね。コレって中身とかは...」
「呪いの書です。精神を破壊する程の」
「中にはとても悍ましい物が潜んでいます。リズさんも、好奇心で中を見ようとは思わない方が良い」
「わ、わかったわ...気を付ける」
「よし、コレで除霊もバッチリだ。気分転換に殺戮でもするかーはっはっはっはっ」
「...(ゴクリ)」
その後、中身を確認したリズの布教活動によって4冊はたちまち無くなり。
1冊は未だにリズの手元に残っているとかいないとか...。




