みんなのあこがれ
むかしむかし、あるえらーいかみさまが、きがポツポツとはえるだけのあれたそうげんをたびしていました。
おひさまがサンサンとてりつけるあるひ、かみさまはいっしょうけんめいにだいちをふみしめるりくがめさんとであいました。りくがめさんはそらをみあげながらかみさまにいいます。
「わたしはいつかあのこんどるさんのようにそらをじゆうにとぶのがゆめなのです」
それをきいたかみさまは、おまえはそらをとぶのにはむかない、おまえにはじめんをあるくためのりっぱなあしがあるではないか、とりくがめさんにいいました。するとりくがめさんは、
「なにをいいますかかみさま!こんなのろまなあしのどこがりっぱだというのです?わたしはどりょくして、かならずやあのこんどるさんのようにそらをじゆうにとんでみせます!」
またあるとき、かみさまはこんどはおしょくじちゅうのこんどるさんにであいました。こんどるさんはかみさまにいいます。
「わたしはいつかりくがめさんのようにじめんでのんびりとくらすことがゆめなのです」
それをきいたかみさまは、おまえにじめんでのくらしはあわない、おまえにはじゆうにそらをとぶためのりっぱなつばさがあるではないか、とこんどるさんにいいました。するとこんどるさんは、
「なにをいいますかかみさま!こんなつかれるだけのおおきくてじゃまなつばさのどこがりっぱだというのです?わたしはどりょくして、かならずやあのりくがめさんのようにじめんでのんびりくらしてみせます!」
つぎのひ、またかみさまがそうげんをたびしていると、むれでいどうするはいえなさんたちとであいました。いっぴきのはいえなさんがかみさまにいいます。
「わたしはいつかちーたーさんのようにひとりでくらすことがゆめなのです」
それをきいたかみさまは、おまえがひとりでいきていくのはむずかしい、おまえにはきのあうなかまがたくさんいるではないか、とはいえなさんにいいました。するとはいえなさんは、
「なにをいいますかかみさま!あんなのきをつかうだけのなれあいしゅうだんです!わたしはどりょくして、かならずやあのちーたーさんのようにひとりでじゆうにいきてみせます!」
またあるとき、かみさまはこんどはけづくろいをするちーたーさんにであいました。ちーたーさんはかみさまにいいます。
「わたしはいつかはいえなさんたちのようななかまをもつことがゆめなのです」
それをきいたかみさまは、おまえはなかまがいるとつかれる、おまえはひとりでじゅうぶんまんぞくにくらしているではないか、とちーたーさんにいいました。するとちーたーさんは、
「なにをいいますかかみさま!ひとりのせいかつにまんぞくするなんてのはふこうなやつのとくちょうです!わたしはどりょくして、かならずやあのはいえなさんたちのようにきのあうなかまとくらしてみせます!」
さらにつぎのひ、またかみさまがそうげんをたびしていると、こかげでくつろいでいるがぜるさんにであいました。がぜるさんはかみさまにいいます。
「わたしはいつかきりんさんのようなながいくびになって、あかしあのはをおなかいっぱいたべるのがゆめなんです」
それをきいたかみさまは、おまえのくびはながくはならない、おまえはじめんにはえているくさをくうことができるではないか、とがぜるさんにいいました。するとがぜるさんは、
「なにをいいますかかみさま!このさきずっとまずいくさしかたべられないなんてじょうだんじゃありません!わたしはどりょくして、かならずやあのきりんさんのようにあかしあのはをおなかいっぱいたべてみせます!」
またあるとき、かみさまはこんどはあしをひろげてみずをのんでいるきりんさんにであいました。きりんさんはかみさまにいいます。
「わたしはいつかがぜるさんのようにくびをみじかくして、あしもとのくさをおなかいっぱいたべるのがゆめなんです」
それをきいたかみさまは、おまえのくびはみじかくはならない、おまえはあかしあのはをらくにくうことができるではないか、ときりんさんにいいました。するときりんさんは、
「なにをいいますかかみさま!このさきこんなとげとげのはっぱをたべつづけるなんてじょうだんじゃありません!わたしはどりょくして、かならずやあのがぜるさんのようにあしもとのくさをおなかいっぱいたべてみせます!」
きりんさんとわかれたあとも、かみさまはたびをつづけます。
「努力してなんでもできんなら、俺はビームでも撃ちたいんだけどねえ…」
かみさまそうぼそっとつぶやいたのでした。