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足りないもの

夏季大会でやらかしてしまった俺。


凹んでいても悔しがっても立ち止まっては

何も進歩しない。


わかっていても、ぼーっとすると最後の最後で足ひっかけてPK献上したあのシーンがフラッシュバックする。


賢吾と帰ってる時に賢吾から言われた。


「かける、最近元気ないけどこの前のPKのことずっと気にしてへん?俺思ったんやけど、あのシーンPKじゃなくてもそのまま抜けられて点取られてたから結果は変わらんかった思うで。やしそんな気にせんでええやろ。気にするなら俺らの力不足。体力的にもきつかったし技術的にも戦術的にも相手の方が上やった。また頑張ろや」


賢吾から言われた言葉でかなり肩の荷がおりたというか楽になったというか吹っ切れたというか。


俺は家に帰ってから冷静に分析した。

そうすると見えてきたのは体力がない、DF能力がない。まずこの2つがすぐに思い付いた。

まぁ賢吾が言ってたことと一緒か(笑)


翌日の練習からは練習後に走ることにした。

20mダッシュを10本することにした。


正直むちゃくちゃきつかった。

でもなんとなく心肺機能が上がってるような気がした。


DFについては先輩たちを見て、FWが後ろ向いてる時のDFのやり方、前向かれた1対1の時のやり方を見て実践するが、ほぼ100%前向かれて抜かれたり

シュートまで持っていかれる。

あまりDFについては力つけたなという実感はなかった。


秋季大会直前の練習試合で、俺はスタメンで賢吾とダブルボランチを組むことに。


攻撃時には俺起点で前線にいいパスを供給できたが、守備時にはあまり貢献できなかった。

前半が終わり、後半に入る前に井上先生から

中村は前半でアウトと告げられた。


個人的には単純に色んなことを試したいから交代させたのやろと思ってた。

井上先生が言う。

「中村、なんで交代なったかわかるか?」

俺は思った通りに「他のメンバーを試したいからですか?」

そう言ったら井上先生から強めの口調で言われた。

「ホンマにそう思うんか?じゃあ一つ言っとくわ。お前は相手からしたら怖くないねん。それの意味を考えなさい」


俺にはさっぱりわからなかった。DF面でもっとガツガツ行くべきやったんか?それとももう少し荒いプレーしろと?いや、それはちゃうか。


試合が終わり、Bチームの試合に俺はスタメンで出ることに。

井上先生から「考えた結果をピッチで示してこい」

俺は俺なりに考えた通りにプレーした。

相手MF にボールが入った時に後ろからガッツリ行ってファールした。ルーズボールではしっかりマイボールにできるように身体を張ったがファール。

ボールをもらうとミスなく完璧にボールを味方に繋ぐ。

自分なりに考えたことを体現できた。

前半が終わり、井上先生からまたアウトと告げられた。そしてこう言われたのだ。

「中村、プレーに熱が入っていることはいいことやけど、俺が求めるのはそうじゃない。あんなラフっぽくいくとカードもらって、最悪退場になったらどうなる?味方に負担かかって相手からしたら数的有利でラッキーってなるで?」

俺は求められている答えがわからずに下を向いていた。

井上先生が「サッカーってどうしたら勝てる?お前シュート何本打った?得点に繋がるパス何本通した?」

俺は「サッカーは点を取ったら勝てます。僕はシュート0本ですし、得点に繋がるパス0本でした。」

答えた時にやっと求められているものがわかった。

そう、相手の脅威になれていなかったのだ。

無難に味方にパスをする。ミスはしないが、相手からしたら守るのに楽な選手だった。

ようやく答えがわかった俺は自分に足りないものがわかったような気がした。

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